読者Aさんより
質問
先日イタリアの国債を大量に買っているという日本の金融機関の話を先週御紹介しました。多分、イタリアが倒産する前に評価損に耐えられず、そこが倒産する、という結末になるんだろうと思います。気を付けてくださいね。
という記述がありました。
この記述について幾つか疑問があります。
「日本の金融機関」の話をこのメルマガより前にしたことがある旨書かれていますが、これが「先日」なのか「先週」なのか、上記表現では不明です。どちらでしょうか。私が調べた所、メルマガにもブログにもそういう記述がなかったような気がするのですが・・・・・
ぐっちー 「えっ・・・・・・・・・」
どうも書いた記憶があったのですが書いてなかったみたいですね~、今週のメルマガで初登場の情報だったようです。結構前から噂になっていたので講演会などでしゃべっていたのでついうっかり書いたつもりになってしまったのかもしれません。大変申し訳ありません。記憶喪失です・・・・
でも大事な点は、全く変わっておりませんのでご安心を。要するにこのギリシア危機の最中、急落しているイタリア国債を「これはおいしい」、といってしこたま買っている金融機関があるということを申し上げている訳です。
そして
さらに言うとこのイタリア国債問題はそれだけでは済まない大変な爆弾を抱えていると言う事をついでにちょっと御説明しておきたいと思います。スペシャルバージョンであります。
他の読者の方も御調べになってくださっていて、恐らく、日本の主要金融機関、全てを合わせてもイタリア国債の保有残高など1兆円もないと思います。
ですから、大手の金融機関、例えば三菱銀行が5000億円持っているとか出てきても彼らの規模からすれば実にどうってことない数字です。
問題はこの暴落の最中に6%の利回りがおいしいと言って買っている輩で、これがそのまま急落して時価評価されることになれば、多分自己資本ではカバーできないだろうな、という点です。
つまりこれは大手の話ではない、ということです。
日本の金融機関、生命保険、銀行などは80年代から押しなべて全資産の10%程度しか外貨に投資しないという傾向があります。
その中で時々突出する奴が現れて、ドル建てのCDOをごちゃまんと買って潰れた大和生命や滝野川信金みたいな所が出てくる訳です。
で、今回もこの急落の最中にイタリア国債を買いまくっている、という輩が出てきた、ということで、どことは申し上げられませんが、中小金融機関ということになりますね。
ついでに皆さんが持っている投信も今一度良く注意された方がいいと思います。
グローバルソブリンなどその典型で、一応先進国の国債に投資をするから安心だ、としていますが、タリア国債やポルトガル国債を利回りを上げるために大量に購入しているかもしれませんよ。これは投信の投資方針上「NO」ではないので文句が言えません。すぐ御自分の投信を調べる事をお勧めします。
それから欧州危機、ギリシアは小さいので日本には大した被害は無い訳ですが
これがイタリア、しかもイタリア国債の危機となるとやはり話が違ってきます。
問題の本質をお話ししましょう。
2008年にリーマンが倒産する、と早くからブログで予言できたのは要するにリーマンに対して金を貸す奴がいなくなったのをこの目で見ていたからです。
レポといって金融機関同士の資金の貸し借りをする市場があるのですが、そのレポ市場でリーマンに対して掛け目を掛け始めた時点でこれはやばい、とわかりました。担保に提供されるのは国債(リーマンの時は主に米国債)なので、担保価値は確実に残るので100%貸し付ける事が出来る筈です。ただその相手であるリーマンが危ないとなるとその分を計算して、例えば10%価格が動くまでは追加担保いりません、となっている契約を、リーマンはやばそうだから3%にしておこう、というような変更する動きが出てきて、最終的にはいくら担保をくれてもクレジットラインが一杯ですよ、ということになり行き詰るのです。大体そういう時には出せる担保も無くなるものですよね。
実はあのLTCMも完全に同じ構図で潰れました。
これが銀行ですと最後に中央銀行に泣きつく事ができますが、証券会社やましてヘッジファンドなどは泣きつきようがなかった訳です。
そこで、いざという時に泣きつけるように、リーマンショックのあとモルガンもゴールドマンもFRBの傘下に入る道を選びました。その分レバレッジが厳しく制限されるので、儲けの道も監視されて閉ざされるのですが、何より泣きつける相手がいない事にはいざという時に倒産してしまう、と焦った訳ですね。
ただ、これらの信用事由はあくまでも個別の金融機関がどうなのよ、という話ですよね。だから国債を担保に取っていれば担保自体は生きている。だから連銀もいざとなったらその担保を使って救済できる訳ですよ。
今回の問題は相手がやばそうだ、と思っても、なおかつ担保がイタリア国債というケースな訳ですね。その担保がやばい、って話なんですよ。相手はヤバくても担保はセーフだったのがリーマンのケース。今回は相手もヤバいし、出してくる担保もヤバいというとんでもない事態なのです。ですから大事件なんですよ、これは。
しかも、やばいと思っているその担保は建前上「やばくない」と取り扱わねばならず、一応日本国債や米国債を持ち込まれたのと同じ扱いをさせられる。
区別した瞬間にそれこそ「デフォルト条項」にひっかかってしまうので、G7の
「自国通貨建て」の国債を担保価値が棄損している、なんて誰も口が裂けても言えない。
それでも、例えば三菱銀行がドイツ銀行からレポを申し込まれてイタリア国債を担保、と言われればあくまで民間銀行同士なので、
「すみません、ドイツ銀行さんのファイナンス枠はすでに一杯になってしまっていまして、枠を広げるべく稟議を上げますので1カ月待ってください・・・」
なんて、日本独特の断り方が通用する訳ですね。稟議を上げる気なんかないんですが、まあ、日本の銀行だからしゃーねーな、とドイツ銀行も諦める。
しかし!
絶対断れない銀行が一つだけ東京にあるんです。
日銀です。
日銀などG7の中央銀行はそれぞれ各国の金融機関の現地市場における流動性の確保をうたっていますので、同じようなアプローチでドイツ銀行がイタリア国債を担保にして東京市場で円を調達したい、と日銀に持ち込まれれば・・・日銀がNOとは言えない仕組みになっています。もちろん日本の銀行がロンドンやニューヨークでやっても同じ事なのですが、要するに中央銀行めがけて担保としてイタリア国債が集まってくる事になるのです。
どっかの中央銀行がもう担保として認めんぞ!!
といった瞬間にイタリアは完全にデフォルトです。
ギリシアは国債の発行額も小さいのでこういう心配をしなくてよかったのですが、イタリアは200兆円も国債を発行してますから、こういう心配をしなければならないのですよ。
まさか日銀もNOとは言えない。でも担保として続々と集まりつつある、というが実情なのです。これ、相当怖いですよね・・・・
因みに日本銀行の株価は現在40,050円。
2008年には200,000円でしたからね。5分の1
ヤバいと思っている人もいるんでしょうね~、きっと。
ということで、すみません、イタリア国債を大量に購入している金融機関は複数あるのですが、いずれも大手金融機関ではありません。
しかし、一番の大口は担保で抱えさせられる日本銀行です、という事も覚えておいてください。
なんだか記憶喪失みたいで申し訳ありませんでしたが、
今後ともまたよろしくお願い申し上げます。
具体名は残念ながら控えさせて頂きます。
まぁ。
イタリアのプライマリーバランスはまだプラスなんだから、
ちょっと落ち着きなさいよ。