以前、何度かお会いしたことのある韓国人のNさんが訪ねて来られた。Nさんは日本語がお上手で、身体付きはいかついのだが、ニッコリ笑うと優しい表情になられる。その笑顔につられ、仕事の話が終わったあと、プライベートな話を始めた。

ボル 「Nさん、お子さんは?」
Nさん 「3人います」
ボル 「同じだ。私には娘が三人いましてね」

そんな話から、三女の最後の授業料を払い込んだ後、しばらく気が抜けて呆然としてしまったこと、その後、やりたかったことをやろうと先ずスカイダイビングをしたことを話した。

大喜びのボル

熱心に聞いていたNさんだが、私の話が一段落するとポツリとこうおっしゃった。
Nさん 「私も何度も飛び降りています」
ボル 「えっ?」
Nさん 「実は、韓国の軍隊では特殊部隊にいたんです」

その後、Nさんの軍隊時代の話を興味深く聞かせてもらうことになったのだが、戦術降下と呼ばれる集団でのパラシュート降下では、80人を運べるC130という輸送機が何機も連なり、その各々から次々に隊員が飛び出して行くのだとか。さぞかし壮観な眺めだろうが、敵が待ち受けていることが前提だから、僅か400mの高さから飛ぶとのこと。万一パラシュートが開かなければ7秒で地面に叩きつけられることになり、実際、そういう事故があるらしい。

そんな事故のことを思い出されたのか、Nさんの表情が少し曇ったのだが、その後、「ハーネス」の話になり、Nさんに笑顔が戻った。ハーネスというのは写真にあるパラシュートや荷物と身体を結び付けるベルトのことで、構造上、パラシュートが開いた瞬間に股の部分にベルトが物凄い力で喰い込むらしい。

ハーネス

ボル 「痛いんですか?」
Nさん 「息ができません。特に、はさまれたりすると・・」
ボル 「はさまれたりするんですか?」((((((ノ゚⊿゚)ノ
Nさん 「はい。そのまま気絶させてくれと思いますよ」(笑)
ボル 「でも、お子さんが三人いるということは・・」
Nさん「無事で良かったです」(笑)

本当に無事で良かった。
それから、訓練だけで済んで良かった。
9月8日付「日経MJ」の第一面に「接待復活、笑う高級店、一人5万円も、芸者フル稼働」という賑やかでセンセーショナルなタイトルが躍る興味深い記事が出ていた。

接待費

国税庁によると企業の接待費のピークは1992年の6兆円、これがリーマンショック後は半分の3兆円にまで落ち込み、昨年やっと下げ止まったとのこと。背景には景気回復や税制改正があるという解説だが、ともかく、お金が回るのは良いことだ。

この記事を読んでいて、初めて銀座のクラブで接待された時のことを思い出した。貫禄のあるお客さんや艶やかなホステスさんに囲まれ、入社2~3年目のヒラ社員だった私はさぞかし場違いに見えたのだろう。一人のホステスさんに「ここはね、あなたみたいな人が来る所ではないの」と言われてしまった。その通りだと思ったが、少し悔しかった。

後日、親父にその話をした。親父は話を聞くとニヤリと笑い、「そうか」と答えると、こう続けた。
「そういう店ではな、ホステスさんを喜ばせるのが『遊び』なんや。それが出来る人を『粋』というんや。」
父はいつも回りの人を笑わせ、和やかな表情にさせていたから、夜の祇園や先斗町でもそういう遊びを実践していたのだろう。

それから年月を経て、年齢だけなら「あなたみたいな人が来る所ではないの」と言われなくなっていると思うが、果たして父が言ったような遊びが出来るのかどうか。試してみたい気はするが、家族が聞いたら「私たちが美人ホステスさん役をしてあげるから、うちで練習しなさい。さ、早く喜ばせなさい!」と言われそうだ((((((ノ゚⊿゚)ノ
今朝のスポーツに関する一番のニュースは、間違いなく「錦織圭選手が全米オープン男子シングルス準決勝でジョゴビッチ選手を破り決勝進出を決める」だろう。日本人としては初の快挙とのこと。頼もしい青年だと思う。

もう一つ、印象に残った記事がある。京都大学野球部の田中英祐投手(4年生)に関するニュースだ。彼は2年前、関西学生野球での京都大学の連敗を60で止め、今年の春には同志社大学に3ー0の完封勝利を収め、今やプロも注目している選手だ。

その田中投手が「プロ入り志望を表明」という記事が出ていたのだが、印象に残ったのは次の部分だ。「8月30日に両親と話し合い、地獄を見てこい、と背中を押された」。ご両親の真意は分からないが、これほど簡潔で力強い激励もないだろう。

地獄を見てこい、とは、地獄だと思うがその目で確かめて来ればいいじゃないか、という意味だろう。この突き放し方が潔く、しかし、今しかできない挑戦をけしかける配慮は親として実に素晴らしいと思う。そういう両親に育てられた田中投手だ。たとえ地獄だったとしても、成長を遂げるに違いない。

田中投手