不況になると決まって現れるのがお勉強熱である。私の記憶ではこのような風潮が現れたのは2003年あたりだったと思う。(ちょうど大学年生だったと・・・)今でも覚えているのが当時のニュースである。

書店へインタビューを しに行くと、決まって「スキルアップが目的です」とか「手に職をつけるために資格をとろうと思っています」といった言葉が返ってきていた。店員にインタビューすると「資格や自己啓発関係の本が売れていますね」 といった回答が返ってきたのを覚えている。そしてスタジオに戻るとコメンテーターが「終身雇用制度の崩壊により、手に職をつけようという傾向の現れですね。今後も自らスキルアップを図る動きが加速するでしょう」なんてコメントを吐いていたのを覚えている。

当時の情報系の学科にいた私は、ずっと勉強を続けないといけない世界が始まるんだなぁ~とかコンピューターの世界は特に技術革新のスピードが速いからずーーと勉強していかないといけないだろうなぁ~とか勉強する習慣を作らないとなぁ~。と思った。そしてとりあえず資格を取らねばと思った。

では、社会人になった今考え直すとどうだろうか?

大体あっている(終身雇用が崩壊したとか、仕事ができない人がどんどんやめたとか、そういった点を除けば)と思う。会社はキャリアマップなるのもの用意し、学習を促すし、スキルアップという言葉は今でも使われ続けている。ただ、一点変わった点があるとすれば私の考え方の方だ。それはスキルという言葉に対するものである。

今でもそうだが、スキルアップという言葉がずーっと横たわっている。だけどスキルってなんだ?
辞書で調べると、技能。熟練。 訓練して身に付けた技能。 などと書いてある。当時も今もスキルアップというと決まって=資格という考えがちだが、本当にそうか?と思う。

スキルという言葉の意味合いがかなりあいまいになってきている。次回、私なりのスキルという言葉に対する分析を行い、本当に今の私たちに必要なスキルについて考えていきたい。


2007年に大ヒットした「夢をかなえるゾウ」という本を知っているだろうか?

知らなくても、聞いたことくらいはあるのではないだろうか?なんせ180万部も売れた上に、ドラマまでやったのだから…

この本、ストーリーはとてもわかりやすく、ガネーシャという神様?から出される課題をこなしていくことで自らの人生を変えていく物語である。題名の「靴を磨く」というのはその第1の課題である。
ストーリーについてはここまでにして、少し思い浮かべてほしい。

街中できれいな靴(磨かれたであろう靴)を履いている人をよく見かけるだろうか?

あまり気を払ったことが無いのであれば今後確認してほしい。がっかりするほど少ないはずである。ちなみにちょうど大ヒットしていた時にも観察していたがやはりほとんどいなかった。

私が言いたいのは「明日から靴を磨け」ということではない。
「実践することは難しい」ということである。

神田昌典さんの本に「本を読んで実践する人はたった5%しかいない」ということが書かれていたが、「夢をかなえるゾウ」の例もまさにそのとおりと当時思ったのを記憶している。もしかしたら5%よりも少ないかもしれない。

これだけ、ビジネス書というものが氾濫しているのに、たったの5%しか実践する人がいないというのは筆者からすれば少し悲しいと思うかもしれない。しかし、逆に読者、特にこれからビジネス書を手に取り、意欲を見せる若手社会人からすればチャンスといえる。ほとんどの読者はビジネス書を手にしても実践せずに自分の血肉とすることができていないのだから。

何か1つでも実践してほしい。実践すればそれだけで、その他大勢から抜け出すことになるから。

ちなみに、本を読み、実践するまでの隔たりを埋めるための方法を書いたお勧の本がある。本田直之さんの「レバレッジ・リーディング」である。行き詰ることがあればこれを参考に是非トライしてほしい。


小説を読むと主人公になったかのような気持ちになって話の中に入っていく。
映画を観ると主人公が感じているであろう痛快さを味わうことができる。

では、ビジネス書を読むとどうなるのか?


小説や映画と同じである。
著名な筆者と同じことが自分にもできる錯覚に陥ってこう感じるはずである

「なんかできる気がする!」、「なんか気分がいい!」

と。そして、「私はこうして成功した!」なんて内容を読むと「自分にもできた!」と感じるのである。
自分はまだ何もしていないのに、だ。


この他人の成功を自分の成功のように感じ、達成感を得る感覚を私は「疑似体験による幸福感」と呼んでいる。先に断っておきたいが、私はこの疑似体験についても幸福感についても否定的とわけではない。「疑似体験による幸福感」は人を前向きにさせるし、困難な問題に立ち向かう際の力になるからだ。
ただし、この力は非常に強力で誘惑的だからこの幸福感を得るためだけにビジネス書を手に取る習慣を身に着けてしまうという危険性がある。特に昨今、多読、速読がよいものとされているため、次の本を読まなくてはという後押しのもと、本に書いてあるアイデアを実行に移す暇も無くこのような落とし穴にはまりやすくなっている。

一度考えてほしい。本に書いてあるアイデアを試したのか?

その幸福感に実行する気持ちを乗せることでその本を読んだ価値が創出されるのではないか?
実践せずに幸福感を求めるだけではそれは単なる刺激でしかない。