三菱電機で組織的不正が明らかになり、社長の辞任にまで発展してしまいました。

報道によれば35年以上も不正が行われ、事業所の2割の従業員が不正の事実を知っていたとのことです。

なんとも大胆な不正事例と言っていいでしょう。

 

品質を確認するための品質テストがいわば簡便法で行われていたという内容ですが、長く続けられ内部通報も行われていないことから、簡便法でも十分に品質を担保すると考えられてきたのではないでしょうか。

三菱電機では他の部門でも不正が相次いだことから、会社として相当厳しい態度で不正の調査を行ってきたそうですが、それをあざ笑うかのように、これほどまで大胆かつ長く続けられたのは、組織内では不正と認識されていない、つまり品質テストに意味はないと認識していたとしか考えられません。

 

どんな理由であれ、嘘をついていたことになりますから批判は免れません。社長辞任もやむをえない判断と言えるでしょう。

嘘の理由を明らかにし、是正を図るのは当たり前として、この事例から学ばなければならない組織力学があります。

 

それは組織における集団思考です。

集団思考とは、組織のまとまりがよく順調に機能している時に、組織内の考えが何よりも優先してしまう状態をいいます。

そうした状態の時には、組織内外から異議や疑問を提示されても、よく吟味せずに黙殺してしまう力学が働きます。

我々はそもそも自分が正しく相手が間違っていると考えがちですが、集団になるとそれが強化されるのです。

 

今回の事例も嘘の品質テストが一定の実証データに基づいて考え出されたとすれば、不正が長く行われた理由として納得できます。

つまり、自分たちの行っていた方法のほうが適切だと信じられていたのです。

専門家は自分の知識や技術に自信があります。

当たり前ですが自信のない専門家など信用できません。

そこに落とし穴があると言っていいでしょう。

 

初期に何らかの理由で不正を行い、それを明らかにするほうが問題となってしまうので隠していたとも考えられますが、35年間に渡り代々の責任者が隠し続けた理由としては少し弱いでしょう。

製造責任に対してはプライドをもって仕事をしているはずですので、こんな誰でもわかる不正など行うはずもなく、ましてや35年間も継続する理由としては考えにくいと思います。

自信が裏目に出ることは組織では少なくありません。

 

正しいと思うことこそ疑ってかかる謙虚さが必要であり、あらためてそれを思い出させてくれる事例です。