昨夜、映画『おおかみこどもの雨と雪』を見ようとしたら、息子がぽつりとつぶやきました。


「おれはもう、感動するとかそういうのない。余裕ない」


その言葉に、胸の奥が少し痛みました。

でも、無理に励まさず、ただうなずきました。

言葉よりも、沈黙のほうが届く気がしたからです。


映画の終わりごろ、ふと息子がリビングに出てきました。


私は何気なく、「母親目線から見ると、深い話なんだよね」と話しました。

彼は少し考えるようにして、静かに言いました。


「雨には共感できるけど、雪はきらい。

普通に人間として暮らしていくから」


彼なりに、以前とは少し違う自分を感じているのだと思います。

その感覚があるからこそ、普通という言葉に、いろんな思いが重なっているのでしょう。


『おおかみこども』の母親のように、

子どもが自分の生き方を選ぶ瞬間を、

静かに見守るしかない。


それは、無力さではなく、信じること。

母としての覚悟なのだと、少しだけ思えた夜でした。