AETHER(あいてーる)のもうひとつのコンセプトは、「恩送り」だ。
僕が考えている「恩送り」とは、今後くる見知らぬ誰かのために、コーヒー一杯分のお金を置いていく。
そのお金でコーヒーを飲んだ人は、また、次の人のためにコーヒー一杯分のお金を置いていく。
こうやって、自分が受けた恩を次の誰かに送っていく。そんな循環を作るシステムだ。
物理的には、次の人のために、一杯分のお金を置いていくのだから、ご馳走になったことにはならないかもしれない。
でも、決定的に違うのは、このお金には「想い」が入っているということだ。
自分のために使うのではなく、誰かのため、しかも見知らぬ誰かのためにお金を使う。
そこには、「どんな人が使うのだろう」「どんな人がご馳走してくれたのだろう」と想いが付加される。
自分のためにお金を使う消費行動ではなく、人のためにお金を使う消費行動が生まれる。
その経験は、なんだか、心をほっこりさせてくれ、優しい気持ちにさせてくれる「恩送り」でそんな優しい気持ちのきっかけを作りたいのだ。
僕は、「恩送り」もコミュニケーションで、これは、時空を超えたコミュニケーションだと思っている。
時は同じくしていないけれど、同じ場所を共有した人同士が、お互いに想いを馳せて心を共有する。
カフェを始めるにあたって、時空を超えたコミュニケーションもコンセプトに入れたいと思っていた。そんな時に、ふと湧いてきたのが、この「恩送り」だった。
AETHERでは、「恩送りカード」というカードを作ってみることにした。
これは、こんな仕組みだ。
恩を送りたい人が、カードを500円で購入する。
そのカードには「具体的に恩を送りたい(コーヒーを一杯ご馳走したい)人」を書く。例えば、「那覇市出身の方にコーヒーをご馳走します」「赤ちゃんと来たお母さんにコーヒーをご馳走します」など。
もっと抽象的なものでもいい。
実際には、「夢を持っている人へ」とか「頑張っている人へ」なんていうのもあった。
このカードは、ポストカードになっているので、裏面に自分の住所と氏名を書いてもらう。
これをお店で預かり、カフェの中に貼っておくのだ。
来店されたお客さんが、カードを見て、自分に該当するものがあったらそれを使ってコーヒーを飲む。(実際にはコーヒーだけではなく、500円までのドリンクに使うことができる。)
「恩送りカード」にはメッセージを書く欄があるので、ご馳走になった人は、ご馳走した人に向けて、感想なり何らかのメッセージを書いてもらう。
それをお店が預かり、切手を貼って投函する。
そして、ご馳走になった人は、次の人のためにカードを置いていく。
実際に店をオープンさせてみると、多くの方が楽しみながら「恩送り」してくれている。特に旅行客の方は、旅の思い出としてやって頂けているようだ。
AETHERがオープンして2ヶ月ちょっとだが、50名近くの方が恩送りしてくれている。
将来的には、お客さん全員が、人の恩でコーヒーが飲める。
そんな「恩」で回っていくカフェになったらいいなぁと思っている。

