有馬記念回顧(C.ルメールがサムライになった) | 競馬ブック CPU泣き笑い 

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  本年の有馬記念はC.ルメールの中にサムライを見た。それにつきます。

実は前日の土曜日は阪神競馬場でC.ルメール騎手は、騎乗していました。5レースの新馬戦芝1600㍍では、単勝3番人気のインウィスパーズに騎乗していました。相手一番手と思われていたのが、2014年セレクトセール当歳セレクションで税抜き2億5千万円で近藤利一氏に落札されたアドマイヤアゼリ一番人気馬です。レースはメイショウアリソン(単勝4番人気)が逃げ、ぴたっとC.ルメール騎乗のインウィスパーズが2番手につけました。そして直線鮮やかに抜き去り、後続の追撃も退けました。その後続の中に2着した1番人気アドマイヤアゼリがいました。まさに勝ちに行って勝ったレースの印象受けました。有馬の意識も少しはあるなと思わせるレースぶりでした。

 続いて8レース芝2600㍍での騎乗では、向正面から3角にかけてポジションを上げて行き、3角では先頭に立っていました。騎乗したトライブキングが掛かったこともありましたが、とても積極的なレースぶりでした。このレースを見て完全に有馬でのサトノダイヤモンドの騎乗方法で頭が一杯の有馬モードになっていると確信しました。このレースでの教訓は、例え前目でも目標馬より前に 出ること(先頭はもっととんでもない)は良くないことです。

 そしてこの日のメインレース(11レース)阪神カップでC.ルメール騎手はイスラボニータに騎乗しました。有馬でのキタサンブラックをミッキーアイルに置き換え、その直後の2番手にぴたっとつけました。相手ミッキーアイルにプレッシャーを掛けるべく、つつき気味の追走をしていました。そして直線となり、当面の相手ミッキーアイルを抜き去り、あと少しでゴールとなった直前に後ろからやってきたシュウジに差されてしまいました。最初から最後まで勝ちに行くレースで、今までのC.ルメールとは違った感覚を持ちました。徹底的に1着を取りに行って2着となったレースです。しかし収穫は大きかったのではないでしょうか。この騎乗方法で有馬もなんとか成る。そのような感触は得たと思います。そしてこのレースの教訓は、目標の馬をつつくのは自身ではなく、他の馬が行えば鬼に金棒となる。このことだと思います。

 おそらくC.ルメール騎手は年間リーディングジョッキーのタイトルを戸崎騎手と争っているので、その年間リーディングジョッキーのタイトルも獲りたい気持ちは大いにあったと思います。しかし有馬記念のサトノダイヤモンドの騎乗方法の方が、この時点ですでにはるかに大きなものとなっていたと思われます。そう思わせる土曜日阪神の騎乗でした。当然勝利数は伸び悩みました。それに引き換え中山で騎乗していた戸崎騎手は1レース1レース勝利を目指すことのみに専念した騎乗で、勝利数を大きく伸ばしました。

 そして迎えた日曜日有馬記念。C.ルメール騎手は土曜日阪神での予行演習そのままを実践して見せたのです。1週4角、スタンド前と出たなりのポジションの凡そ8番手を進んで行きました。そして2角にかけてポジション上げて行き、2角ではキタサンブラックの直後の3番手をキープしていました。それから向正面にかけてもその位置をキープして行きました。この向正面でサトノダイヤモンドにとっては、とても好都合なことが起きました。サトノノブレスが前のキタサンブラックをつつき気味にプレッシャーをかけたことです。まさに前日の教訓通りの状態がここで出来上がりました。これは私の単なる推測です。確証はありません。サトノダイヤモンドとサトノノブレスは同厩舎、同馬主です。またサトノノブレス騎乗のシュミノー騎手はC.ルメールと同じ、フランス生まれのフランスの騎手です。シュミノー騎手にとっては、C.ルメール騎手は大先輩となります。またシュミノー騎手の短期免許交付における身元引き受け調教師は、今回騎乗したサトノノブレスの池江泰寿氏です。こうなるとサトノダイヤモンドの援護射撃をしてもおかしくない構図ではあります。ただそう考えるのではなく、C.ルメール騎手のサトノダイヤモンドにかける念とも思われる強い気持ちがそうさせたのでしょう。ようは念力により自然にそうなったとしておきましょう。

 ここまでのレース状況はC.ルメール騎手が考えた通りのレース展開であったと思われます。120%の遂行状態とも言えます。後は直線でキタサンブラックより少し後に追い出し、そして魂を込めて追い続ければ何とか成る。そのような考えであったと思います。そしてその直線は正しくそのようになりました。ゴール前の魂の一追いでグィとキタサンブラックを抜き、1着でゴールしました。

 天晴れC.ルメール。あなたはサムライになりました。

 

 レースとしては勝ちタイム的にはまことに平凡なものでした。同じ日の同距離(2500芝)のレースとしてグッドラックハンデキャップ競走がありました。条件が1000万下です。勝ちタイムが2分33秒9でした。そうするとオープンGⅠの有馬記念の予測勝ちタイムは2分31秒台が標準と考えられます。それが2分32秒6と非常に遅い決着となりました。しかしこの勝ちタイムからの凡戦を補う大きなものがありました。

 その一つが1,2,3番人気のサトノダイヤモンド、キタサンブラック、ゴールドアクターの3頭がそれぞれ自身の持っているパフォーマンスを自身の形で発揮したと思われることです。これがまず光です。

 そしてそれよりも大きな光となったのがC.ルメール騎手のサムライ魂です。

 年間リーディングジョッキーのタイトルと言う肉を切らせて(捨てて)、有馬記念と言う骨を断つ(勝利する)。まさにそのようなC.ルメール騎手でした。

 (年間リーディングジョッキーのタイトルは来年もあるぜよ。ルメールよ。)

 レースは凡戦(勝ちタイム的には)でしたが、とても大きな感動を得たレースとなりました。

 (C.ルメール騎手に対する印象が大きく変わりました。今までも巧い騎手だとは思っていました。しかし勝負にはやや淡白な印象を持っていました。今回見せた1つのレースにかける強い思いを目の辺りにして、今までの印象が大きく変わりました。)

 今一度。  天晴れC.ルメール騎手。

 それでは皆さん  GOOD  LUCK(TY)