もう四十九日も過ぎて僕も周りの皆さんも落ち着いて来たので、亮弦-Ryogen-さんについて振り返ってみようと思います。

2017年9月18日(月)夕方頃、亮弦さんが亡くなりました。素晴らしいギタリストというだけでなく、人間性もドラマチックで、とてもユーモアに溢れてて、そして何よりいつも真っすぐの方でした。

亮弦さんとの出逢いは2014年11月の両国サンライズでの不遣ノ雨企画「狐の嫁入り」でした。亮弦(from I)という名義で出演していた彼が総合VJとして参加した僕のVJに興味を持ってくれて話しかけてくれたことでした。

亮弦さんから「自分のライヴでVJをお願いしたい、一緒にMV制作したい」という彼の真剣な眼差しから、僕らのコラボレーションがスタートしました。熱烈な喰い付きに最初は半信半疑でしたが(笑)

神出鬼没にソロライヴする亮弦さんのVJは、その2~3日前ぐらいに突然オファーが来るので「はいはい、亮弦さんならどこでも駆け付けますよー」という調子で、まるでワガママな子どもをあやす父親か母親のような目線でした(笑)

2015年11月に三軒茶屋Heaven's Doorで、亮弦-Ryogen-ソロアルバム「INTENSE HEALING」レコ発に伴う亮弦祭が開催され、僕は総合VJで参加しました。この日は出演する全バンドに亮弦さんがギターで関わっていて、全ステージで亮弦さんが登場するという、今となっては伝説となった一夜でした。この日の来場者に無償配布されたソロアルバム「INTENSE HEALING」は現在ではCDとして流通販売されて、今でも売れ続けてるし、タイムレスに響く素晴らしいアルバムです。

この亮弦祭の企画制作がスタートした2015年8~9月頃に亮弦さんが体調不良により入院することになり、検査結果でガンを発症されたことを知らされました。ここから彼の闘病と音楽の共同生活が始まりますが、ここで僕の中に「亮弦さんの音楽を世界に広めたい、その為の方法を模索したい。」という気持ちが芽生えました。

まずはMV制作して認知度を拡げていき、音楽関係者にプレゼンテーションして、いずれはSXSW(サウスバイ・サウスウェスト)に出演できるようにしたい、という大きな夢でした。もちろんそれがゴールではなく、どこまでも続く旅の途中で。

2015年10月頃からソロアルバム収録曲の「Dance of Saraswati」MV制作をスタートしました。当時の僕はまだMV制作を自分の音楽活動の片手間で制作していた時期で、完成までに半年を要してしまいました。インド音楽に通じるサイケデリックなイメージの楽曲から、スミリールダンサーとの共演や吉田蝋燭さんのキャンドルアート、そしてVJ映像との融合を表現しました。初めてスローモーションを取り入れた作品でもありますね。

● 「Dance of Saraswati」MV(2016年3月公開)

 

 

その後、作曲家であるエリック・サティの「Gymnopedies」をカヴァーしたソロアルバム収録曲「Gymnopedies」MVが公開されました。映像制作者のフキユージさんが制作したこの作品では、COMezikのリンさんが施した黒墨のボディペイントと涅槃をイメージしたかのような楽曲の広がりが素晴らしく、とても印象的な作品となりました。

● 「Gymnopedies」MV(2016年4月公開)


2016年10月にお台場のBMWショールームでの「TEDxTokyo.2016」に出演することが決まり、そこで亮弦さんのソロギターとCOMezikリンさんのボディペイント、そしてBoriのVJによるチーム亮弦-Ryogen-(またの名をノーキャリアーズ)が結成されました。“Today Decides Tomorrow” …「今日が明日を決める」というテーマのイベントの中で深海の中をイメージした「DEEP BLUE」が演奏されました。数々の著名人が見守る中で静かに始まった演奏は徐々に熱を帯びていき、たくさんの拍手喝采を頂きました。とても緊張した中での演奏で僕らの活動としてもハイライトのひとつになりました。ローディーとしてマイケル久我さんが手伝ってもらえたのも頼もしかったです。

● Guitar Performance | Ryogen | TEDxTokyo(2016年11月公開)

 


その後、しばらくして亮弦さんから「アミッドスクリーンって何なん?」という問合せがあって「じゃ、やってみましょうか!」と、チーム亮弦-Ryogen-でアミッドスクリーンVJを導入することになりました。アミッドスクリーンVJ映像の向こう側にCOMezikリンさんのボディペイントを施された亮弦さんが演奏して、フリーフォトグラファーのセオサユミ氏がライヴ撮影して…とても素晴らしいチームワークでしたね。


● 弦月 at 東高円寺二万電圧(2016年11月公開)

 

 

彼の生前、僕が最後にMV制作したのが「GUITAR ROCKS!!!!!!」MVでした。この!マークが6本あるのはギターの弦数を意味してるんだそう。カメラマンの吉岡泰介氏とのコラボ作品で、撮影から公開まで1週間で仕上げるという勢い重視の作品でしたが、1回目の撮影では亮弦さんのアドレナリンに炎が点火してしまって無茶苦茶な演奏になってしまい後日、撮り直し…まったくヤンチャ坊でしたね(笑)

● 「GUITAR ROCKS!!!!!!」MV(2017年5月公開)

 


 

この後にもMV制作の企画があったのですが、残念ながら実現には至りませんでした。

チーム亮弦-Ryogen-(ノーキャリアーズ)としての公式ライヴは2017年9月7日(木)日本科学未来館でのシンギュラリティが最後となりました。2016年10月に開催されたTEDxTokyoのスタッフや出演者が再び顔を合わせたイベントで、とても素晴らしいものでした。ここで亮弦さんと再会したアーティストが実は近くに住んでることを知ってコラボレーションを申し入れてくれましたね。結局は実現できませんでしたが、とても微笑ましい光景でした。僕が亮弦さんと言葉を交わしたのはこの日が最後で最後の言葉は「それじゃ、また!」だったと思います。

そして、2017年9月18日(月)永眠

亮弦さんの音楽やライヴを求めた僕らが彼の寿命を縮めてしまったのかもしれないし、彼の音楽への情熱が寿命を縮めてしまったのかもしれない。あの時、お酒やタバコを辞めるように促すことができたなら…という想いもあります。もっとたくさんたくさん一緒に過ごしたかったですね。

たとえ亮弦さんの肉体は滅んでも彼の音楽と足跡は生きていて、いずれは不死鳥のように甦って来ます。彼のレガシーがここから大きく輝き出すはずです。僕らはそれを守り拡げていきたいです。

僕らの中で永遠に生き続ける亮弦さん、ありがとう!


Bori(LosingMySilentDoors/音景-Onkei-)

 

写真撮影・提供:セオサユミ&皆さん

僕らが制作に関わらせてもらったacullhie「cry no more」MVが公開されました。

acullhie「cry no more」MV


【制作スタッフ】
制作    Bori、吉岡 秦介(ima studio)
監督    Bori
脚本    acullhie、Bori、吉岡 秦介
撮影    吉岡 秦介(ima studio)、セオサユミ、Bori
編集    Bori



 

acullhieのギター兼ソングライターであるenjuさんとは前のバンドArere?時代からの知り合いで、今回のMVは制作依頼を受けて企画段階から数えると1年以上を費やしてようやく完成しました。このMV撮影の為にブラック・ボーリー号は2回も捕まってしまいました(苦笑)…こうして何とか完成できて本当に良かったなとホッとしてます。



acullhieはライヴ活動よりも創作活動(アルバムやMV制作)の方を主軸にしてるバンド/ユニットで、アルバム用の楽曲から複数の映像制作者にMV制作を依頼してるところが面白い展開でした。その中でこの楽曲ではVJを組合せたMV制作をしたいとのことでVJ活動している僕に打診があり、MV制作を引き受けたという経緯です。

ただし、僕自身がバンド活動からVJ活動、その他諸々忙しい身なので「興味を持てる脚本であること」と「制作期間がかかる」という条件で引き受けることになりました。その時点でまさかこんなに完成が遅れるとは思ってもみなかったけれど…




このMVは大きく分けて2つのシーンがあり、海でのストーリーシーンと室内での演奏シーン、そしてVJを駆使してその2つを繋ぎ合わせたという。acullhieのメンバーと共同で脚本をまとめた時点でこれはなかなか面白い内容になるぞ、と実感が湧きました。



2016年8月頃、海のシーンのロケ地を決める為にacullhieメンバー全員とブラック・ボーリー号に乗って候補地巡りをしました。新宿駅で待合せた僕らはブラック・ボーリー号に乗船していざ出発!という開始早々10分ぐらいで交通違反で切符を切られるハメに…運転手でもある僕の不注意ですがね。

そして2017年10月頃、千葉の雀島というところで海のシーンを撮影しました。実はこの日も新宿駅でメンバーと待合せていざ出発!という開始早々15分ぐらいで再び交通違反…もちろん交通ルールを遵守することが大事なんですが何であんなに厳しく…



撮影はいつもお願いしている吉岡泰介氏(ima studio)とフリーフォトグラファーのセオサユミ氏、そして一部Boriが担当しました。良いカメラを使うとひとつひとつのシーンに説得力が増しますね。

撮影は現地到着した午後から夕方までで撮影して持ち帰った動画を仮編集し、2つの編集バージョンを制作しました。いわゆる正統派な「ポップ・バージョン」と明暗を活かした「アート・バージョン」で、結果的に2つのバージョンを融合した「ポップアート・ミックス」を採用することにしました。



その後、しばらく作業中断してたけれど2017年5月に都内某所にて室内での演奏シーンを撮影することになり、前に編集しておいた海のシーンをVJ映像に組み込んで、バンドメンバーと重ねた演奏シーンを撮影して再編集しました。

ちなみにこのスタジオは以前にstrange world's end「窒息」MVを撮影したところで、その時の経験と反省点がアップデートできたなと思います。


…最終的に約2.5本分のMV編集をしてようやく完成に漕ぎ着けた形になりますね、レイヤーは2.5層という感じです。タイミング調整とかいろいろ大変だったけれど新しい手法を習得することができたし、僕自身にも良い経験になりました。

 

楽曲がポップということもあってMVも淡いライトな感じに仕上がりましたね。




今回のMV制作を依頼してくれたacullhieの皆さんに感謝します。

願わくばこのMVがいろんな方々に拡がってもらえると制作者として嬉しいです。

Bori(LosingMySilentDoors/音景-Onkei-)

 

8/1(火)は東京国際フォーラムへシガー・ロス(Sigur Rós)来日公演を観に行きました。前回観たのが2013年5月の日本武道館だったので約4年ぶりですね。彼らの切り開いたポストロック的な音楽性もさることながら、VJ映像のセンスやステージ舞台装置の演出など毎回、目を見張るものが多くて多角的に刺激を受けて来ました。

チケットはもちろん争奪戦で僕の応募した抽選はハズレてしまったけれど、一緒に行く仲間が確保してくれたので助かりました。

僕らにとってシガー・ロスはビョークに並ぶ音楽界の至宝を体験しに行くようなものですからね。


 

この日の来日公演を心待ちにしてた知り合いがたくさん観に来てたようで、後からSNSで知り合いがこぞって足を運んでたのを知って、とても嬉しくなりました。大好きなアーティストの話ができるのは嬉しいものです。

雨が降りしきるJR有楽町駅から東京国際フォーラムへ、待合せた仲間たちと合流して、物販でTシャツを買って、エスカレーターを昇っていく。僕らの座席はL側2階席のほぼいちばん上の遠い...ステージを正面から観るのでなく斜め上から見下ろす感じ…彼らの音楽を真正面から体験することができない分、ステージ舞台装置の仕組みなど客観的に観ることができて良かった。



 

前回観たライヴの時からメンバーが1人抜けて3人体制になったのだけど、今回はメンバー補強して音を埋めることもなく、「3人だけのシンプルなライヴ」が前提となっていて、ヨンシーの美声も含めて改めて楽曲の力を再確認する場となりました。

ライヴは前半・後半の二部制になっていて、前半は静かに始まりシンプルで静かめなセットリスト中心、それに合わせてVJ映像やステージ演出も極力シンプル、シンプルな中にも1枚1枚のセンスの良さが光ってました。

20分ぐらいの休憩になったのでドリンクバーに行くと知り合いに遭遇できて前半について語れました。1人はこれから自分のライヴがあるからと半分だけ観て去って行きました(笑)



 

後半はやや大きめの楽曲やお馴染みの楽曲中心で、それに合わせてVJ映像も、ステージ照明も派手にリンクして、途中でヨンシーの動きが止まってみんなが息を飲むシーンもあったり、最後はフラッシュがビカビカと大点滅してフィナーレ。

VJ映像に「Takk…」の文字が浮かんで、メンバー3人が2回も深々と頭を下げて、ステージを去って行くと、いろんな感情が頭を過りました。



 

…ここ最近、自分自身がアルバム制作やVJ業務が忙しくて、新しい音楽を作る・歌を歌う、という基本的な部分を忘れがちになってたけれど、改めて音楽は歌心を中心に演奏やサウンドにつながって、そこから照明やVJやイベントなどで外側へ拡がっていくものだから、再び歌心を思い出すことがこれから大切な道標になると再確認できました。

VJ映像でもシンプルながら魅力的な演出が多いに刺激になったし、LEDバーを自由自在に点灯させるのはいつかやってみたい、いつかステージ舞台装置をコントロールしてみたいですね。


久しぶりに観に行って本当に良かった。

ありがとうシガー・ロス!

Bori(LosingMySilentDoors/音景-Onkei-)