もくしでつなぐプロジェクト | 競馬ブック こちら美浦編集局

競馬ブック こちら美浦編集局

ようこそ美浦へ、ごゆっくり

 こんにちは。美浦編集部の山下です。いつもは主に障害レースに関するトピックスを紹介させて頂いていますが、今回は競馬を離れて--。いえ実は全然離れていませんが、競走馬生産の現場とファンをつなぐ、素敵なプロジェクトを知って頂ければと思います。

 

 その名も「もくしでつなぐプロジェクト」。

 

 もくしとは頭絡のことですね。競馬ファンなら確実に見たことがあるでしょうし、馬でなくとも牧場に飼われている牛やヤギなど、ひもで作られている頭絡をつけているのを観光などでご覧になっていると思います。そのもくし(頭絡)を作り、日高の生まれたばかりの仔馬に着けてもらいたいというのが、このプロジェクトの主旨です。説明するより、画像で見て頂いた方が早いですね。

 2月17日、渋谷駅と恵比寿駅のちょうど中間あたりにある、渋谷区氷川区民会館で行われました。取材には弊社週刊誌でも書いて頂いている小泉恵未アナウンサーも同行。昨年までグリーンチャンネルパドックキャスター、そして現在は東京中日スポーツで競馬コラム「コエミの主役はあなた!」を連載中。幻冬舎「スパークジンジャー」では海外競馬について書かれておられます。競馬ファンにはお馴染みの方ですね。

 まず、もくし作りは難しいということで担当の方と一緒に作っていきます。一応、参加者には作り方を示した教本が配布されていたのですが、「見ても分からん!」というのが正直な感想でした。

 しっかりとメジャーで測りながら編んでいきます。何せ説明を聞いても難しいので、担当の方を呼んで「これでいいの?!」と小泉さん。

 悪戦苦闘の末、遂に完成!もくしのちょうど馬の頬にあたる部分に自分の思いを書いていきます。

 行き先の牧場を選ぶことはできませんが、どの牧場のどの仔馬に着けられたかは、牧場のブログで確認することが可能とのこと。自分が作ったもくしの仔馬と競馬場で再会なんて夢が広がりますね。

 ちなみに、もくしは日高のJAではひとつ900円ぐらいで売られているそうです。自作でも500円くらいの原価が掛かってしまうため、まず購入する生産者がほとんどとのこと。かつては生産者の方が手作りでというところもあったようですが、その手間ゆえ今では作り方を知らないというひとも増えているそうです。
 

 せっかくなので小泉さん以外の参加者にもお話を聞いてみました。

 袴田さん「昨年キタサンブラックが引退した有馬記念を中山競馬場で見まして。それで競馬に興味を持って今日きました。やってみると本当に難しくて、かなり作るのに苦労しました。ただ作るということであればなにかひもの色を変えるなどすると分かりやすいのかもしれません。自分が作ったもくしを仔馬がつけてくれると思うと、今から楽しみです」

 

 最後にこのプロジェクトを主催したPacalla(パカラ)を運営されている岩倉俊之さんにお話を伺いました。

 

 岩倉さん「『もくしでつなぐプロジェクト』を通じて競馬に興味がなかった人も、今回のように実体験を通して、馬であったり生産者さんを応援して頂くことになれば嬉しいなと思っています。生産の現場を知ってもらい牧場のファンになってもらえたらもっと競馬も面白くなりますよというのを発信できればいいですね」
 

 今シーズンのもくしプロジェクトは今回で終わりとのことですが、今後も継続の予定とのこと。ほかにも生産者の方と行く旅行企画などもあり、体験に基づくファン拡大に注力されていくとのことです。気になった方はぜひPacalla(パカラ)のサイトにアクセスしてみてください。もくしを実際につけた投稿もありますし、牧場の日々を綴った投稿を見るだけでも癒されますよ。