昨日(2/8)放送のNHK土曜ドラマ「心の傷を癒すということ」(全4回)の最終話をみた。
今度の水曜日(2/12)に再放送があるので、今のうちに紹介しておきたいと思う。
▼再放送予定:最終話(第4回)
【総合再放送】2月12日(水曜深夜)
【BS4K再放送】2月12日(水)午前9時50分~10時39分
▼公式サイトの番組紹介はこちら
「阪神・淡路大震災発生時、自ら被災しながらも、他の被災者の心のケアに奔走した若き精神科医・安克昌(あん・かつまさ)氏。手探りながらも多くの被災者の声に耳を傾け、心の痛みを共に感じ、寄り添い続けた日々。震災後の心のケアの実践に道筋をつけ、日本におけるPTSD(心的外傷後ストレス障害)研究の先駆者となりました。在日韓国人として生まれ、志半ばでこの世を去りながらも、険しい道を共に歩んだ妻との「夫婦の絆」と、彼が寄り添い続けた人々との「心の絆」を描きます。」(公式サイトより)
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▼原作本はこちら。
新増補版 心の傷を癒すということ: 大災害と心のケア
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---以下、ネタばれありの感想---
番組紹介に「志半ばでこの世を去り」と書かれている通り、安克昌さんは2000年12月2日に肝臓がんで亡くなっている。1960年12月6日生まれだから39歳である。
確かにまだ志半ばの途上であったことだろう。
第1話は「この世界は人の心を傷つけるもので溢れている」というメッセージで始まる。
それに対して人ができることは何か、心の傷を癒すというのはどういうことかということを追求していくが、それはなかなかにはっきりとはしないまま臨床医としての実践の日々が続いていく。
がんであることがわかるのは最終話(第4回)の最初のあたりである。
一旦、入院はするが肉体の自己治癒力を頼みにして退院するという選択をする。
闘病生活を送る日々の中、並木道を散歩していたその日、押し花にする美しい落ち葉を選ぶ妻を見て気づく。
「心のケアって何かわかった。誰も独りぼっちにしないということだ」と。
「病は自分の体が治して金は医者がもらう」という諺のとおり、医学の世界には身体であれ精神であれ傷を直接治すのは患者本人の自己治癒力であるという考え方は既にある。
日々の診療の中で患者の心に寄り添いながらも、この寄り添うということの具体的な内実は「患者を一人にしないことだ」と気づくのである。
実践した人だけに訪れる、シンブルにして重い気づきだ。
人は独りでは生きられないという普遍的事実の内実もまたそういうことなのだと強く再認させられた。
安さんはぎりぎりまで精神科医として勤務し、三人目の子どもの出産を見届けて亡くなった。
最後の場面で、妻は復興記念のモニュメントを一人で見つめている。
そして言う。
「寂しい」と。
その視線の先には、亡き夫の幻の姿があった。
程なしくして、妻が復興記念モニュメントに集まる人々の中に入っていくのを見送る夫の視線には、「決して一人ではないよ」というメッセージが込められているように見えた。