困難な結婚 | BOOKROOM

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本と本屋が大好きな私の、おすすめする本です。

「困難な結婚」 (内田樹 アルテスパブリッシング)


去年の秋、年下のある男子に

「だんなさんと、結婚しようと決心した理由は何ですか。

どうして、他の人ではなくて、

この人だ、と決められたのですか」

と質問されたことがあります。

それはとても真面目な尋ね方だったので


きっと、今の彼には

これを質問したい何かがあるのだな、と察せられ

私もきちんと答えたかったのですが

仕事中でもあり、

その場で答えるのをためらってしまい


そのとききちんと答えなかったことや

そのまま時間が経っていることが

ずっとうっすら気になっていました。

質問した本人は

質問したことを忘れているかもしれないのですが。


この本。

内田樹が「結婚」について語ります。

なるほどなあ・・というフレーズが次々並びます。


    配偶者を選ぶときに、絶対見ておかなければならないのは

    「健康で、お金があって、万事うまくいっているときに

    どれくらいハッピーになれるか」ではなくて

    「危機的状況のときに

    どれくらいアンハッピーにならずにいられるか」

    というその「危機耐性」。



    あなたの中には、たくさんの「ひも」がある。

    あの人と結婚したら、この「ひも」が引っ張られて

    自分の中にあるその「ひも」と繋がった部分が露出してくる。

    この人とだったら、また別の「ひも」が引っ張られて

    別の潜在的資質が現勢化してくる。

    ・・・・だから、どんな人と結婚しても

    「自分がこんな人間とは知らなかった」ような

    人格特性が登場してきます。

    ・・・・それはいわば配偶者からの

    「贈り物」みたいなものです。



    結婚生活の醍醐味は

    「スタート地点に共有するものがたくさんある」

    ことによってではなく

    「結婚する前は共有されていなかったものが

    気がつくと、いつのまにか共有されている」

    という点にある。



読みながら、「御縁」という言葉を思い出しました。

そして、「機嫌よく生活する」ということは

自分も、近くにいる人も幸せにする。ということ。


軸が定まって

気持ちが調律されるような一冊です。

これから結婚する人にも

すでに結婚している人にも。