3社はいずれもオリンパスが主力とするカメラや医療機器とはかけ離れた事業を手掛けており、従業員数は50人に満たない。また、帝国データバンクによると、いずれの会社も直近の会計年度の売上高は9億円未満だ。
オリンパスは19日、買収金額は適正であったと述べた。同社は財務報告書の提示は拒否したが、11年3月期の3社合計の売上高は十数億円だと述べた。買収したのは、資源リサイクル会社のアルティス、化粧品・健康食品販売のヒューマラボ、電子レンジ調理容器を製造するニューズシェフの3社。
数カ月前からこの買収価格に疑問を抱いていたのが、14日に解任された前社長のマイケル・ウッドフォード氏だ。オリンパスは、解任の理由を経営の方向性・手法に関する乖離(かいり)だと説明した。一方、ウッドフォード氏は、買収について追及するとともに、菊川剛会長に辞任を要求したところ解任されたと述べた。 オリンパスは19日、08年に英医療機器メーカー、ジャイラス・グループを19億2000万ドル(約1470億円)で買収した際、投資助言会社に総額6億8700万ドルを支払ったことも認めた。ウッドフォード氏はこの取引に関しても疑問を呈していた。
オリンパスによると、その内訳は約6700万ドルの手数料と発行価格約1億7700万ドルのジャイラスの優先株。オリンパスはその後、優先株が値上がりした後に6億2000万ドルでそれを買い戻した。
オリンパスの株価は20日、前日比4.9%安となり、13日以降47%も下落している。
オリンパスによると、外部会計事務所による3社の見積価格はオリンパスが支払った金額を最大で79%上回るものだった。同社はこの会計事務所の公表は拒否した。買収の理由については、同社が数十年前から取り組む事業の多角化を狙いとしたものだったとした。また、世界的な金融危機後の「外部環境の悪化」により、09年に約560億円を減損処理せざるを得なかったことも明らかにした。
3社がオフィスを構える都内の何の変哲もないオフィスビルをのぞいてみると、それら企業と親会社とがいかにかけ離れているかかが分かる。
オリンパスは2000年代前半に新興企業買収を手掛ける部門を創設し、以来3社を含む複数の企業を買収してきた。オリンパスの広報担当者によると、3社を監督しているのは同社の新規事業立ち上げ部門。執行役員の川田均氏が3社すべての取締役会に名を連ねている。
3社の経営幹部は取材に応じ、突然会社が注目を浴びることになり驚いているとし、メディアに対して話をするのは今回が初めてだと述べた。3人の経営幹部は連れだって取材の場に現れ、笑いながら自分たちを「兄弟」と呼んだ。3人はいずれもオリンパスの買収後に入社したため、買収の詳細は分からないと述べた。
また、オリンパスの主力事業であるカメラや内視鏡などの事業と、彼らが手掛ける老化防止クリームやプラスチック製食品容器の製造事業の間に大した相乗効果があるともみていない。
ニューズシェフの林幸一郎・業務部長は、今回の件について「違う世界の話という気がする。一般のお客にオリンパスの子会社だと伝えても業務が関係ないのであまり意味がない」と述べた。
ニューズシェフは従業員数約30人の電子レンジ調理容器を扱う会社。同社はウッドフォード氏が解任された14日、すき焼きなどの和食料理用のだし汁を発売した。帝国データバンクの推計によると、同社の11年度業績は22億円の赤字で、売上高は6億円。オリンパスも3社も各社の財務情報の開示は拒否した。
ヒューマラボは、シイタケ菌などを原料とした健康補助食品を販売しており、最も高い60包入りのパッケージは7万円する。また「アージュレス」のブランド名でヘアケアやスキンケア用品も販売している。帝国データバンクの推計によると、11年度の税引き前損失は16億円、売上高は9億円。
アルティスは資源リサイクル事業を手掛ける会社で、帝国データバンクの推計によると、損失は7億円、売上高は2億1000万円。設立は05年で、主に医療施設や産業プラントからのプラスチック廃棄物の再生処理を行っている。
記者: Kana Inagaki and Juro Osawa
もうひとつ、オリンパスの社外取締役3人は何をしているのか。会社側の不正を調べる立場なのに唯々諾々。順天堂大学元教授の林田康男氏はオリンパスのお得意先だし、来間紘氏は日経元専務で前テレビ愛知社長、林純一氏は野村証券出身でアングラム代表と、メディアと金融の利害関係者ばかり。ウッドフォード解任は当人以外全員が賛成したので同罪だから、このままだと株主代表訴訟の被告になるでしょう。
追記(10/19 15:00):ウッドフォード氏はFTのビデオインタビューで、「FACTAの記事を読んで恐くなった」「FACTAが報道したのに、メーンストリームのメディアは報じなかった」とはっきり言っている。日本のメディアに対する外国人投資家の不信感は増すばかりだろう。