●かんべえの不規則発言 | ブー子のブログ

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損したらどうしよう、と思ったら、やめればいい。
それはやりたくないことだから。

損してもいい、と思ったら、やればいい。
それはやりたいことだから。





2012年1月 





<1月11日>(水)

○ニューハンプシャー州予備選挙が終わる。

○1位はミット・ロムニーが39%で、初めて支持率が2割台の壁を越えた。でも、これってお隣の州の元知事さんが、ずっと前から周到に準備をしていた(4年前にも選挙運動したし、わざわざ別荘も買った)ことによる追い風参考記録。1月21日のサウスカロライナ州はどうなることやら。共和党の過去の記録を見ると、アイオワ州党員集会とニューハンプシャー州予備選の両方を勝ったのは、1976年のジェラルド・フォードしか居ない。だったらこれで堂々の本命候補と言いたいところだが、「7割の共和党員に嫌われている候補者」としては苦しいところ。

○2位はロン・ポールが23%であった。いつもの泡沫候補が、なぜこんなに強いのか。若者層の支持が集まっている模様なのだが、「海外からの米軍全面撤退」式の孤立主義がそれなりに賛同を得ているのかもしれない。FEDを解体せよだの、金本位制の導入だのと、政策的にはかな~り困ったちゃんなのだが、「第三政党で出ます」(1988年にも実際にやりましたし)と言われると、2000年のラルフ・ネイダーみたいに共和党の足を引っ張るかもしれない。ゆえに粗略にできないのがツライ。

○3位はジョン・ハンツマンで17%。アイオワを捨ててニューハンプシャーに一点賭けしてきたのだが、ロムニーと同じモルモン教徒だということでキャラがかぶったか、今ひとつ伸びなかった。悪い候補ではないと思うのだが、とりあえず2012年は「私はオバマ政権で中国大使を務めてしまいましたぁ、ごめんなさい」というミソギ期間と考えればいいのかも。ここで負けておけば、2016年に共和党内からうるさいこと言われないで済むし、それにまだ51歳だし。

○4位と5位はほとんど同着でニュート・ギングリッチとリック・サントラムだった。それぞれ9%。二桁に達しない、という点がいかにも哀しい。ギングリッチは、いよいよこれで終わった感が強い。でも、彼にはサウスカロライナでロムニー批判を展開して一太刀浴びせてやる、という楽しみがある。自分は勝てないまでも、恨みはらさでおくべきか。実際にそういう行動が似合う人でもある。ロムニーにとってはいい迷惑だが、これはつくづく相手が悪い。

○5位のサントラムは、アイオワの勢いを持続できなかった。というか、アイオワで受ける人(社会的保守派)はニューハンプシャーで受ける人(経済的保守派)とタイプが違う。アイオワと同じことを言ったら、かならずニューハンプシャーでは負ける。その辺が反省材料。でも年も若いんだし、南部諸州でもう少し頑張ってくれたまへ。

○6位はリック・ペリー。なんと1%の得票に終わってしまった。アイオワが終わった瞬間に、「テキサスに帰って今後の方策を考える」と言ったのは、普通に考えれば撤退宣言の婉曲話法である。にもかかわらず、後から「サウスカロライナへ行く」と言ってしまった。間に挟まったニューハンプシャー州民としては、この馬鹿野郎めが、ということで断罪してしまう。この人の政治オンチはかなりの重症でしょう。きっと人間的にはいい人なんだろうなあ。

○結論として「二人のリック」が負け頭でした。君の瞳に乾杯!


<1月13日>(金)

○いろんな人と話をして、政局やら国際情勢やら日本経済やらいろんな情報が交錯した一日でした。でも記録しておくのは、引退が近い偉い人から聞いた、若い人への以下のアドバイス。

●知識よりも人間関係。

●仕事は嫌われない程度にしつこく。

●迷ったときはやってみる。

●信頼は歩いてやってくるが、馬の背に乗って去っていく。

○たまにはこういうのも、味があっていいんじゃないかと。


<1月14日>(土)

○イラン情勢が風雲急を告げております。あの辺のことは全然知らないのですけれども、以前に某シンクタンクが主催した「イラン核開発危機」のシミュレーションゲームに参加した経験を思い出しつつ、この辺がポイントかな~と感じたことをメモしておきます。

1.イランの立場になってみると、北のロシア、東の印・パキ、南のイスラエルが核保有国である。「自分だけが持っていない」ことは、誇り高きペルシャ民族には耐え難いこと。そしてイランがその気になってしまうと、いくら先進国が束になって干渉しても、核開発を止めることはなかなか難しい。

2.歴史的・宗教的な経緯もあって、欧米の世論はイランを絶対的な悪と見なす傾向がある。特に大統領選挙のときの米国においては、イランは「心から安心して叩ける」ありがたい相手である。(最近の中国は、叩きにくい相手になりつつある)。

3.イランの軍事予算は増えた昨今でも100億ドル程度であり、サウジやUAEよりも小さい。ホルムズ海峡の封鎖も、口でいうほど簡単ではないはずである。(あれはマエハラ・・・もとい「言うだけ番長」なのではないかなあ)。

4.イランの国内事情はかなり複雑なので、対外強硬姿勢は国内政治の関数であるのかもしれない。が、所詮は外からは判じがたい話なので、「アラブの春が伝播して体制転換が起きる」などといった期待を持つべきではない。

5.アラブの国にとってイランは歴史的ライバルなので、国際社会がイランへの警戒感を強めることを歓迎する。ついでに石油価格が上がることも歓迎する。

6.イランが強硬姿勢を見せているときに、もっとも警戒しなければならないのはイスラエルの単独行動である。軍事行動に対して、他の国と違う価値観をもっているし、特に対米関係が悪化している現在は出方が読みにくい。

7.この問題に対して、日本政府にできることはあまりない。ただしシーレーンの問題があるので、念のために「もう1回インド洋に出る」ことを検討しておいた方いいかもしれない(でも防衛大臣は・・・とほほ)。