谷川俊太郎 「へいわとせんそう」ブロンズ新社 2019 【再掲】 | 日々是本日

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bookudakoji の本ブログ

 日本の一番暑い日である。

 

 雨模様でも、日本の一番暑い日である。

 

 NHKスペシャルが戦争特集になる。

 

※8/14(日)午後9時~ (再放送:8/18(水) 午後 11:35~)

 

※8/15(日)午後9時~ (再放送:8/18(水) 午前 0:25~)

 

 日本の夏である。

 

 谷川俊太郎「へいわとせんそう」は昨年一昨年の8月15日に紹介した本である。

 

 今年の8月15日もこの本の記事としたいので再掲する。

 

へいわとせんそう へいわとせんそう
1,296円
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 目次はこうなっている。

 へいわのボク せんそうのボク

 へいわのワタシ せんそうのワタシ

 へいわのチチ せんそうのチチ

 へいわのハハ せんそうのハハ

 へいわのかぞく せんそうのかぞく

 へいわのどうぐ せんそうのどうぐ

 へいわのぎょうれつ せんそうのぎょうれつ

 へいわのき せんそうのき

 へいわのうみ せんそうのうみ

 へいわのまち せんそうのまち

 へいわのよる せんそうのよる

 へいわのくも せんそうのくも

 みかたのかお てきのかお

 みかたのあさ てきのあさ

 みかたのあかちゃん てきのあかちゃん

 

 ほとんどのページが下記のように見開き2ページの体裁となっている。

 

▼サンプル画像(絵本ナビより)

 

 タイトル以外の言葉はなくシンプルなイラストがあるのみである。

 

 これだけなのに強いメッセージ性がある。

 

 最初のページは「へいわのボク せんそうのボク」である。

 

 「へいわのボク」は胸を張って立っており、「せんそうのボク」は膝を抱えて座り不安そうな顔をしている。

 

 せんそうだからといって人々の生活がないわけではないが、そこに希望はない。

 

 おうちでお馬さんをしてくれているはずの「へいわのチチ」は、「せんそうのチチ」となって、「せんそうのどうぐ」をもって走り回っている。

 

▼サンプル画像(絵本ナビより)

 

 せんそうだからといって全てが悲惨なのではないが、全てにおいて希望がない。

 

 せんそうとはこういうことなのだと改めて痛感させられる。

 

 この絵本を読んだ多くの子どもは、ためらいなく問うだろう。

 

 「せんそうのよる」はなんでまっくろなのか問うだろう。

 

 「せんそうのくも」はなんできのこなのかを問うだろう。

 

 「みかたのかお」と「てきのかお」はなにがちがうのかと問うだろう。

 

 大人は「みかたのかお」と「てきのかお」のページを見比べて答えにためらうだろう。

 

 違わないからである。

 

 味方の顔も敵の顔も同じである。

 

 味方の朝も敵の朝も同じである。

 

 味方の赤ちゃんも敵の赤ちゃんも同じである。

 

 そうなのである。

 

 「みかたとてき」のページはほぼ同じ内容で同質性を表現しているのである。

 

 「みかたのあかちゃん」と「てきのあかちゃん」の違いを見つけることができなかたったところに、救いがあった。

 

 そして最初のページに戻る。

 

 この赤ちゃんはいずれ、「ボク」あるいは「ワタシ」になる。

 

 「へいわの」あるいは「せんそうの」、「ボク」あるいは「ワタシ」になる。

 

合掌

 

 

▼絵本ナビ

へいわとせんそう|絵本ナビ - たにかわ しゅんたろう,Noritake みんなの声・通販

※「出版社からの内容紹介」に、本作に寄せた谷川さんの言葉がある。