日本国債は危なくない! | ブー子のブログ

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損してもいい、と思ったら、やればいい。
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日本国債は危なくない!
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今回はあまりにも一般報道がひどいので緊急配信をさせてもらいました。

全体を含めこれは保存版になるように書いておきます。恐らく消費税増税のネ
タに使われてしまうでしょうから、まずは財務省のうそから暴いてしまいまし
ょう。これらはすべて事実ですのであとはみなさんがどうお考えになるかだけ
です。ブログに書くと(こんな私に出さえ)突然あちこちから圧力がかかるの
でこの種のネタはどうしてもメルマガで書く事になりますのでよろしくお願い
致します。

まず債券そのものの格付けと、S&P社(スタンダードプアーズ社・・・以下
SP社)による勝手なカントリーランキングである「ソブリン格付け」が完全
に混同されてしまっています。

いつも書いていますが日本の新聞記者がばかなのか、わかっていてわざと財務
省の方針通り増税をサポートしようとしているのかまではわかりません。しか
し違う事は違う訳であり、プロはみんな分かっている。なのにそういう報道が
出てこないのであれば私が書くしかありませんね。ということで緊急配信とな
りました。

そもそも日本国債には格付けがありません。無格付けです。但しこれは自国通
貨建て国債に格付けをするのはナンセンスなのでごくふつうの事です。
もし格下げと報道するなら今の格付けは何かと当然問わねばなりませんが、く
どいようですが、円建て日本国債に格付けはないのです。

あるとすれば緊急配信に書いたように外貨建て日本国債なのですがこれも日本
は1円たりとも発行していないので発行していないものに格付けは付けられま
せん。

この債券格付けとSP社によるソブリン格付けが全く異なるものであるという
債券では常識中の常識を覚えてください。そしてその他周辺情報をこれから書
きます。

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話は遡りますが実は2002年5月、SP社と並ぶ格付け機関であるムーディ
ーズインベスターズ社が発行もされていない外貨建て日本国債そのものの格付
けをA2にまで引き下げました。これは債券格付けですのでこちらは確かに日
本国債格下げなのです。そして当時SP社はやはりこれに引き続いて日本の構
造改革の遅延を理由にこのソブリン格付けをAAマイナス、つまり今回と同じ
レベルに引き下げている。今回はそのあとの見通し、アウトルックは安定的と
しましたが、2002年当時アウトルックはネガティブ、更に悪くなるという
見通しまで御丁寧につけていたのです。

これが、所謂ソブリン格付けでして、財政の事だけ言うのであれば2002年
当時の財政状況、例えば政府債務はせいぜい700兆円でしたから800兆円
を超えている今の方が安全とされた、となってしまいますね。今回は安定的と
いうアウトルックが付いた訳ですから。

ですからこのソブリン格付けは国そのものの経済力をSP社の基準でどの程度
実力があるか、ということを判定した所謂カントリーランキングに当たるもの
だと言う事がわかって頂けると思います。体重が減れば健康上問題があると推
測される事はあっても実際に何が悪いのかは別問題なのです。

そもそもSP社とは何なんでしょうか。
一言でいいますと1860年と創業は極めて古いのですが単なる民間の格付け
などを含める情報会社なのです。

彼らが妙な権威をもった背景には、彼らが判断したAAAからAA(プラス・
フラット・マイナス)、A、BBB(プラス・フラット・マイナス)と格付け
して行きましてこのBBBまでを投資適格基準としたアメリカの年金基金の投
資規制があるのです。アメリカの年金基金がこれを投資基準として採用したこ
とからある種の「権威」が生まれ、これにより債券を投資する場合の基準とし
て広く用いられるようになります。

今の銀行のBIS基準などを計る場合にもこの格付けが用いられており、ムー
ディーズ及びSP社のいずれかでついた格付けによってリスクウェートを決定
するなど・・・様々な局面で用いられます。その意味では債券投資をする人間
にはある種の「お墨付き」となっていたことは確かです。

しかし、所詮民間の企業であること、そしてなにより債券を発行する発行体そ
のもの、若しくは発行をアレンジする証券会社などからフィーをもらって格付
けを付けているのですから、発行体そのものが御客様と言う面があり、本当に
きちんと格付けされているのか(つまりわいろなどもらっていないのか)とい
う疑問は1980年代からありました。なぜならあの1989年から始まった
SLの倒産の嵐の中、それまでAAAやAAだった会社が次々と一夜にして倒
産してしまったからです。
今回問題にしているSP社のソブリン格付けも惨憺たるものでAAなどを付し
ていた北欧の国々が銀行倒産を契機に次々と財政危機に陥ります。その格付け
の過程で何が起きていたのか当時ですら大問題になっていたのです。要するに
君たち、一体何をみて格付けしているのか、ということです。

そして皆さんご存じのリーマンショックが起きます。これにより、彼らが付け
ていた証券化商品の格付けが全く使い物にならなかったことが判明します。何
せAAAの債券が一夜にして紙切れになった訳ですから。

さらにこのソブリン格付けも先ほどの北欧の例だけではなく、今回のギリシア
、アイルランド、アイスランドなどすべてAA以上を付けていたにも関わらず
こういう事態になっている。あの1989年の間違いをまた起こしている訳で
す。
結局数字しか見ておらず、その国に住んでその国の国民性などを見ている訳で
はない。数字だけで判断すると危ない! といつも私が言っている事を証明し
ているような連中なのです。経済は科学ではないのです。

百歩譲って彼らが日本のソブリン格付けをするなら日本に住んできちんと日本
の分析をするべきでしょう。発表された数字だけをみてカントリーリスクを判
断するなんてことは、一定のフォーミュラーさえあればばかでもできる。

そしてSP社は過去にこれだけ「はずしまくって」来た訳でそのフォーミュラ
ーが当てにならないということはもう証明されつくしてしまっている。
今回もソブリン格付けに関してはベルギーが日本と同じ格付けなのですよ。ス
ペインは日本より上です。何を考えているのだろうか・・と思われませんか?

ワタクシもベルギーに住んでいる訳ではありませんが、その国の企業の時価総
額を比較しただけでも国の質の違いがわかるでしょう。それすらも考慮に入れ
ずに勝手に格付けされてしまう。しかもソブリン格付けは外貨建て、現地通貨
建ての区別もしていないので、日本が日本国内でファイナンスしていることま
で「危険要素」とされているのです。

日本がAAマイナスとするなら今や次のファイナンスに汲々としているベルギ
ーと同じ格付けというのはいかに何でもおかしい、と思いますよね。

実際2002年にこれが起きている訳です。そして当時はまだヘッジファンド
が元気でこれを材料にヘッジファンドが日本国債先物を思い切りショートして
暴落する事態となりました。その後もジャパンプレミアムとか言って、日本の
銀行が外貨を調達するレートが上がってしまい、御蔭でアメリカ国債をコンス
タントに買っていた日本の銀行がアメリカ国債を大量に売って、アメリカが焦
り狂った、などという事もありました。実に馬鹿げた事態ですが実際に起きた
事です。

そして今回はあちこち政党を動いている変なオヤジが警笛だ、とか言っている
ようですが、そもそもあの人はあのリーマンショックを「蚊に刺されたような
ものだ」と言った人ですからそのいい加減さは更にお墨付き。

そして何より、2002年当時は財務省がこのムーディーズによる債券格下げ
、SP社によるソブリン格付けの引き下げに対し猛烈に反発したのです。
今回はこれによって増税路線が敷けると考えているのでダマテンを決め込んで
いるようですが、元来財務省は反論するべきです。

なぜなら当時と今は何も変わっていないからです。よくGDPにくらべて政府
債務が180%という数字がおどりますが、これも財務省に洗脳されているだ
けで世界的にはまずその債務から資産を惹かねばならない。政府が持っている
道路、橋など様々な資産価値がゼロ、と言うならそれでいいのですが、元来こ
れをゼロに評価するなら、価値が無いものを営々と作り続けてきた政治家、財
務省の役人は全員クビになってしまうでしょう(笑)。
価値はあるのです。それを差し引いて債務比率を出す、というのが世界的標準
なのになぜ日本だけ資産をゼロにして評価しているのか、それは意図的にやっ
ているとしか思えませんよね。

さらに言えば政府債務だけではだめで、民間債務(特に対外債務)を計算する
必要があり、アメリカのように金融機関まで借金漬けになっている国ですと民
間債務合計でみると財政赤字はGDP比300%になってしまいます。
御存じの通り日本は民間債務を全部政府が肩代わりしたような体質になってい
ますので合計で見れば180%でもまだ少ない。更に資産を計上すればあっと
いう間に小さい数字になってしまう・・・・だからGDP比の債務比率を使う
のはおかしい・・・と私はいつも申し上げている訳でして、大事なのは全体の
数字なのです。

そしてその財務省。
2002年、債務総額700兆円(今は900兆円)当時何を言っていたのか
再度御紹介します。
当時の黒田財務官名にて2002年4月26日付でムーディーズなどの海外格
付け会社に対し「意見書」を送っています。
「日本は世界最大の貯蓄超過国であり国債は殆ど国内で極めて低金利で安定的
に消化されている。また日本は世界最大の経常黒字国であり外貨準備も世界最
大である。」
「日米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない。デフォル
トとしていかなる事態を想定しているのか」
と書いています。

いかがですか。財政がギリシャ並みだと言っている財務省自身がこれに反論で
きねばなりません。実際変わっているのは外貨準備が世界最大という部分だけ
でして、なぜなら最大は今や中国なのですが、当時の日本の外貨準備高はせい
ぜい4000億ドルです。今は既に1兆ドルを超えている訳ですからこの点に
おいても当時より「安全」な筈です。

話が前後しますが、政府債務のGDP比にこだわるならGDPを上げればいい
訳で、極端な話無駄な公共投資を復活すればあっという間に数字があがります
。またこれはいつも指摘されていますが、チップなどのない日本の素晴らしい
サービス業を全てチップ制にしただけで恐らくGDPは急激に増えるのです。

GDPなどの数字だけをいじるのは簡単でその意味でもGDP比などをあてに
していても仕方がない。

実際倒産したアジア通貨危機時のアジアの国々、IMFが救済した韓国などは
政府債務のGDP比率はせいぜい20%程度だったのですよ。この数字の当て
にならなさがわかるでしょう。つまり債務のGDP比と言う数字は政府のデフ
ォルト、債券不履行の可能性とは全く関係がない、という事例が多数ある訳で
す。なのに大新聞を筆頭にGDP比の数字ばかりが独り歩きする。
これなら「風邪をひいたらがんになる」と言っても正しい事になってしまいま
すよ。

そして今回は財務省も何も言っていない訳ですが、財政危機と言うならばこの
黒田財務次官発言をまず訂正することから始める必要があるでしょう。
これは個人的な発言ではありません。財務省の公式発言なのです。ですからま
ずどこがどう違って2002年より今が財政危機なのかを説明せねばなりませ
ん。私には何一つ変わっているように見えないのです。むしろ当時より余程良
くなっている訳でして(経常収支、貿易黒字、日本の企業時価総額、通貨価値
などなど)今が危ないというなら当時も危なかった(笑)。

結局あれから何も起きていないし金利も下がっている訳ですから危なくなった
訳ではない筈で、要するに財務省は「正しい事」を言っていたのです。

日本国債は世界でもまれにみる流動性のある国債市場でしかも国内での調達率
が95%という世界では例を見ない国内調達率なのです。これを「外人が見向
きもしない」と揶揄する新聞があるのには驚きですが、逆に言えば国の借金を
国民が抱え、その利払いは国民に来る訳ですからこれだけ健全な話はない。こ
れで経常収支や貿易収支が赤字というなら別ですが、いずれも「大黒字」の国
で国の債務が大きい、小さいという議論はナンセンスを超えて「あほ」としか
いいようがない。経済学的にはこの議論はどこにも破綻がないのです。

唯一の問題は政府(民間)債務が経済規模をはるかに拡大して大きくなってし
まうことですが、そうなればアルゼンチンやロシアがそうだったように確実に
通貨安(つまり円安)になります。
結局輸出が増えてその債務に見合うだけの黒字を稼ぎだす・・・というのがロ
ジックで、だからこそ円安歓迎論者がいるのではないですか?(笑)。さもな
くば言っている事は支離滅裂でこの通貨調整による財政の調整ができないから
こそユーロは大混乱になっているだけです。

日本はこのいずれにもあてはまらない。あとはプライマリーバランス、すなわ
ち国の税収から国債の利払い費・償還費を除いた歳出の比率が国債発行以外の
収入で保たれているということが重要で、これに関しては10兆円から20兆
円位のギャップがあるので歳出を削減して調整すればよろしい訳です。それは
金額的にもそれほど難しい筈はない。そもそも民主党は100兆円位埋蔵金が
出るといっていた訳ですから、その程度のものは難しいものではない筈です。

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いずれにせよ、このSP社の騒ぎ以降、金利は上がっていません。
最終的にはせいぜい1%~1.2%、悪くても1.5%程度で収まるのでしょ
う。
10年国債の1BPがだいたい6銭と見ると1.2%から金利があがって1.
5%になると30BPの金利上昇ですから180銭、すなわち1円80銭程度
の価格下落となります。

仮にこれがおこればこれを新聞はまた暴落とか書くのでしょうがわずか2%程
度の価格調整などは日常茶飯事でして、最近は動かないので大きく見えるだけ

為替に引きなおせば80円が82円になった程度のことになりますのでこれも
あまりおおげさにお考えにならないように今から準備しておいてください。

いずれにせよ、この種の話は増税直結になるのが心配で消費税の話はまた書き
ますが、再度「日本国債は危なくない」と申し上げておきたいと思います。

但し、日本国民が明日一斉に預金を引き出す、とか海外に逃げ出すと言う事が
起きれば話は別なのです。アルゼンチンでは実際に起きた事なのでそれについ
ては何とも言えませんが、円安、債券安と叫んでいる藤巻さんですら円で預金
を持っているようなので、まあ安心なのではないでしょうかね。(笑)。

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あとがき
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今回は緊急配信と合わせて日本国債の特集です。
何より増税のネタにされそうなのでみなさま是非ご注意頂きたい。
それにしても報道レベルの低さには呆れてものが言えなくなりました。
報道の端の方にいるものとしても改めて考えさせられるものがあります。

そして財務省はいつまでシラを切り続けるつもりでしょうか。
黒田財務官の書簡は海外でも有名でそれは良くできているのです。
しかしまたそれに目をつむり増税路線に突っ走っている。

プライマリーバランスの調整に必要なのはせいぜい10兆円です。それを
800兆円返済せねばならない、などと国民を恫喝するのは異常です。
日本人はまじめで借金を返せと言われると動揺するようですが、別に借り換え
続ける限りこれは返す必要がありません。この点もいずれまた詳しく書く予定
です。

今回はいい事例でしたが今年は少し緊急配信を増やしてみようかと思っていま
す。何かこういうテーマがいい、というお話があれば編集部にメールでも下さ
ればと存じます。

では。