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「セッション」(原題:Whiplash)
監督 デイミアン・チャゼル
主演 マイルズ・テラー / J・K・シモンズ
デイミアン・チャゼル監督、「LA LA LAND」の一つ前の作品。
「LA LA LAND」があまりに良かったのでこれも観た。
音楽学校でジャズドラムを専攻しているニーマンは、
ジャズバンドの指揮者として名高い鬼教師フレッチャーの目に留まる。
ニーマンはフレッチャーのバンドに入り、練習に明け暮れる日々が始まる。
アカデミー賞を3部門受賞しており高評価だったようだ。
特に鬼教師役のJ・K・シモンズが助演男優賞を獲得している。
音楽の映画でもあるが、教育の映画でもあった。
シモンズの鬼教師振りからは、
「ペーパーチェイス」という映画のキングスフィールド教授を思い出した。
ペーパーチェイス [DVD]
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※パッケージの人物がキングスフィールド教授でハーバード法科大学院教授の設定であるが、
主演はティモシー・ボトムズ
普通の生徒に教えて一定の成果を出すのに比べて、
一握りの才能のある演奏家のその才能を開花させるという教育に王道はない。
更に、実際に才能を開花させた演奏家の例を見れば、
そこには偶然の出来事が影響しているケースもある。
この映画のテーマは才能教育であり、教育映画としては実に辛口である。
とは言え、本当に演奏家の才能を開花させるというのはこういうことなのだろうと、
思わされる。
音楽家の社会的評価は高くはない中で、時には狂気にも陥り兼ねない練習の日々が続く。
それでも音楽にはその価値があり、
才能を見出すものかいなけばその若者は埋もれてしまうだろう。
芸術も学問もスポーツもそういう世界であると思う。
今後、教育映画の名作に出会ったら「セッション」も必ず思い出すことだろう。
---以下、ネタばれあり---
(鑑賞後にお読みいただくことを推奨します。)
「セッション」では、ある事件をきっかけにニーマンは音楽学校を去ることになり、
鬼教師フレッチャーとは離れることになる。
そして、再会した後にフレッチャーのバンドでフェスに参加してセッションということになる。
チャゼル監督の映画を続けて見てみたが、
この監督の映画の作り方はテーマの本質重視で、
他の文脈の展開は殆ど描かれないために観る側で推し量ることを要求される。
朝6時に来て、本当に練習が始まる9時まで何があったのか。
付き合いはじめたニコルとの関係はどのように発展したのか。
フェスへの参加を考えておいてくれて言われた後、いつ承諾したのか。
これらはみんな描かれない。
9時にいるから、恐らく練習していたのだろう。
その後にニコルと会う場面では親密そうだから、この間にいろいろあったのだろう。
フェスへ参加することになっているからどこかのタイミングで承諾したのだろう。
その分、映画の場面はとして練習とフレッチャーとのやりとりがかなり多くなる。
映画が概ね2時間ということを考えると、映画の話法としてこうした作品には適しているかもしれない。
テーマについての伝達力がグッと高まるように思う。
最後のセッションは確かに名場面だった。
「4分間のピアニスト」を超えたかもしれない。
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最後のセッションでは、ドラムという楽器について、
今まで気づかなかった楽器としてのポテンシャルを感じた。
楽器の特性と演奏家のスキルは相互作用して、楽器は改良されスキルも発展していく。
現在のドラムは近代の製造業の技術を取り組んで作られており、
人間のドラミングの潜在的な可能性を、
最大限に引き出すようにデザインされているうに見えた。
こうして考えると、楽器とは凄い発明だ。
さて、この作品でも最後はまた、互いに見つめ合うってうなずき合う二人の表情が描かれる。
「LA LA LAND」だなぁ。
でもこの作品が先だから、本当は「LA LA LAND」がこの路線を踏襲したということである。
この監督が何を描きたい監督なのかがよくわかった。
今度、新作が公開されたら必ず観に行くことだろう。