一〇三歳になってわかったこと 第四章 わが立つそま | 日々是本日

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この項のタイトルは「自分が立ちうる場所に感謝する」である。

 

篠田さんは「わが立つそま」という書を五十年来、手元に置いているそうである。

 

「そま」は「杣」と書き、

滑り落ちそうな山の斜面で少しだけ平らになっている場所のことであると言う。

 

この杣に、自分が立ちうる場所を得た感謝の思いを詠んだ歌として、

最澄の歌と、小倉百人一首にも選ばれている前大僧正慈円の歌を紹介している。

 

やはり篠田さんもまた、自分立つ場所を探し続けたのだと思う。

 

そこがまた、「杣」であるということの意味。

 

滑り落ちそうな山の斜面の中にこそ見つかる、

ほんの少しの自分が立つべき場所。

 

人間が立つべき場所とは誰であれ、

本来こういう場所なのかもしれない。