「子供の頃ね、お父ちゃんやお母ちゃんが死んじゃったらって考えるだけで、怖くて怖くて眠れなかったの。
ご飯が食べられないとか住む家がなくなるとかじゃなくて、ただただ怖かった。」
みこちゃんと同じで、私も母が死んでしまったらと考えるだけで怖かった。
子供の頃だけでなく、大人になってからも。
ただここに居るだけの自分を愛してくれる、そんな唯一無二の場所がなくなるからなのだろう。
本当に死んでしまった今は、生きている夢をよく見る。
ふと気づくと実家の冷蔵庫の前に立っていて、「冷凍室からお肉出して」って声がする。
冷凍室を開けながら、あれっと思い台所を見ると、そこには料理をしている母の後ろ姿が。
あれ、お母さん死んだんじゃなかったっけ?
ああ、全部夢だったんだ!良かった!
夢中で背中に抱き着いて、
「今ね、すごく怖い夢見ててね、お母さんが死んじゃって、もう本当にすごく怖くてね、」
子供みたいにわんわん泣きながら喋り続ける私を、振り向いてはくれないけど、後ろに手を回し優しく撫でてくれる。そして、
「うん、うん。分かるよ。そういう夢ってさ、すごく怖いよね。」
なんて、ゆっくり噛み締める様に言いながらあやしてくれる。
目が覚めると、やっぱり母は死んでしまっていて、こちらが現実だと知りまた涙が溢れる。
その瞬間が今は一番怖い。