SONGS は毎週木曜日にNHK総合で放送している音楽番組である。
「ずっと真夜中でいいのに。」の放送(2021年1月30日)が第563回という長寿番組である。
<番組紹介>
作詞・作曲・ボーカルのACAねによる「ずっと真夜中でいいのに。」
2018年6月、YouTubeに『秒針を噛む』のMVを投稿するとアニメーションのMVや独特な世界観の歌詞が話題になり7000万回再生を突破、ネット発の大ヒット曲となった。
楽曲ごとにタイプの違うアレンジャーやバンドメンバーを登用する"特定の形をもたない音楽バンド"として、ネットでの動画投稿やライブ活動を行い『約束のネバーランド』『さんかく窓の外側は夜』など話題の映画主題歌にも次々と抜擢され、大きな注目を集めている。
そんな「ずっと真夜中でいいのに。」が「SONGS」でテレビ初出演を果たす。NHKのスタジオに組まれた特設ステージで『秒針を噛む』や映画主題歌として話題の『正しくなれない』『暗く黒く』の3曲を生演奏で披露。
また番組では、その実態に迫るべく「ずっと真夜中でいいのに。」を愛する様々なジャンルの著名人にインタビューを敢行。アーティストとしての魅力を語ってもらい、ACAね本人に、その映像を見ながら話を聞く特別企画も。
さらにACAねへの質問を募集中。リスナーからの質問にも答えてもらい、これまで、ほとんどメディアの取材を受けてこなかったボーカルACAねの秘密に迫る。※上記の番組紹介サイトより引用
実のところ、番組で最初に流れた「秒針を噛む」のサビは聴いて、この曲の人だったのかとわかった。
▼YouTubeの「秒針を噛む」のMV
MVを見たことはなかったが、この曲のサビは印象に残っていた。
今回番組を見て、YouTube投稿からメジャーデビューしたメディアに出ない人だというが分かった。
こうした今の時代の若者の自己表現もなかなか凄いものがあると思ったので、この時点での若干の所感を記しておくことにした。
■表現手段があることの大切さについて
自分で作詞・作曲をして歌ってアニメーションを作ってYouTubeにアップした動画が共有されて自己表現が成立する。
こういう自己表現ができるということも凄いが、個人にこういう自己表現の手段があるというのも凄いことだ。
先日の記事で紹介した「100分de名著}の萩尾望都さんの言葉が思い出された。
「表現できるっていう手段を得られただけでも、凄い幸福なんじゃないかと思います。」
ホントにそうだなぁ。
■詩について
孤独と寂しい痛くて恥ずかしくてカッコ悪い自分が、レトリックをもって語られている。
若い頃は寂しいから孤独を詠うということがある。
それが若者の歌だ。
もう若くはない自分が詠うとしたら、人生において当たり前の孤独と寂しさについて詠うことだろう。
■「ずっと真夜中でいいのに。」ということについて
「ずっと真夜中でいいのに。」というバンド名の由来は、よく徹夜して朝を迎える時にこう思うからだと言っていた。
そして、番組終盤での「10年後の展望は?」という質問についての答えはこうだった。
音楽を作るにあたって
恥ずかしいって気持ちとか
痛い醜い自分みたいなところから
沸いてくるじゃないですか
そういう吐露が
だから10年経って「ずっと真夜中でいいのに。」というバンド名がもっと恥ずかしく
より恥ずかしく感じて
その時にまた
よりいい曲が作れるような気がして……
だからこの名前に縛られていきたいなって思いますし
恥ずかしさと自分を疑う気持ちを忘れず
どんな形でも作っていけたらと思います。
若い心の感じる痛く刺さるような生々しい心情の吐露は確かに感じられた。
そして本人が言うように、恥ずかしさと自分を疑う気持ちを忘れないとしても、歳を重ねて心が成熟していくことによって、その内実は変わっていくだろう。
だからこそ、十年後には「ずっと真夜中じゃなくてもいいかも。」というステージに進んだ心情の吐露が聴きたい。
そして 「ずっと真夜中でいいのに。」というバンド名が「ずっと真夜中でいいのに、朝が来るとうれしい。」になっていたとしら、なんと素晴らしく、かつ、斬新なことだろうか!