午後6時の経済学
竹内 宏
朝日新聞出版
ISBN978-4-02-330819-0

午後6時の経済学/竹内 宏

¥1,470
Amazon.co.jp

<目次>
序章 なぜ日本は苦境に陥ってしまったのか
1章 経済が低迷すると、国民の希望を担って独裁者が現れる -政治
2章 経済が国際化し、銀行の数は減った -金融
3章 日本的経営の価値は、人材育成の巧みさにあった -経営
4章 豊かになり、みんながバラバラになった -国民•消費者
終章 活力は人の集まるところで生まれる

本書の書き出しは「戦後日本を一日で例えると、今はちょうど午後6時をまわったくらいだろうか。」。

太陽が沈みかかり、明るかった昼間から次第に暗くなり、真っ暗になる少し前、のイメージでしょうか。

言い得て妙、です。

多くの国民がこのイメージに異を唱える事はないでしょう。


本書は、午後6時の前がどうだったのかを、政治、金融、経営などの視点で振り返るものです。

特に今の30歳前後から下の世代は、1990年代以降の不況の時代しか知らないので、昔の日本のいいところを知るには良い本だと思います。


現代が不況とはいえ、戦後よりは豊かになっているはずです。

現代の他の国と比較しても、国民全員が豊かさを享受しているほうではないでしょうか。


しかし、午後6時のイメージなっているのは残念な状況です。

これは、経済学からすると必然のサイクルなのでしょうか。

将来を考えるうえで、過去の事実を押さえることが大切です。

未来は過去からの時間的連続上にあります。

ビジネスは、時代とともに変わります。


私は、現在が特殊な状況にある、という考え方は好きではありません。

どの時代でも大なり小なり変化の途中にあるので、常に特殊な状況にあるはずです。


とはいえ、現在は経済環境の転換点にあると感じています。

20世紀の経済学では説明できない状況であり、戦後のアメリカ型の消費経済や金融運営では行き詰まっています。

今後のビジネスを考える上で、本書のように整理された情報は価値があります。

過去を知っている人も知らない人も、経済状況のベース再確認する意味で、本書を読む事をおすすめします。
マクドナルドはなぜケータイで安売りを始めたのか?
吉本 佳生
講談社
ISBN978-4-06-282143-8

マクドナルドはなぜケータイで安売りを始めたのか? クーポン・オマケ・ゲームのビジネス戦略 (講.../吉本 佳生

¥1,680
Amazon.co.jp

<目次>
第1章 オマケ商法は正しいビジネスのやり方なのか?
第2章 超人気の豪華RPGソフトの価格が暴落しやすいのはなぜ?
第3章 ゲーム機やテレビがどんどん高機能になって安くなるのはなぜ?
第4章 なぜ牛丼チェーンは過激な値下げ競争をやめられないのか?
第5章 同じゲームソフトの廉価版と中古品はどっちがお得?
第6章 Tシャツにブランドマークをつけるだけで高く売れるのはなぜ?
第7章 マクドナルドはなぜケータイで安売りを始めたのか?
第8章 ネットでいろいろなサービスが無料なのはなぜ?

本書は価格戦略の基礎知識を最近の身近な事例で学べます。

著者が述べているように、中高生が価格戦略を理解できるように、ゲームソフトの例を多く挙げ、知っている知識から広げているようになっています。

しかし、大人が見ても現代の価格戦略の方向がわかるようになっているので、楽しんで読めます。


従来の価格戦略説明本と異なるのは、タイトルにあるように、ケータイやクーポンを使った新しい手法の説明をしていることです。

出版が2010年11月なので、現時点でも新鮮なネタです。


現代の価格戦略は大衆向けから特定された個人に向けて、個別に行うようになってきています。
そのツールがケータイや電子マネーです。

その特徴は、IDによって個人が特定できることや、登録された生年月日や性別や住所などのプロフィールが分かる事。

さらに、IDによって購買履歴が分かることです。


蓄積されたビッグデータを分析することで、トレンドも掴めますし、個人への効果的な価格戦略も適用できるのです。

個人的には、TSUTAYAのTポイントカードが最初に出た時、複数業種で使われる意義が分かりませんでした。


なぜレンタルビデオのTSUTAYAが他業種に使わせるのか?


Tポイントカードの本当の目的は、ポイントによって集客するのではなく、IDに紐づいた購買データを取る事だと気づいたのはしばらく後のことです。

本書を読むと、こういった価格戦略がわかるようになります。


今後、大手は購買履歴データを活用し、個人々々に最適なクーポンを配信するようになるでしょう。

これを嫌う人もいるでしょうが、逆に使いこなすことも大切です。

よく考えてみれば、昔は個人商店がお客さんそれぞれの好みを知っていて、商品をおすすめしていたはずです。


例えば、魚屋で刺身を良く買う人には、その日一番美味しい刺身をおすすめするとか。

家族構成をしった上で、切り身をおすすめしたり、料理法を教えたり。


これが現代では大企業がIDをキーにしておすすめ活動をする、という形態に変わっただけとも言えます。

消費者である以上、価格戦略に必ず巻き込まれています。

賢い消費をするために、価格戦略を知っておきたいと思います。
売れる色の理由
芳原 信
C&R研究所
ISBN978-4-86354-026-2

売れる色の理由 実例で読み解くカラーマーケティング/芳原 信

¥1,680
Amazon.co.jp

<目次>
CHAPTER-1 店舗で使われている色を読み解く
CHAPTER-2 商品のカラー戦略を読み解く
CHAPTER-3 企業のロゴの色を読み解く
CHAPTER-4 「売れる色」を探る
APPENDIX 色の基礎知識

ビジネスにおいて、色が果たす役割は思いのほか大きい、ということが本書を読んで分かりました。

普段、目に入っていても意識しない「色」。

しかし、色が持っているイメージが企業や商品のイメージにもつながり、無意識の内に影響を受けています。


本書は、「色」が持っている意味と、それを生かしている企業や商品を、カラー写真を使って説明しています。

例えば、業種によって看板の色の系統が同じであること。それが、業種全体のイメージを表しています。

色の持つイメージと企業•商品のイメージが合わない場合、ヒット商品にはなりにくいそうです。

例外もありますが、それは既存のイメージを壊して存在感をアピールする場合です。

しかし、新しいイメージを消費者が受け入れなければ、ただの失敗になります。

その分野で成功するためには、先んじてイメージの色を取ることが大切になります。


無数にある色のうち、売れる色は4種類だそうです。


「赤」「青」「黒」「白」の4つです。


有彩色の「赤」と「青」を比較すると、より目立つのは「赤」です。

街の看板や商品を見ると、赤を使ったものが多いのは、目立つからです。

ユニクロ、マクドナルド、コカコーラ等、「赤」を使ったものは多くあります。

同じ商品群で赤を取られた場合、競合商品は同じ色を使いにくくなります。

同じ色は、ただの類似商品かニセモノに見えてしまい、ライバル商品と認識されないためです。

例えばコーラ系飲料では、「赤」はコカコーラのイメージが定着しているため、ライバルのペプシは「青」を使っています。

色の差別化によって、違いを際立たせる手法です。

ちなみに「青」は食欲を減退させる色なので、食品には普通は使いません。

それでもペプシが青を使うのは、イメージでの対抗策として有効だと判断しているからでしょう。

色が持つイメージは無意識に影響するので、色の力を知らないと、ビジネス上不利になってしまうでしょう。

無意識なだけに、理屈でなく、生理的に好悪を判断されてしまいます。


ビジネスを有利にすすめるためには、色の意味を理解し、正しく使うための理屈を知っておく事が大切になることが分かりました。
イザというときに100%の実力を発揮する法
高畑好秀
日本実業出版社
ISBN4-534-04017-2

イザというときに100%の実力を発揮する法/高畑 好秀

¥1,365
Amazon.co.jp

<目次>
第1章 どうしてどこで失敗するのか
第2章 キャッチボールができないプロ野球選手
第3章 イメージで克服する緊張•失敗イメージ•イップス
第4章 イメージのすごいパワー
第5章 力を最大限に発揮する人たちの秘密
第6章 確実に実力を発揮するための7つの実践
第7章 イメージトレーニングの達人になる


本書は、スポーツ心理学の本です。

スポーツ選手が、簡単なことさえできなくなる原因であり、活躍する選手の特徴である、イメージ力をコントロールする方法の本です。


"イップス"という言葉をご存知でしょうか?

本書第2章のエピソードにありますが、プロ野球のピッチャーがキャッチャーには普通に投げられるが、キャッチボールではできない、という現象を言います。

プロなら簡単にできるはずのことが、心理的要因によってできない。

これが"イップス"です。

件の選手は、以前は当然ながらキャッチボールができていました。

しかし、ある原因で心理的プレッシャーが強くなり、キャッチボールができなくなりました。

しかし、イメージの力を活用することで、克服できました。

その時間、わずかに2時間。

イメージの力は意外に大きいのです。


これは、ビジネスの世界にも通用します。


ビジネスの場では、経験がものを言う場面が多々あります。

イメージの力を使えば、自分だけで短期間で経験を増やすこと可能です。

まず、失敗の経験は、将来を萎縮させるためにあるのではありません。

失敗の本当の原因を考え(トヨタのなぜなぜ5回の手法が参考になります)、失敗の原因を理解すること。
そして、その失敗を繰り返さない対策をイメージすることが大切です。

また、小さな成功を経験したら、大きな成功をイメージすることをしましょう。


例えば、5人の前でプレゼンが成功したら、1000人の前でのプレゼンの成功をイメージできるでしょう。

人間は、事前のイメージによって、その後の行動が制限されます。

「できない」、とイメージしてしまったことは、行動で実現し、「できなくして」しまうのです。


イップスとは、「できない」イメージを無意識のうちに実現してしまうことです。

逆に、「できる」とイメージしたことは、「できる」のです。


ビジネスの成功者は、「できる」と信じて(勘違いして?)行動した人です。

その裏には、妄想とも言える強いイメージがあったはずです。

強くイメージしたから、そのとおりに自分が行動し、実現したのです。

小さな成功からイメージを膨らまし、より大きな成功を、具体的な行動をイメージし、実現する。

現在の仕事にも、起業する時にも、イメージの力を活用していきます。
ゲームニクスとは何か 日本発、世界基準のものづくり法則
サイトウ•アキヒロ
幻冬舎新書
ISBN978-4-344-98045-7

ゲームニクスとは何か―日本発、世界基準のものづくり法則 (幻冬舎新書)/サイトウ アキヒロ

¥777
Amazon.co.jp

<目次>
第一章 なぜ、子供は食事を忘れるほどゲームに夢中になるのか?
第二章 ゲームニクス理論
第三章 "任天堂一人勝ち"から分かること
第四章 iPod、グーグル、ミクシィ……本当のヒットの理由は?
第五章 ゲームニクスが医療•福祉•教育分野を救う
第六章 ゲームニクスが日本の未来を明るくする


本書の著者はゲームクリエイターです。

ここで言うゲームとは、家庭用ゲーム機で遊べるゲームを指します。


日本のゲームは世界の最先端を行っていました。

現在は欧米に押されていますが、ゲームを世界に広めたのは日本の功績です。

日本は、ゲームをより楽しめるように工夫したので、世界に広まったのです。


テレビにつなぐゲームの発祥はアメリカです。

アタリから始まったゲームは、単純なルールであり、すぐに飽きられました。

しかし、日本に渡ったゲームは、日本人独自の感性により、誰でも自然に夢中になる仕組みを作って、世界中に広まったのです。


それを、本書では「ゲームニクス」と読んでいます。


ゲームの特徴は、説明書を読まずに始められ、次第に上達し、その過程で夢中になって、ラストまで飽きられないように作られていることです。

なぜこうなったかと言うと、売れるゲームを作るためです。

ゲームは、初期投資額が大きい割に、売るまではどれだけ売れるかが読みにくい商品です。

その意味で、設備産業と同様な構造を持っているでしょう。


しかも、売る相手は基本的に子供です。

子供は、説明書はまず読みません。

とりあえず触って、遊んでみて、楽しめるかどうかを短時間で感性で判断します。

面白ければ継続して遊び、つまらなければそこで終わりです。

ゲームの評判が良ければ口コミで広がって売れますが、マイナス評価は即売り上げに響きます。

こうした厳しい環境から、売れるためのゲームづくりの鉄則が構築されてきたのです。

本書では、これらを整理し、次の4原則に集約していますので引用します。


第一原則 直感的なユーザー•インターフェイス(=使いやすさの追求)
第二原則 マニュアルなしでルールを理解してもらう(=何をすればいいのか迷わない仕組み)
第三原則 はまる演出と段階的な学習効果(熱中させる工夫)
第四原則 ゲームの外部化(=現実とリンクさせて、リアルに感じさせる)


どうでしょうか。

ものづくり、例えば家電製品に応用できないでしょうか。

また、サービス業にも適用できるのではないでしょうか。

この感性は日本人には自然と備わっているものです。

ベースとなるのは、相手を洞察する能力とおもてなしの気持ちです。

お客様の行動をストレスを感じさせずに自然に誘導し、だんだん夢中にさせる。

これは、どんなビジネスのどんな段階にも応用できる考え方です。

この普遍的な真理をゲームを通じて理解するのは、具体的なだけに理解しやすいと感じました。