「マインドフルな毎日へと導く108つの小話」 第60話 知恵とは | 日々是本日

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アジャン・ブラム「マインドフルな毎日へと導く108つの小話」

第60話 知恵とは

 

 

著者が学生時代にスコットランドを旅行した時の話である。

 

---あらすじ---

スコットランドをキャンプをしながら回っていた著者は、

海沿いの細い道をのんびり歩いていた。

穏やかな日差しが周囲を美しく照らしており、

自然がその最も美しい姿を見せているのだと確信した。

道が崖の上に差し掛かったところで一台の車が止まっていた。

著者は車中の人もこの景色を堪能しているに違いないと確信した。

車の脇を通り過ぎる時に中の様子が見えた。

車中では、中年の男性が一人で新聞を読んでいた。

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著者は、この中年男性の読んでいる新聞に持っていたハサミで

穴をあけたいとすら思ったという。

 

我々の心は新聞を埋めるような事柄で埋まっている。

そこから解放されて、自然の純粋無垢な姿を堪能するようでなければ、

知恵を身につけることはできないと言っている。

 

これもまた、現代人にありがちな罠の一つであろう。

 

マインドフルな心は、いつも目の前を見る。

 

 

さて、事実には幾つもの可能性がある。

 

車中の中年の男性にとって、新聞の内容も別にどうでもよかったのかもしれない。

 

あるいはまた、車中の中年の男性は地元の人で、

目の前にはいつもの自然が広がっていただけなのかもしれない。

 

未来は不確実だが、現実もなかなか不確定である。