映画「海よりもまだ深く」は是枝裕和(監督)の2016年公開作品である。
是枝監督の映画「真実」の公開記念ということで、10/11(金)にテレビ放映されていた。
海よりもまだ深く
400円
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出演は阿部寛、真木よう子、樹木希林。
ストーリーの主人公は、デビュー作以来、代表作のないまま50歳を過ぎてしまった小説家(阿部寛)。普段の職業は探偵。妻(真木よう子)とは最近離婚した。子どもとの面会日に子どもと一緒に実家に寄ると、台風が来るということで、子どもを迎えにきた元妻と一緒に実家に泊まることになる。
---以下、ネタばれあり---
深夜に起きてきた主人公の母(樹木希林)が、まだ起きていた息子(阿部寛)に言う。
「海よりもまだ深く人を愛したことはないが、そんなことがあったならこうして普通に人生を送ることはできなかっただろう。」
この映画のメッセージがこれであることは明らかだが、監督はこれをどう描いたかということだ。
台風の一夜という状況だけがちょっと特別な離婚家族の一日で描いた。
こんな感じだ。
孫の作文を聞いて祖母(樹木希林)は、お父さん似ているかもしれないと言う。
父の小説家としての状況を知っている孫はいい顔をしない。
それを見て祖母(樹木希林)は言葉で表現する才能は素晴らしいことだと伝える。
別の場面で祖母(樹木希林)は、「何かを諦めなければ幸福は得られない。」とも言っている。
そして小説家であり続けようとする息子は家庭を諦めている。
だから人生は単に「どう生きるか」という事なのではなくて、「それでもどう生きるか」という問題なのだ。
台風の一夜という状況がちょっとだけ特別な離婚家族の一日で、「あなたはそれでもどう生きますか?」と問いかけられる作品であった。
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