映画「七つの会議」 | 日々是本日

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 映画「七つの会議」は、半沢直樹シリーズでも有名な池井戸潤の同名小説を監督・福澤克雄、主演・野村萬斎で映画化した作品である。

七つの会議 通常版 [DVD]

 2013年にNHKの土曜ドラマの枠(各回58分:全4回)で映像化されている。

 

 その時の主演は東山紀之。

 

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 ストーリーを簡潔に言うと、「ぐうたら社員」と目されている万年係長の八角民夫が、会社の存続が危ぶまれるほどのデータ偽装と隠蔽工作を暴いていくというものである。

 

 有名作品であるので、作品情報および解説等については下記の映画.com サイトとソニー・ピクチャーズの公式サイトを参照されたい。

 

▼映画.com の作品サイトはこちら

 

▼公式サイトはこちら

 

 

---以下、ネタばれあり注意---

 

 

 さて、この作品を取り上げた理由は野村萬斎の演じる八角民夫が、データ偽装と隠蔽について語る最後のシーンにある。

 

 少々長いが、まずセリフを引用する。

この世から不正はなくならない。

絶対に。

世の中でデータ偽装、隠ぺいをやっているどの会社も一緒。

何度だってやるってことです。

列車シートのデータ偽装をやってしまった日から二十年間、
ずっとこのことだけを考えてました。

人間というのは愚かな生き物ですからねぇ。

特に日本の場合、会社の常識が世間の常識より大事になってしまう。
なにかこう日本人のDNAに組み込まれてるっていう気がするんですよね。

藩のために命をかける、
まぁかっこいい言い方をすると、
侍の生き様っていうんですかねぇ。

昔で言う藩。

今で言う会社。

それを生かすためなら、
人の命より会社の命を優先しちまうという……

欧米の人が聞いたらそんな会社なんかとっとと辞めて、
他の会社に移ればいいって言うんでしょうけど。

侍はさ。

藩から出されるのは負けだと思ってるんですよ。

忠誠心と言えば聞こえはいいけど、
逆に守られてもいて、
まぁそういう持ちつ持たれつの、
日本独自の企業風土がこの資源も何もないただの島国を
先進国にまで押し上げたっていう功績もある訳で
いいこともあれば悪いところもある。

一つ言えることは、

ひたすらガキみたいに言い合っていくしかないんじゃないですかね。

悪いことは悪い、命より大事なことはないって。

それが出来ればなくなりはしないが、
データ偽装・隠蔽なんかは減るんじゃないかと思いますよ。

 

 「人の命より会社の命を優先しちまう」ような「日本独自の企業風土」の、昔の侍の忠義に例えた説明は、それなりにもっとものように思われる。

 

 そのスタート地点について、つまり我々はどこから始めないといけないかという点については、「悪いことは悪い、命より大事なことはない」と「ひたすらガキみたいに言い合っていく」ところからだと言う。

 

 ここまで戻らねばならないかと思うが、これについてはやはりここまで戻らなければならない気もする。

 

 すると、そのためにはまず風通しの良い会社環境を作るということが必要だが、そのために「ひたすらガキみたいに言い合っていく風通しの良い会社環境が、そもそも必要ではないかという懸念が生じるのである。

 

 この風通しの良い会社環境の無限後退とでも言うべき事態から脱することを可能にする何か、今まで無下にされてきた声に注意が払われて風通しの良い環境ができる方向へ変化していくための何か、ここまでもう一歩踏み込んで欲しかった。

 

 その何かの一つは「個人一人一人が大切にされること」でもよいのじゃないかと思う。

 

 それは「個人一人一人が大切にされること」によって個人一人一人が自分の命の価値に目覚めれば、会社の命より人の命を優先することに近づくのではないかと考えるからである。

 

 すると、そのためにはどうしたら良いだろうか。

 

 教育論のこんな話が思い出された。

 

「(甘やかしではなく)本当に大切にされた子どもは、大人になって自分を大切にできる。」

 

 だとすれば同様に、

 

「価値あるように育てられた子どもは、自分を価値あるように扱うことができる。」

 

ということも言えるのではないだろうか。

 

 

▼おまけ

 

 作品情報を集めたサイトとしては下記が良かった。

 

 

 

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  ▼原作小説はこちら

七つの会議 (日本経済新聞出版)