横浜の原風景「谷戸」の風情を求めて | 写真小話

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私が撮影しながら散歩した備忘録的な記録

2021.0605

横浜(~神奈川県東部)に住んでいると、ごちゃごちゃの街が一面を覆ているのだけど、ちょっと西側に向かうと低い丘陵地帯に住宅街広がっている、そこに今はこれでもかっってくらいに家が密に建ってるのだけど明治以前の横浜は寒村で、その丘陵地帯の小さな谷間に谷戸と言われる農耕集落がちまちまと点在するような土地であった。

谷戸とは小さな山(標高が100mないくらい)の小さな谷間に湧いた小川を中心に田畑を切り開いた里山集落地形を指すもので、現在も谷戸の名残が横浜市のそこかしこに残っている。

中でも、緑区界隈には谷戸が公園や市民の森の形で良好に保存されている。

今回はそんな谷戸の風情を感じながらの散歩に出かけた。

 

例によって早起きは嫌いなので午後になって、のこのこ出発するのである。

横浜線中山駅に13時ごろ降り立ち四季の森公園に向かう。

四季の森へは四季の森プロムナードを歩いて向かうと雰囲気があってよい。

ちょうとアジサイが綺麗な季節。

白いアジサイって、なんか良いな。

 

四季の森は谷戸が丸ごと公園になっており、谷戸の田畑の代わりに菖蒲が植えてあったりする。

谷戸の小さな谷の雰囲気が出てる所。

小さな谷は坂の下で池になっており、ミドリガメとカワセミ狙いのカメラマン…いつもの風景。

 

四季の森を後にし、新治市民の森へ向かう。

多摩丘陵の小さな谷間に家がびっちり建っている、こういう風景は横浜の随所で見られるのだけどこれらもかつては谷戸だった所。

因みに、横浜内陸部の丘陵は多摩丘陵、湾岸北部の丘陵は下末吉丘陵、南部は三浦丘陵なんだって。

 

多摩丘陵の坂の多い住宅街を上ったり下ったりして進み新治市民の森へ突入。

新治市民の森は丘陵の山を一個丸ごと市民の森にしており、山の頂点より八方に谷戸が広がっている。

山の高いところから谷戸に沿って下っていくと谷戸の構造がよくわかる。

谷戸の始まり、ここから水が湧いてとても小さな流れが始まっている。

湧いた流れは少し下流で湿地を形成している。

湧きたての水は冷たいので湿地を通して水を温めている。

そして田んぼや畑に水を供給して流れて行く。

構造上田んぼは棚田、畑は段々畑になるけど、〇×棚田とか呼ばれるほどの規模にはならない、何といっても100mに満たない小さな山の谷なのでとても小さくて箱庭みたいなのだ。

それと、谷に田畑を作っているので、開墾のし易さはあるけど水は冷たいし、日照時間も短いので作物の歩留まりは悪く、平地に開かれた農耕地に敵うはずもなく…

あっ、でも流れが小さいというより湧いてすぐ使っているから水害に遭いにくい面はある、平地は大きい川から水が引ける代わりに氾濫すると全滅しちゃうリスクがあるからね。

しかしまぁ、谷戸の暮らしは慎ましいというか貧しいというか…苦労はあったと思う。

そして谷戸の入り口にはお約束のように道祖神やらお地蔵さんやら庚申塚があり、厄災から集落を守っている。

言い知れぬ何かを感じさせるねぇ~

 

新治市民の森を離れて十日市場駅へ向かう。

十日市場駅の近くにアジサイの綺麗なお宅があったので記念にパチリと。

おしまい