さよならの儀式
宮部みゆき 著
河出書房新社
宮部みゆきさんの書籍。
2019年7月に刊行された本。
表題作を含む8つのサイエンスフィクション短編集です。
◆母の法律
養母が亡くなり養父が単身者となったため、養子の娘は"グランドホーム"に戻される。
"マザー法"と呼ばれるその法律の「反対派」との小競り合いの話し、義兄・義姉との話し、子猫の里親を探す話し が始まり...架空の物語とわかっているのに 文章に引き込まれる。これらの話しがどのようにつながり、何かしらの結論めいたものになるのか期待が膨らむ。
子猫の里親候補の女性から、養子の娘を以前虐待していた実母が死刑囚であることを聞く。かなり趣味の悪い設定...イヤミス。ラストシーンも、死刑囚の実母が娘を〇〇〇〇〇という悪趣味な終わり方。んー、どうなんでしょうか?誰に共感すればいいのか、何を楽しむ物語なのか。
◆戦闘員
80歳を超えた緑内障を患う男性が、マンションの防犯カメラを破壊する10歳ぐらいの少年を見つけて注意する...っという「突拍子もない設定」からスタート。「どうなるんだろ?」っと期待させる始まり方。家電量販店の駐車場から車で落ちて亡くなった夫婦、公園で見かける家出老女...「どうつながるんだろ?」っと期待させる展開。
共通点は「防犯カメラ」。防犯カメラの位置が気になりだした老人は、散歩コースにある防犯カメラをマークするが...。んー、ベタなSFですね。ビミョー。
◆わたしとワタシ
5月初めの週末に都内にある実家に帰省する40代独身の女性。30年前の女子高生だった頃の自分と対面する。自販機の「未来の飲み物」を買ってタイムトリップ。元の時代に戻るのも同じく自販機で「過去の飲み物」を買ってタイムトリップ。
コンパクトにまとまったお話しでした。良くも悪くもなく……。
◆さよならの儀式
回収された古い型式の家庭用ロボット・ハーマン。200年うごいたロボット。ロボットの擬人化。記憶メモリの移植を希望する女性。
回収窓口を担当するのは、元孤児で人々に愛されるロボットに嫉妬するロボット技師。
古いロボットと持ち主の女性は再会するが……。SFってこんな感じなのでしょうか?面白具合が分かりづらいですね。
◆星に願いを
女癖の悪い父親とキャリアウーマンの母親と10歳下の妹がいる女子高生の話し。隕石が飛来して騒動になる。近くの駅で無差別殺傷事件が発生する。
宇宙人が妹の身体に入り、話しかけてくる。自分にも別の宇宙人が入り込み、自分の姿が醜く見える……ホラー?
最後はドタバタしたまま終幕。ん、ん?どこまでがリアル?
◆聖痕
雨降りの冬に、灰色の雨合羽をきた男が探偵事務所に依頼に来た。依頼人の男性は、12年前に別れた元妻を殺した息子の写真をテーブルに置いた。
息子は元妻と内縁の夫に、小学生の頃から虐待されていた。中学生になると、生命保険をかけられ殺害される計画を耳にした。
黒き救世主、鉄槌のユダ、善悪二元論……後半はジェットコースターのような展開で……SFですね、ホラーではなく。整合性とか考えちゃぁ駄目なんですかね。
◆海神の裔
死者から新たな生命を生みだして兵士などで活用する技術。逃亡などで不明となっている「屍者」の追跡調査。
屍者が漁場の岩を整備したり、遺骨を拾ったりして、その土地に貢献したことを語る老婆。
んー、「オチは?」っと言ってしまいそうな終わり方。
◆保安官の明日
823人が住む町の保安官と22歳の助手チコ。通信と秘書のガルダばぁさん。保安官補のチョウ。町に3つある給水塔のトラブル。恋愛トラブルをおこす17歳の女子。誘拐されたが逃げ出して保安官事務所に駆け込んだ21歳の女子大生。
周回(ラウンド)、ザ・タウン、空白(ブランク)などのキーワードが散りばめれている……ゲーム?タイムループ?マトリックスみたいなシミュレーション世界?
「ブレードランナー」「トータルリコール」「マトリックス」みたいな映画を思い浮かべるような作品でした。まぁまぁ好きなジャンルかも。
2019年に読んだ本: MY BEST 5
1. 本と鍵の季節(米澤穂信 著)
2. フーガはユーガ(伊坂幸太郎 著)
3. 星の降る家のローレン(北川恵海 著)
4. 叙述トリック短編集(似鳥鶏 著)
5. 1分で話せ(伊藤羊一 著)
1. 本と鍵の季節(米澤穂信 著)
2. フーガはユーガ(伊坂幸太郎 著)
3. 星の降る家のローレン(北川恵海 著)
4. 叙述トリック短編集(似鳥鶏 著)
5. 1分で話せ(伊藤羊一 著)