体調を崩した原因は、精神的なものだと思う。
今まで東京で分刻みとは言わないまでも、時間単位で次々に人と会い、人と会わない時は事務作業をしていた。
仕事が終わるということはなく、常に仕事をかかえ、自分で「今日はここまで」と区切って仕事を終わらせるような毎日だった。もちろん、土曜も日曜も仕事があった。
仕事ばかりの毎日が辛いことではなく、むしろそんな毎日に充実感を感じて楽しかった。
それが、仕事を整理して沖縄来たことにより、やることがなくなった。
本当はやることは沢山ある。しかし、ほとんどの仕事に期限がなくなった。つまり、今日やらなくてもいい仕事ばかりになった。
さらに、沖縄に知人も少ない。人が集まるような場所もわからない。何もしないと、1日家から出ないで、誰とも話をしないで終わってしまう。
時間を持て余すて寂しさ、そして、世間から必要とされていない感覚、世間から忘れられてしまったような不安感。これが一気に襲ってきて、精神を不安定にさせたのだと思う。
体調が悪かったことは、ほとんど人には話さなかった。
別に隠したいわけではないのだが、自分の感情とか感覚とかを僕はあまり人に話す気になれないのだ。
誰かに聞いてもらいたいと思うのだが、その人を目の前にすると、なんだが急に話す気が失せてしまう。
だから、僕の体調不良を知っていたのは、家族以外では日比野さんだけだった。日比野さんに「不安感がすごくある」という話を電話でした。
その時に、日比野さんが「下田さん、沖縄で何かやったほうがいいですね。何か一緒に研修やりましょうか。」と言ってくれた。
それがすごく嬉しかった。久しぶりに自然と涙がこぼれ落ちた。
そして、出来上がったのが、後に、「通天泊」という名称になる研修だった。
通天泊は、経営理念を考え、それを事業化していく合宿研修だ。
これは、もともと日比野さんが大阪でやっていた研修だ。
それを、都会のビルの中ではなく、沖縄の自然の中でやってみようというのが試みだった。ビルの中で考えるのと、自然をフィールドとして考えるのでは、出てくる発想が違うはずである。
単なる儲けではなく、人が持っている優しさや思いやり、それが理念となり、それが事業となっていく、そんな良心が発露になって収益化されているビジネスに溢れる世の中にしたかった。
そんな思いがこもった研修がこうしてスタートしたのだった。
初回は13名の方が参加された。