ここ数年は皐月賞を少なくとも1桁着順で入線した馬が人気でなおかつ上位入線している傾向の日本ダービーとなっていました。本年もそのような人気となりました。例外は皐月賞にもし出ていたならば抜けた1番となっていたであろうの皐月賞自重馬のダノンプレミアムです。やはり他の出走馬と以前に対戦して一度も負けていないダノンプレミアムが単勝オッズ2.1倍で1番人気となっていました。皐月賞馬のエポカドーロはダノンプレミアムと日本ダービーまでは一度も対戦していませんが、スプリングSで負けた相手のステルヴィオがダノンプレミアムに2戦2敗となっていて、3段論法的にはダノンプレミアムの方が上と考える人が一般的で、事実単勝オッズが10.5倍の4番人気とエポカドーロはなっていました。但し4番人気となった理由はブルドメアサイアーがフォーティナイナーで距離不安もあったと思います。実は私もフォ-ティナイナーにシェイディハイツがかかったダイワパッションが母なので、良く目に見ても2000㍍までの馬と考えていました。そして2番人気が単勝4.6倍のブラストワンピースとなっていました。この馬は第一にダノンプレミアムと対戦していません。また皐月賞上位馬とも戦っていません。この日本ダービー前の毎日杯での力強い勝利と未知の魅力で2番人気となったと思います。逆に言えば、ほんとうに強い馬とは一度も対戦していない不安もあったと思います。3番人気が単勝8.0倍でキタノコマンドールとなっていました。皐月賞が0.6秒差の5着となっていたので、それからすると人気しすぎだと思いました。この馬はビートたけしさんの命名馬で、実力以上の人気があったことも事実です。4番人気が先に挙げたエポカドーロで、5番人気が皐月賞1番人気で7着となったワグネリアンで単勝12.5倍となっていました。皐月賞の敗因はハッキリしていました。しかしそれが実力からくるものかもしれない。そう思う人がいてのこの人気であったと思います。
レースは皐月賞馬のエポカドーロが、素早く先頭に立って進みました。戸崎騎手の思い切った騎乗と感じました。確かにこの馬の持ち味を最大限に引き出す為には逃げが1番との判断であったと思います。ダノンプレミアムもいつものように前目の2,3番手をキープしていました。但しピッタリ2番手なり、3番手ではなく、道中前後しての走りとなっていました。特に4角では、理想の2番手ではなく、4番手で進みました。いつものような直線で押し切るような競馬するための位置取りが出来ませんでした。やはり急仕上げであったのか、それとも2400㍍が長かったのか分かりませんが6着での入線となってしまいました。私の考えはその両方であったと思います。やはり皐月賞の実戦を使っていないので、調教だけで実戦向きに仕上げることは難しい。また距離適性も、どう考えても母系はマイラーと思われます。しかし実際のところは分かりません。これはあくまで私の見解です。そうした中で勝ったのが皐月賞7着馬のワグネリアンでした。上記で敗因はハッキリしていると書きましたが、その敗因はペースがさほど速くないのに、道中の位置取りが10、11番手とやや後ろ過ぎる位置にいました。あの位置では、直線で驚異的な脚を使う以外に手がありません。皐月賞で勝ったエポカドーロの上がり3Fが35.1秒で、このワグネリアンの上がり3Fは35.2秒でした。勝った馬とほとんど同じ脚しか使えなければ7着となります。よって最大の敗因は道中の位置取りが最悪であったことです(後ろ過ぎる)。逆に言えば直線だけで他馬をゴボウ抜きするほどの脚力を持っていない馬と判断できます。昨今の競馬は最後の直線だけでゴボウ抜きできるような競馬になることは稀です。それほど力の差のある競馬は本当に少なくなりました。ワグネリアンはこの日本ダービーでは福永JKの前に出しての指示によく反応して5,6番手を進みました。逃げていたエポカドーロは溜め逃げで、1000㍍通過が60.8秒とスローなペースとなっていました。レースのペースは前半3Fが36.0秒で後半3Fが34.6秒と上がりの競馬となりました。そうなると前目に位置して、なおかつ粘り強い脚がある馬となります。1着したワグネリアンの上がり3Fが34.3秒。2着の逃げたエポカドーロの上がり3Fが34.7秒でした。道中の位置取りのタイム差が少なくとも約0.5秒以上あれば差せていません。まさに理想的な位置取りでした。福永JKがワグネリアンに日本ダービーを取らせたといっても過言ではない、素晴らしい騎乗でした。これでダービーJKの仲間入りです。キングヘイローの呪縛から完全に脱却です(もっと前に脱却していたかも分かりませんが)。惜しくも2分の1差2着となったエポカドーロは、レースとしては完璧なものであったと私はとらえています。やはり最後は血統がものを言っての2着であったと私は思います。
オークスの1,2,3着の生産者が同じノーザンファームでした。この日本ダービーは1,3着馬がそのノーザンファームで2着馬が新ひだかの田上徹氏でした。しかし2着馬のエポカドーロはセレクトセールの取引馬で父がオリフェーヴルです。社台関連馬と考えても、差し支えないと考えます。このように本年度の上半期の3歳クラシックは例年以上に社台ブランドの馬が上位を独占した年となりました。
それでは皆さん GOOD LUCK(TY)