遺伝子工学の権威、村上和雄先生の本を読んでいて、こんなことが書いてあった。

行動生態学者の長谷川真理子先生の研究によると、「利己を優先する人はいっときは強いが、やがて利己同士が争って集団自体が滅びてしまうことがある。それよりも所有物や利益を独占せず、互いに融通し合うようなお人好し集団の方が進化生存に適してる」という結果が出たそうだ。

 

これは思い当たる節がある。

弁護士や税理士など○○士とつく職業世界の中で、社会保険労務士は横のつながりが強く、同業者同士が仲がいい。

よく他の資格業の方々に、「社労士さんって仲いいよね!」と驚かれる。

この世界に身を置いていて、確かに他の士業に比べて仲がいいと僕も思っている。

 

全体的な統計は知らないので、感覚値ではあるが社労士はここ10年ぐらいで知名度も仕事量も飛躍的に伸びた。

少なくても、僕の周辺は事務所の規模を大きく成長させたところが多い。

その原因の一端はこの仲の良さにあると思う。

 

僕らの業界(特に僕の周辺)では、皆仲良く、よく情報交換している。

もちろん、僕らには守秘義務があるので、クライアントのことを直接話しすることはないが。

例えば、法改正の具体的な情報、うまくいった仕事の進め方、事務所経営の仕方、本の書き方など、みなオープンに教えあう風潮がある。

自分が初めて当たる案件についても、周囲の経験者に聞くと快く教えてくれる。反対に僕も聞かれれば、オープンに教える。人脈なんかも紹介する。

 

どうも他士業に聞くとそんなことはあまりないらしい。

「周囲は自分のライバル。なぜ、自分が苦労して得たものをたやすく人に教えないといけないんだ」と考えている人が多いらしい。

もちろん全ての人ではないだろうが。

 

まさに、この仲の良い環境が社労士という存在を世の中で大きくなってきたことに関係しているのだと思う。

 

こういうことだ。

お互い情報を交換し合うことで、全体の質が上がっていく。

そうすると、「社労士に仕事を任せるといいらしいぞ」という評判が立つ。

それによって、ますます仕事がもらえる。

仕事を多く経験することで、さらに能力が上がっていく。

そして、さらに世の中の需要が増える。

そうすると、顧客の取り合いにならない。

仕事量自体が100から200になったような感じで、自分たちの枠の外にもまだまだお客様がいることに気がつく。

 

これはまさしく、長谷川先生の研究結果である、「所有物や利益を独占せず、互いに融通し合うようなお人好し集団の方が進化生存に適してる」ということなんだと思う。

 

お人好し集団とは別名、「おっちょこちょい集団」かなぁ。

おっちょこちょいは、あまり後先考えずに、その場の雰囲気で、何か良さそうだと思うことをやってしまう。

それで、仮にうまくいかなくてもそこには悲壮感がない。

「ああ、やっちまった」ぐらいの感覚しかない。

 

僕は実際に社労士業界の中に身を置いていたから感じる。

そうやっておっちょこちょいに、お人好しに生きていると、そこにはいい気の流れが生まれて、気分がいい。

そして、気分がいい人たちと一緒にいると、ともに進化成長しようという機運が生まれる。

 

そういえば、以前紹介した秋山木工の秋山さんがこんなことを言っていた。

「夢ややりたいことがあったら、金持ちにどんどん話せ。そうしたら、何人かに一人、おっちょこちょいな金持ちがいるから、その人がその夢を共有したいと思って、お金出してくれるから。」と。

これも言っていることは一緒だと思う。

自分の所有物や利益を独占しないで、それを融通することによって、全体が進化していく。そんな人たちの間にいることが大切だよと。

秋山さんはそんなことが言いたかったのだろうなぁ。


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