先日、三菱電機長崎製作所における品質管理に関する組織的不正についての調査報告書が明らかにされました。

それによれば、長崎製作所の不正は遅くとも1985年から行われていたとのことです。

現在の経営陣が入社したのはほとんど1980年代でしょうから、その頃からなんとも立派に?長く続けられていたことでしょう。

 

以前の私のブログで、この問題の根源は、自分たちが行っていることが正しく、品質管理ルールに問題があると認識していた可能性があることを指摘しましたが予想通りでした。

 

しかもご丁寧なことに、担当部門である品質管理課は、90年ごろには作業負荷の軽減を目的に検査報告書を偽造する自動プログラムまで作りずっと使用してきたとのことです。

ここまでの念の入れようには驚きますが、組織の力学を考えれば特別なことではないとも言えます。

 

報告書では従業員の言葉も明らかにしています。

品質を証明する姿勢の欠如を「実質的に問題がなければよい」、「品質に問題はなかった」として正当化していたとのことです。

また、16年、17年、18年の3度にわたる品質不正をあぶりだすための全社点検に対しては、課長級をはじめとした管理職が問題を報告しないとの決定をしたとしています。

 

自分(達)が正しいと考えるのは自然でしょう。

しかし、我々は時々、他者からの指摘を受けて、自分(達)にも誤りがあるのではないかと疑問をもつのも自然な感情というものでしょう。

また逆に、そうした際に、反発するのもよくあることでもあります。

今回は後者の態度が強くかつ念入りに、組織的に行われていたということになります。

 

こうしたケースをみるにつけ、人間集団の結束の強さを知るのですが、こんな結束の強さは願い下げです。

この結束は、集団の成員が固定化していることが一番の要因です。

三菱電機でも、人事異動のほとんどが製作所や工場内の人事異動にとどまり、事業本部の独立性は強く、事業本部が異なると別の会社のようだと述べる経営陣もいるとのことです。

 

今回のケースから思い出すのは昨今のジョブ型雇用促進の議論です。

事業部と職務の違いはありますが、仕事の内容を固定化する点では近似しています。

仕事内容を固定化するメリットは短期的には効率よくスピードの点でメリットですが、長期的な視点からはメリットは見いだせません。

固定化は慣性を発生させ、変化に対して抵抗する可能性を高めます。

そうしたことを防止するために、また人材育成の観点から、組織では頻繁に人事異動や組織改革を行うのです。

 

ジョブ型雇用を推進すると、固定化が助長され、組織の壁を壊す努力が別途必要になります。

成員の固定化は三菱電機の事例を見るまでもなく、集団力学の負の側面を生み出し、それに抗うにはコミュニケーションを活発にするという理想論では太刀打ちできません。

組織構造を柔軟にし、加えて人の異動をある程度頻繁に行わないと、たやすく陥ってしまう力学を我々は知る必要があるのです。