今日は、ドラマ「イチケイのカラス」第5話の記事の予定であったが、
GWはまだ一日ある!
ということで、内田けんじ監督の映画「運命じゃない人」(2004年)、「アフタースクール」(2007年)、「鍵泥棒のメソッド」(2012年)の三作品を紹介することにした。
「アフタースクール」と「鍵泥棒のメソッド」は昨日と一昨日のテレビ東京の映画番組「午後のロードショウ」で放送していた録画を観たので、同じようにこれをご覧になった方もいるかもしれない。
この二つの作品が面白かったので、そもそもの内田けんじ監督の劇場用長編デビュー作である「運命じゃない人」(2004年)をABEMAビデオで観ることにした。
内田けんじ監督については、下記の 映画.com の記事を参照されたい。
※出演:中村靖日、霧島れいか、山中聡
<ストーリー>
典型的なお人好しの冴えないサラリーマン宮田武(中村靖日)は、結婚を前提にマンションを購入した矢先、肝心の恋人あゆみ(板谷由夏)に突然去られてしまう。ある晩彼は、親友で私立探偵の神田(山中聡)に呼び出され、とあるレストランへと向かう。神田はいつまでも前の彼女を忘れられない宮田を叱咤すると、その場で宮田のためにと女の子をナンパしてみせる。一人で食事していたその女、真紀(霧島れいか)はちょうど婚約者と別れ今夜の泊まる家もなく途方に暮れているところだった。そこで宮田は自分の家に泊まるようすすめ、2人で帰宅する。ところがそこへ、置きっぱなしの荷物を取りに来た、とあゆみが突然現われた...。
※ABEMAビデオの商品サイトより役者名を追記して引用
この作品も、期待通りの面白さであった。
▼「アフタースクール」(2007年) 出演:大泉洋、佐々木蔵之介、堺雅人
(2021年5月4日時点ではPrime会員は無料)
<ストーリー>
母校で働く中学教師・神野(大泉洋)のもとに、かつての同級生だと名乗る怪しい探偵(佐々木蔵之介)が訪ねてくる。探偵は、神野の同級生で現在は一流企業に勤めるサラリーマン・木村(堺雅人)の行方を追っていた。心ならずも神野は木村探しに巻き込まれてしまい・・・。
※Amazon Prime Video の商品サイトより引用
▼「鍵泥棒のメソッド」(2012年) 出演:堺雅人、香川照之、広末涼子
(2021年5月4日時点ではPrime会員は無料)
<ストーリー>
銭湯で転倒し頭を強打。記憶を失った羽振りのいい男。居合わせた売れない貧乏役者・桜井(堺雅人)は、出来心からロッカーの鍵をすり替え、彼になりすます。が、その男はなんと誰も顔を見たことない伝説の殺し屋コンドウ(香川照之)だった!桜井は男にきた大金の絡んだ危ない依頼を受けてしまい、大ピンチに。一方、記憶を失い、自分を桜井だと思い込んでいるコンドウは、真面目に努力して、役者として成功する事を目指し始めてしまう。そんなコンドウの姿に好感を覚えた婚活中の女性編集長・香苗(広末涼子)は、なんと彼に逆プロポーズ!失われた記憶、大金の在りか、そして結婚の行方――複雑に絡み合った事態の行く末には、なんと、映画史上に残る爽快でトキメくラストが待っている!?
※Amazon Prime Video の商品サイトより役者名を追記して引用
三作品のどれにも言えることだが、話が実に上手いこと作ってあって、それだけではなく登場人物の人柄が描かれていて、更に日本的な人情と笑いがある。
まだ観てない作品があれば、GWに観る映画としてオススメしたい。
---以下、ネタばれあり注意---
内田けんじ監督作品の特徴として一番凄いと思ったのは、話自体はかなりあり得ない内容でありながらも、登場人物の人柄によってその展開に納得されられるという点であった。
「運命じゃない人」で最もそう感じたのは、最後に大金を持って逃げた真紀(霧島れいか)が宮田武(中村靖日)のマンションに戻ってくるという結末である。
中村靖日の演じる宮田の人柄を役者さんがしっかりと表現しているから、最後に女性が戻ってくるという行動に納得感があった。
「アフタースクール」でそう感じたのは、教師の神野(大泉洋)と探偵の北澤(佐々木蔵之介)のやり取りである。
中程のところで、まだ神野(大泉洋)の背後に警察がいるのを知らない北澤(佐々木蔵之介)が、神野に「ずっと教室で生きてるような奴に人間の何がわかるんだ?」と言う場面がある。
後半の場面で今度は神野(大泉洋)が北澤(佐々木蔵之介)に、「あんたみたいな生徒、どのクラスにもいるんだよ。全部わかったような顔して勝手にひねくれて、この学校つまんねぇだのなんだの。あのなぁ、学校なんてどうでもいいんだよ。お前がつまんないのはお前のせいだ。」と言う。
この言葉に納得感があったのはやはり、大泉洋の演じる神野の人柄がしっかりと表現されていたからだと感じた。
「鍵泥棒のメソッド」では、香苗役である広末涼子の几帳面で努力家な人柄が十分に演じられていなければ、物語が成立しない域に達している。
ただし「鍵泥棒のメソッド」は、前作がヒットしてしまったせいかどうかはわからないが、恋愛コメディー路線に走り過ぎだ印象ではあった。
自作が待たれる監督である。