ホーチミンの繁華街の一角に、シックな入り口のレストランがある。
扉を開けるとすぐ上階に通じる階段がある。
二階に上がると、木を基調とした落ち着いた感じの店内が広がる。
ここは、ベトナムの家庭料理が食べられるレストランだ。
日本人の白井尋さんが経営している。
普通のレストランではない。
ストリートチルドレンや恵まれない環境の若者を雇い、一人前にトレーニングして高級ホテルなどに就職させる。そんなトレーニングレストランなのだ。
つまり、どこからも欲しがられないような人を雇い、3〜4年かけてどこからでもお声がかかる、世の中から欲しい人材に変身させて卒業させていくのだ。でも学校ではない。一般の営利企業が経営している。
これってどこかで聞いたことがある話だと思ったら、横浜にある秋山木工と同じだ。
秋山木工では、未経験者の丁稚を雇い、8年で卒業させる。
秋山さんは、これを「8年でクビにする」なんていい方をするので、誤解されることがある。実際は、8年かけてどこでも通じる一人前に育て上げて送り出すのだ。
たまに実情をよく知らない人が、「若い人材を安い賃金で使って、使い捨てる」なんていうけれど、それは経営を知らない人の発想だと思う。
8年経って一人前になったら、たとえ給料が高くなっても、給料以上の仕事をしてくれるので会社に残ってくれた方がいいのだから。仮に月給20万円でも30万円の仕事しかできない人より、月給100万円でも月に500万円の仕事をしてくれる人を置いておいた方が経営面から考えたらお得だ。
それをしないのは、なぜか。
ここに二人のお考えの共通点がある。
それは、お二人の心の根底に「目の前の人に輝いてもらいたい」という気持ちがあり、それが強いことだ。
経営者である以前に、一人の人間としてその想いが強いのだ。
もちろん、ビジネスシーンでやっているのだから、利益も必要だ。
でも、お二人とも生き方(在り方)が利益至上主義ではない。
利益は必要だが、それが一番ではない。
このあたりの感覚の絶妙さに僕はワクワクしてしまう。
白井さんのレストラン(名前は「フーンライ」)、は10段階のわけて、トレーニングするという。
最初は店内に立って見ているだけ。そこから、ドリンクの注文を受ける。など細かくわけている。
トレーニングレストランだから接客が悪くてもしょうがいないなどと妥協しない。
このあたりの仕組み作りも素晴らしかった。
白井さんも秋山さんも自分の心の奥底にある疼きみたいな感覚を大切にされているのだろうなぁと想像する。
仮に神様みたいのがいたとしたら、神様から今世で与えられたお役目のようなものをしっかりと感じ取り、それに従って生きている感覚。
この流れに乗っている人の透明で力みのないエネルギーは周りも幸せにしていく。
ありがたいことに僕はそういう人とたくさん巡り合っていく。
だから、僕の周りではこんな世界が当たり前になっている。
世の中、こんな人だらけだと本気で思っている。
これって、RAS機能が働いているのだと思う。
人の脳は欲しい情報が自然と集める機能がある。それがRAS機能だ。
だから、僕は自分が見たい現実だけを見ているのだと思う。
そして、これは、僕だけの話ではなく、人間皆が持っている機能だから、みんなもそんなはずだ。
正しい、現実を見ている人はいなくて、みんな自分が見たい現実をみている。(それが潜在意識で「見たい」と思っている現実の場合もある)これは、仏教でいったら、「色即是空 空即是色」なのかな。
自分が「ありたい姿」があるのなら、表面ではなく、その時の「心の在り方」を想像してみる。
そして、ありたい心の在り方に近い人に囲まれるようにする。
すると、その「心の在り方」が自分の中で当たり前になっていく。
そんな人がリアルな場面でいなかったら、本や映画などに囲まれる。
それもなかったら、その「在り方」を言葉にして、常につぶやいている。
おかしい人と思われるかもしれないけれど、そうやってつぶやいていると自分の脳が勘違いしき、自分の在り方を変えていく。
このあたりは、鶏が先が卵が先かのような感じかもしれない。
自分の脳が勘違いしていくと、自分の心が変わっているから、変わった心に近い人と出会うとも言えると思う。
みんな現実を見ているのではなく、世の中を自分の見たいように見ている。
そんなもんだと知っておくと心が楽になる気がするな。
僕は、白井さんや秋山さんのような「心の在り方」の人に囲まれて生きていきたい。