新井英樹「宮本から君へ」講談社 | 日々是本日

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bookudakoji の本ブログ

 調べ物の関係で本棚の奥を漁っていたら、漫画雑誌のスクラップが一山でてきた。

 

 まず目についたのがこの作品の表紙である。

 

 懐かしい。
 

宮本から君へ [完全版] 1

※実際にあったのは主人公・宮本の顔のアップが表紙の1993年1月23日号だが、雑誌バックナンバーのバナーがないので単行本の表紙で代用

 

 Google 先生にきいてみたところ、連載期間1990年~1994年、単行本は12巻(完結)だった。

 

 およそ30年前である。

 

 どおりで懐かしい訳だ……いや、懐かしすぎる!

 

 ということで、あった分だけ拾い読みをした。

 

 物語は主人公・宮本が文具メーカーに就職して、自分としての生き方を求めて実家を出るところから始まる。

 

 若者の心理としては普通だが、社会の中で揉まれながらも真っ直ぐに生きようとする宮本はなかなか熱い。

 

 この宮本が熱いのには、新井英樹さんの作品だからということもあるだろう。

 

 新井さんが描きたい躍動する人間と爆発する感情が宮本を一層熱くしているように思われる。

 

 こういう作品だと、漫画という形式がたらこそ表現できる熱量というものをホントに強く感じる。

 

 さて、「宮本から君へ」の表紙の号がもう一冊あって、こちらは主人公・宮本の彼女になる中野靖子の顔のアップだった。

 

※実際にあったのは1992年10月29日号だが、雑誌バックナンバーのバナーがないのでニュース記事のリンクで代用

 

 新井さんはいい笑顔を描く人だ。

 

 特に女性の笑顔はとても優しい。

 

 今回、映像化について確認してみたら、2018年に深夜枠でドラマ化されていた。

 

 

 主演は池松壮亮と蒼井優。

 

 宮本の仕事にも恋愛にも真っ直ぐで不器用で汗臭く現実に体当たりしてく様は、今の若い人にどう映るのだろうかということが気になった。

 

 この後の2019年に映画化もされていたので、宮本の熱さは30年後の今、再び若い人にアピールしたのだろう。

 

 監督は真利子哲也、主演はドラマと同じ池松壮亮と蒼井優。

 

 

 当時の雑誌のスクラップを読み終えた30年後の自分には、人生の後半戦を生きる熱さがあった。