桑原晃弥「イーロン・マスクの言葉」きずな出版 2018 | 日々是本日

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 前回の記事では「有人宇宙船の打ち上げ成功」のニュースに合わせて、イーロン・マスクのインタビューを紹介した。

 

▼前回のイーロン・マスクの記事

 

 その後こんな本を読んでみたので、今回はイーロン・マスクの人物像を、その言葉から考えてみたい。

 

イーロン・マスクの言葉 (きずな出版)

 

 

 「イーロン・マスクの言葉」はマスクの80の言葉に桑原晃弥(くわばら・てるや)さんが解説を付けている本である。

 

 見開き右ページがマスクの言葉、左ページが桑原さんの解説という体裁で、巻頭にイーロン・マスク小史という年譜とイーロン・マスクの人生という略歴が付いている。

 

 章立ては以下の通りである。

第1章 すべて壮大なビジョンから始まる

第2章 最高のアイデアも、実行しなければゴミと一緒

第3章 本物のイノベーションは、クレイジーの先にある

第4章 絶望は強烈なモチベーションになる

第5章 圧倒的な成果が欲しければ、地獄のように働くしかない

第6章 成功には「才能の集中」と「重力」が欠かせない

第7章 お金は「人類を救うため」に使え

第8章 世界を変える男の私生活

 最初の言葉はこれである。
 

No.001「常に世界を劇的に変える何かに関りつづけたいと思い続けてきた。」

 

 最初に読んだ時、これこそがイーロン・マスクの最も根底にあってブレない想いなのだと感じた。

 

 全体を通読してからもう一度読み直しても、やはりそう感じられた。

 

No.023 「恐れは理にかなったものとして無視する。理にかなっていても、前に進むのが遅くなるから。」

 

 この言葉にはなかなか恐れ入った。

 

 起業してイノベーションを起こすには様々な意思決定が必要であり、それは常にリスクを伴い恐れをもたらす。

 

 マスクは恐れに抗おうとはせず「無視する」と言う。

 

 とは言え、不安や恐れをそのままにして「無視する」というのは相当に難しいことだ。

 

 なぜそれができるのかということの秘密がここにある気がした。

 

Words No.036 「貧しくてもハッピーであることは、リスクを取る際に大きな助けになります。」

 

 貧しくてもハッピーであった経験によって、失うことによる恐れが乗り越えられている。

 

 こうした経験を得るにはどうしたら良いのか。

 

Words No.077 「今の子たちには逆境を人工的につくるしかないね。」

 

 「苦労は買ってでもしろ」という昔からの諺はやはり真を突いているようだ。

 

 ソローの「自発的貧困」という発想については以前に触れたとおりである。

 

▼ソローの「自発的貧困」という発想については触れた記事

 

 また、昔からの名言では、「良い答えを得たければ、良い質問をしなさい」ということも言われている。

 

Words No.053 「尋ねるべき質問が何かを考えだすことが大変なわけで、一度それができたら、残りは本当に簡単だ。」

 

 マスクもこの良い質問を考えることを忠実に実践しているようである。

 

 こうしてみると、マスクの目指すところはイノベーティブだが、日々の実践を支えている指針は案外オーソドックスであるように思われた。

 

 私生活では、ジョニーデップの元妻アンバー・ハードとの結婚が2017年8月に破局しており、その後、こんなニュースが流れていた。

 


 結局のところ、今年の五月にはミュージシャンのグライムスとの間に第一子の誕生が報じられた。

 

 

 落ち着くべきところに落ち着いたということなのかもしれない。

 

 最後にこの言葉を紹介して終わるが、マスクの今の見解はいかがだろうか。

 

Words No.073 「女性には週にどのくら時間を割けばいいのか、10時間くらいか」