ブックカフェAETHER(アイテール)では、恩送りカードという仕組みがある。

これは、お客様が今後来店されるであろう見知らぬお客様に対してコーヒーを一杯ご馳走流仕組みだ。

店内にある「恩送りカード」にどんな人にコーヒをご馳走したいのかを書き込み、コーヒー代と共にお店に託す。

そのカードは店内に貼られている。

そして、人の恩でコーヒーを飲みたい人は、カードをスタッフに渡すとタダで飲める仕組みだ。

 

 

カードには、コーヒをご馳走になった人からメッセージが書き込まれ、ご馳走した本人のもとに届けられる。

願わくば、ご馳走になった人は、次の人のために恩送りカードを置いていってもらいたい。

 

そうやって、恩送りの連鎖が起きていくことを期待している。

 

「どんな人がコーヒーを飲んでくれるのだろう」と思いを巡らしカードを店に置いていく。

「どんな人がご馳走してくれたのだろう」と思いを馳せながらコーヒーを飲む。

そこに生まれるちょっとした暖かい心が、日常生活に少しだけ潤いを与えたらいいなぁと思っている。

それは、旅の思い出になるし、日常生活の中で忘れていた人とのつながりや、優しさを取り戻すきっかけになるはずだ。

 

「一人になりたい」「ほっとしたい」だけれども、今月はいろいろ出費があって贅沢できない。

そんな時にも、このカードを使って誰かの恩を受けながら、コーヒー一杯とちょっとした自分時間を作ることができる。

そして、余裕がある時に、今度は自分が恩を送る側にまわればいい。

 

カンボジアの伝統の森を作った僕が大好きだった森本喜久男さんは、「お金は自分のものじゃなくて、みんなのものと考えるといいね」と言っていた。

そんな感覚で、できる範囲で融通しあっていく。

そこに優しさや温かさが生まれてくるのだと思う。

 

この恩送りカード、オープンから約5ヶ月で60人くらいの方が置いていってくださった。中にはリピーターの人も。

どんな人にコーヒーをご馳走したいのか、みんな真剣に考えて書いている。

その姿がとても楽しそう。

 

見ていて気付いたことがある。

この仕組み、「恩を送られる側」、コーヒーをご馳走になる側より、「恩を送る側」、コーヒーをご馳走する側の方が嬉しそうだ。

人は誰かのために何かをしてあげたい。誰かに喜んでもらいたい。そんな思いが根底にあるのだろう。

いわゆる「良心」というものだ。

そして、この仕組みは、自分の中にある「良心」に自分が気づくきっかけなんだと思った。

また、これは時空を超えた過去と未来の人をつなぐコミュニケーションなのだ。