向上心のなくなった今となっては、私は一人練習はほとんどやらなくなりました。
すぐに腰が痛くなるし、第一
だりぃ~
相手が来るまでの待ち時間にちょこっと撞くのが唯一の一人練習ですが、日によってはなかなか相手が来ない。
とそこに、新顔が現れるわけです。
どれどれ、と興味津々で練習ぶりを見るのですが、どうもあまり上手ではない。
いえいえ腕前は関係ないのですよ。私はすぐに声をかけます。
「ちょっとやりませんか?」
ところが・・・
「いえ、今日は某プロに教わった球を練習しに来ただけですから。」
私はがっくり肩をおとして家路を急ぐわけです。
本日は「かわいい初心者」と「かわいくない初心者」について書こうと思います。
すべてのスポーツの上達の条件。それは、
●努力
●環境
●指導者
この3つです。
問題は最後の「指導者」ですが、いい指導者を得るためには「かわいい初心者」になる必要があるのです。
まあ、私の場合は「かわいい子」だったので指導者には恵まれました
ほら、みなさんご存知の上の曲球。
一遍に4個入れるわけですがこれは昔からあって、難易度は・・・そうですね・・・センター初球と同じくらいだと思いますが、これを何度見せられてもそのたびに拍手しました。
教わっている最中にアクビなんかしませんでしたし、指導者のウソか本当かわからないような昔話もちゃんと聞きましたからね。
つまり「かわいい初心者」に必要なのは、
忍耐力です。
最近は勉強家が多くて、特に道具の知識なんかは私など足下にも及びません。
そのあたりの話を2つ3つ。
あれは私がHPを始めて間もない頃でしたので、たぶん8~9年前ですかね。
HPの掲示板におそるべき書き込みがあったのです。
「平行ずらしと軸ずらしについて教えてくれ。」
「平行ずらし」というのはハイテクシャフト登場後に開発された撞き方で、つまり、えー・・・面倒なので説明は省略します。
さて、この書き込みに私は弱りはてました。なぜなら「平行ずらし」という用語すら知らなかったからです。
こうなると三十六計ごまかすしかありません。
「それは状況に応じて使い分けています」
ところが相手はごまかされてくれませんでした。
「某プロは平行ずらしがいいと言い、某SAは軸ずらしだと言う。どちらが正しいのですか?」
そんな事は知らん
とも書けませんので、プロに教えてもらおうと電話をかけました。
ところが、
「えっ? 平行ずらし? 何ですか、それ?」
彼も知らなかったのです。
八方ふさがりの私は、掲示板に捨て身の書き込みをしました。
「文章では説明がむずかしいので、一度こちらの店に来てください。」
いよいよ約束の当日。
プロと私はふたりで「平行ずらし」を待っていました。
史上最強の相手にちがいない。だって相手はわれわれが知らないことを知っているのです。
宮本武蔵を待つ佐々木小次郎はきっと同じような心境だったでしょうな。
そしてついに「平行ずらし」が現れたのです。
予想に反してずいぶん若い。
「ビリヤードは何年くらいやってるんですか?」
私が聞くと、彼はすこし照れたように答えました。
「もうすぐ半年になります。」