ウィリアム・アイリッシュ No.10◇暁の死線◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

これからは国内外の多々ジャンルに飛び込みます。




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事件が発覚する、バスが出る朝6時までに無実を証明せよ!

 

 

 

 

 

◇暁の死線◇ -Deadline at Dawn-

ウィリアム・アイリッシュ 稲葉明雄 訳

 

 

ニューヨークで夢破れたダンサーのブリッキー。孤独な生活を送る彼女は、ある夜、挙動不審な青年クィンと出会う。なんと同じ町の出身だとわかり急速にうち解けるふたり。出来心での窃盗を告白したクィンに、ブリッキーは盗んだ金を戻そうと提案する。現場へと向かうが、そこには男の死体が。このままでは彼が殺人犯にされてしまう。潔白を照明するタイムリミットはたった4時間。『幻の女』で名高い著者の傑作サスペンスを新装版で贈る。

 

 

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孤独で警戒心の強いブリッキーはある日挙動不審の男に出会う。大枚を叩いてダンス切符を買ったのにブリッキーと少し踊っただけで残りはゴミ箱に捨ててしまった。彼はブリッキーを送る、と言ったが挙動不審て後ろを振り返ってばかり居る。しかもブリッキーが住むアパートの前から立ち去ろうとしないのだ……

 

 

彼の様子を見て何かを感じたブリッキーは男を部屋に上げる。男は男でブリッキーの書きかけの手紙を見て顔が変わる。なんとブリッキーと男の故郷は同じところだったのだ! 2人はすれ違いで出会ったことは無いが家族はお隣さんである。しかも男はブリッキーのかまに引っ掛からなかった……本物だ! 2人は改めて自己紹介し、ブリッキーと男、改めクィンは故郷と身の上話で盛り上がる。

 

 

そのうちブリッキーは自分がニューヨークという「都会」に負けたこと、故郷に本当は帰りたくてたまらないことを打ち明ける。それに対してクィンは失業した挙句元お得意さんの家のお金を盗んでしまったことを打ち明ける。先までの挙動不審はそれが原因だったのだ。ブリッキーはそれを返したら一緒に故郷に帰るバスに乗ろうと提案する。しかしそのお金の持ち主、グレーヴスは冷たい射殺死体に化していた……

 

 

このままではクィンが犯人にされてしまう! ブリッキーとクィンは死んだ男を徹底的に調べて二手に分かれて捜査を開始するが……現在、午前2時55分、果たして2人は午前6時に出る故郷行きバスに乗ることができるのか!?

 

 

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「暁の死線」です(・∀・)

前作もタイムリミット・サスペンスものでしたが今回はぐーんと短くなってたったの3時間。しかも登場人物に警察官は居ません。つまり指紋とか足跡の照合とか専門的な捜査は何も出来ません。本当に素人が証拠品の照合や聞き込みまで全部やります。事情もなーんにも知らないのに。

 

 

そうなんです。ブリッキーとクィンは巻き込まれ型で被害者のことは何も知りません。犯人云々の前にまず被害者を知らないといけません。……ってたった3時間でそんなことできるか!! 圧倒的に時間が足りません。本当に3時間で関係者洗い流して犯人を探しあて警察に通報できるだけの証拠を入手できるのか、章ごとの進んだ時計で我々読者をハラハラドキドキさせます。……読んでいるとこっちがブリッキーとクィンになった気分……

 

 

警察が出てこない代わりに出てくる登場人物が揃いも揃って怪しいので「誰が犯人!?」と勘繰りたくなるのは宜なるかな。次いでにクィンも怪しいと思っていました笑 現代ならともかく← 

 

 

「暁の死線」でした(・∀・)/

本書が年内最後の本になります。

2022年は念願の作品書籍収録が叶いましたが、来年は長編を出したいと思います(*^o^*)/ 

今年もありがとうございました。皆様、良いお年を!