IEAに逆らう原油相場 | ブー子のブログ

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 相場を低く抑えようとする国際的な試みを尻目に、原油は上昇基調を取り戻し、急上昇している。

 原油先物相場は、国際エネルギー機関(IEA)が6月下旬に6000万バレルの備蓄放出計画を発表した直後こそ落ち込んだが、このところ発表前の水準に回復している。ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)の8日終値は1バレル=96.20ドル。



 これは、発表後につけた安値から6%以上高い水準。ガソリン先物は11%上昇しており、今後数週に小売価格が一段と高くなることを示唆している。

 北海ブレント先物はさらに上昇が急激だ。発表後の安値に比べて13%高くなっており、上げ幅は先週だけで6%近くに達した。

$ブー子のブログ 投資家は、放出された原油は材料視せず、世界の景気回復に伴い中国をはじめとする消費国の旺盛な需要が引き続き相場を押し上げるとの観測に焦点を置いている。ウォール街の複数の銀行が、IEAの動きは長期供給懸念の緩和につながらないとして、原油の目標価格を上方修正した。このことから、原油相場、そして金融市場一般にほとんど政府の管理が及ばないことが裏付けられた。

 IEAが協調放出に踏み切るのはこれが3度目だ。

 アナリストらは今回の動きについて、「量的緩和」に代わる措置であり、原油相場押し下げと景気浮揚が目的だとみている。これに対しIEAは、リビアの減産や予想される製油所の季節的需要増への対応が主な狙いとしている。

 トレーダーらは当初、以前の緊急放出時のように、追加供給で市場がだぶつき、相場が長期低迷に陥ると懸念していた。

 IEAが1991年、イラクのクウェート侵攻を受け原油を放出すると、相場は1日で30%超下落し、数年にわたり軟調に推移した。ハリケーン「カトリーナ」のメキシコ湾襲来による供給不足への対応として2005年に再び放出を行ったときは、相場が戻るまで4カ月かかった。

 今回は、下落が続いたのは3営業日だ。

 米戦略石油備蓄(SPR)に関するアドバイスを行うストラテジック・ペトロリアム・コンサルティングのジョン・シェージス氏は「金融市場の明るい材料は何であれ、将来の石油需要がそれまでの予想より増えるとの見方につながる」と述べた。同氏は04-07年にSPRプログラムを管理していた。

 相場の回復が急速だったことから、追加放出の可能性がうわさされた。IEA加盟国は原油や精製品合わせて40億バレル以上の備蓄を持つ。追加放出となれば、相場に一段の圧力がかかるだろう。

 ホワイトハウスもIEAも、市場で逼迫(ひっぱく)が続いた場合は追加供給に踏み切る可能性があるとしている。

 シェージス氏は「トレーダーは1回限りのことだと考えている。しかし、間違っているかもしれない」と述べた。

 ゴールドマン・サックスのアナリストらは先週、北海ブレント相場が今後12カ月で130ドルに上昇するとの見方をあらためて示した。8日終値は118.33ドル。

 JPモルガン・チェースのアナリストらは、今年の平均ブレント相場予想を5%引き上げ、112バレルとした。WTIについては、93バレルから98バレルに上方修正している。

 備蓄の放出が、世界の需給バランスに大きな影響は及ぼすことはなさそうだ。また、「緩やかな(経済)成長見通しを受けた需要増加だけで、原油在庫はかなり減少するとみられ」、これが相場の押し上げ圧力になるとゴールドマンのアナリストらは調査文書で書いている。

 エネルギー省傘下のSPRは、銀行その他企業を対象に行った入札の落札者を11日に発表する予定。

 同省によると、「暫定結果で成功した入札者」には、JPモルガンとバークレイズが含まれる。

 既に垣間見えるSPRの入札の詳細から、原油が当初考えられていたほど早急にガソリンやディーゼルのような有用な製品に変わるわけではないことが予想される。暫定結果によると80%以上がバージ船などの船舶に積まれることから、原油の一部はしばらく貯蔵されるとみられる。

 米民間在庫は過去最高水準の近辺で推移しているため、一部トレーダーは、後で売却しやすいように海上貯蔵を検討するかもしれない。

 実際に放出される際、石油市場に二次的影響が出かねないとの指摘がある。放出の可能性が最も高い8月に、エネルギー省の週間統計で在庫が増える可能性がある。(SPRから放出される)原油3060万バレルは、米民間在庫の約9%に相当。

 JPモルガンの石油調査部門を率いるローレンス・イーグルス氏は「現物が到着したときに二次的影響があるだろう」と述べた。

 米SPRは世界最大の非常用石油備蓄。アラブ産油国による対米禁輸措置を受け、1973年に設置された。テキサス、ルイジアナ両州の地下深くの施設は7億2700万バレルの貯蔵能力を持ち、米国の消費を約35日にわたり賄える。

 ただ、米国やIEAが放出を続けるには限界がありそうだとBNPパリバの商品市場戦略部門トップ、ハリー・チリンギリアン氏は語る。

 連邦準備理事会(FRB)の量的緩和策と違い、「原油を刷ることはできない」と同氏は説明した。