◎衰退の影がしのび寄るドイツ ドイツは世界有数の輸出国です。輸出比率(輸出金額÷GDP)は47.5%に達しています。ちなみに、日本の輸出比率は17.4%です。これでは通商国家、貿易立国とはいえません。
資源・エネルギーが乏しく、狭い国土に多くの人々が寄せ合って暮らす似たような両国なのに、この違いはどうして生じたのでしょうか。
まず、EU(欧州連合)、およびユーロがあり、通貨の不安なしに域内貿易が行えたことでしょう。一種の自由貿易協定です。法人税率も大幅に引き下げました。ユーロ加盟国の平均法人税率は23.0%です。
しかし、そのドイツに衰退の影がしのび寄っています。第1の理由はエネルギー政策です。2025年までに原発を全廃(12基のうち8基はすでに休止)、自然エネルギーのウェイトを17%→35%に高める方針ですが、電力コストは確実に上昇します。
不足する電力は隣国フランスから購入する、としています。しかし、これは“脱原発”の方針と矛盾しています。なにしろ、フランスの電力は8割強が原発なのです。
電力の供給(特に大口向け)は鉱工業生産と密接にかかわり合っており、つれてGDPに影響を与えます。電力不足は成長率を引き下げます。
さらに、ドイツにはギリシャ、アイルランド、ポルトガルの“救済”というトラブルの火種があります。イソップ物語の「アリとキリギリス」のようにはいきません。
これらの国に対し、巨額の売掛債権、融資のほか、これらの国々発行の国債を保有しています。巣の中に大量の食料がたくわえられているわけではありません。アリと違って、食糧はギリシャ、アイルランド、ポルトガルに置いてあるのです。
ユーロは、ロバート・マンデル博士の「最適通貨圏の理論」に従えば、単一通貨としての条件を満たしていません。いずれ、ユーロ加盟国(現在17カ国)は南北(強い国と弱い国)に分裂するでしょう。
◎賃金も、いつのまにやら“3流国”
中期的に、ドイツはユーロ安のメリットを享受できません。賃金の高さも製造業に取って、大きなネックになるでしょう。1時間当りの賃金は36ドル14セントとなっており、日本のそれ(24ドル95セント)を大幅に上回っています。
かつて、日本の賃金は世界一でした。それがいつの間にやら賃金も“3流国”になってしまったのです。宮城県の賃金(19ドル79セント)はスペイン(20ドル46セント)よりも安いのです。情けない話じゃありませんか。
この背景には「失われた20年」と形容される日本経済の長期低迷(デフレ、円高を放置)、産業の空洞化、低賃金のアジア勢との闘い、過酷な法人税率(40.7%)などがあったと思います。自由貿易協定の交渉遅れも主要因のひとつです。
まあ、すべての基本は政治にあります。その政治が瞑想を続けています。平成に入って16人の首相が誕生、年内には17人目が登場しそうです。やるべきことは分かっているはずではありませんか。政治家の怠慢は万死に値します。
今週もモヤモヤとした相場展開が続くでしょう。こんな時はあせらず、国の将来についてじっくり考えるのも有効でしょう。銘柄的には堅調な値動きをみせている国際計測器(7722)(JQ/100株)、IDE(6652)(東1/100)などに妙味あり、と考えています。全般相場が反発に転じるきっかけは「大連立」でしょう。その場合、復興関連セクターが大フィーバーを演じる、とみています。