アルチュール・ランボー No.2◇ランボオ詩集◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

これからは国内外の多々ジャンルに飛び込みます。




TwitterもといX: 「https://twitter.com/KYoCaTHouWoR
エブリスタ: https://estar.jp/users/153193524

フランス詩を探究し、ランボオを知った。それは「詩人中原中也」の生涯を運命づけたーーー






◇ランボオ詩集◇

アルチュール・ランボオ 中原中也 訳



「季節(とき)が流れる、城寨(おしろ)が見える……」早熟早生の二人の詩人の個性がぶつかり合って生まれた化合物とでも言うべき訳詩集。中也は自らの詩人としての嗅覚を頼りにランボオの詩を読み解き、無手勝流に見事までの中也節で訳しあげてみせた。



☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆



1.三笠書房版『ランボオ詩集《学生時代の詩》』



2.野田書房版『ランボオ詩集』



3.未発表翻訳詩篇



4.翻訳詩ファイル



5.翻訳草稿詩篇



☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆



「古い帽子だな」中也は黒帽子を引っ繰り返して子細に眺めた。「趣味は悪くねえが……太宰が着てた外套は新品だったぜ。なんで俺のだけ古着屋で購った奴なんだ? 予算不足か?」

「古着屋で購ったのではないよ」森は苦笑して云った。「それは蘭堂君の遺品だ」

中也がはっとして森を見た。それから帽子を丁寧に持ち、もう一度眺めた。



ーーー「文豪ストレイドッグス 太宰、中也、十五歳」より。



☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆



「ランボオ詩集」中原中也訳版です(・∀・)



さて前回、《荒覇吐》と中也に執着していた蘭堂ことアルチュール・ランボーは太宰と中也によって斃されました。その後、元いた《羊》にも戻れなくなった中也は正式にポートマフィアに入ることに。ポートマフィアの慣習に従い、中也は森鴎外から帽子を下賜されます。中古品だと思ったそれは蘭堂の遺品でした。



ランボーは「生きよ」と言い遺しました。改めて帽子を丁寧に持ち直した時、初めて被った時、彼はランボーの最期の言葉を思い出し、常にそうあろうと誓ったことでしょう。



ランボーの帽子は今や「素敵帽子」というトレードマークになり、中也を表すには帽子のアイコンで十分です← 6巻で中也は奇襲を仕掛けたのに乱歩の言葉に一瞬素の顔をします。出自は不明だけど愛用品を褒められたらそれはそれで嬉しい人間的な中也が好きだったりします。







宮沢賢治の時もそうでしたが中原中也は推し詩人を見つけるととにかく筆が乗りました。書きまくりました。ランボー詩集に至っては3作も翻訳詩集を出しています。そのうち1作は野田書房版に吸収されていますが彼の人生の長さを考えると頻度高めです。

本書の解説を読むに中也はランボーを知って帝大仏文科と東京外国語学校仏語科に入ったというので中也にとってフランス詩の探究、とりわけランボーの翻訳はライフワークだったと言えます。



事実、中原中也訳のランボーの詩は確かに中也節で癖強いけど激情を秘めて叫ばずにはおれないランボーの魂と共鳴しているような気がします。その中でやはり『幸福』は名訳だと思います。誦じたくなる。これ読むために本書買った感ある。そして漢字の読み方に囚われない自由なルビは叫ぶごとに中原中也を感じられます。やはり詩人は自由を1番鼓舞していますね。



「ランボオ詩集」中原中也訳版でした(・∀・)/ 

遂に! 最終巻!!!(*^o^*)/