映画「未知との遭遇」(原題:Close Encounters of the Third Kind)は1977年製作、スティーブン・スピルバーグ監督のアメリカ映画である。
スティーブン・スピルバーグ監督の傑作の一つであり、SF映画の金字塔的作品である。
※40周年アニバーサリー・エディション
ファーストコンタクトSFの金字塔にしてスピルバーグ監督の原点。
公開40周年記念アニバーサリー・エディション。
<ストーリー>
インディアナポリスで続発する謎の停電事故。
調査のため派遣されたロイは、そこで信じられないような出来事を目撃する。
だが、彼の驚くべき体験を誰も信じようとはせず、調査は政治的圧力によって妨害されてしまう。
しかしロイは何かに導かれるように、真実の探求を始めた。
そして彼が辿り着いた場所とは…。
※上記バナーの Amazon 商品サイトより引用
観たのは2022年元旦のテレビ放送の録画である。
まさか今頃、ブログの記事にすることになろうとは思わなかった。
この作品を最初に観たのは、遥か昔だ!
けれども、当時は宇宙船と宇宙人に、凄げー!と思ったのみであった。
これはこれで作品の目玉である訳だが、今あらためて観ていたら何かムズムズした。
---以下、ネタばれあり注意---
宇宙人からのメッセージを受け取った何人かの人々が、自分でもよくわからないままにある場所へと向かう。
宇宙船と遭遇するデビルズ・タワーに向かうまでの部分は、この自分でもよくわからない感覚と、次第にそこに何かがあると確信されていくプロセスを描いている。
今のSF作品のような凝ったストーリー展開があるわけではない。
なんでこういう作りなんだろう?
とムズムズしながら観ていた後で至った結論はこうだった。
これは我々自身の中にある未知を発見するという寓話だ!
実際のところはどうなんだろうかということが気になって、2017年に発売されたブルーレイ40周年アニバーサリー・エディションのPV動画を観た。
このPVではスピルバーグ監督が製作当時を振り返って語っている!
更に、「メッセージ」(2017年)という作品の監督であるドゥニ・ヴィルヌーヴと、「スター・トレック」シリーズおよび「スター・ウォーズ」シリーズ作品の監督を務めているJ・J・エイブラムスもコメントしている。
まずスピルバーグ監督自身のコメントから見ていくと、製作意図はこうであった。
UFO現象に関心を興味を持っていたところに、ウォーターゲート事件がおこってね。
地球外生命体の来訪とか、もっと重大な真実が隠蔽されててるのではないかと考えていたんだ。
※上記のブルーレイ40周年アニバーサリー・エディションのPV動画より引用(句読点は筆者による)
スピルバーグ監督は更に、「続編を考えたことはないが」と前置きした後、「同じジャンルの映画で親近感を覚えた作品がある」と言って、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の「メッセージ」(2017年)を挙げた。
そのヴィルヌーヴ監督のコメントはこうである。
未知の存在に触れ圧倒される姿を描いたのは本作が初めてだ。
私にとっては最近の奇妙な映画のようで人生の神秘と関係している。
人間として最も強い感情の1つがこの感情であり、映画の中でも描かれている。
スピルバーグは未知の存在を信じさせるがその姿は見せていない。
そこが非常に印象的で勉強になった。
(中略)
スピルバーグが描く異星人には自然の善良さが表れており、生死を超えた何か善なるものが感じられる。
人類に安心感を与えたね。
(中略)
この映画を見るたびに感動を覚えるのは、スピルバーグの潜在意識が監督としての彼を作品に投影しているからだ。
※上記のブルーレイ40周年アニバーサリー・エディションのPV動画より引用(句読点は筆者による)
このヴィルヌーヴ監督の言っているところの「スピルバーグの潜在意識が監督としての彼を作品に投影している」ものが、我々自身の中にある未知を発見したいという願望であるかどうは定かではないが、いずれにせよ結果的にはこの願望を語った物語として観ることのできる作品になっていると思う。
そして、我々の中にはまだ、我々自身が頼ることができる善があると私は信じる。
さてエイブラムス監督の方は、1977年に公開された「スター・ウォーズ」と「未知との遭遇」に大きな影響を受けたという。
そして、こうコメントしている。
「未知との遭遇」は不可能なことはないと信じさせてくれる映画だ。
現実世界だけでなく、映画でも不可能はないと思えた。
※上記のブルーレイ40周年アニバーサリー・エディションのPV動画より引用(句読点は筆者による)
これまで観たエイブラムス監督の作品を思い返してみると、こちらもなかなか納得感のあるコメントであった。