ウィリアム・アイリッシュ No.5◇わたしが死んだ夜◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

これからは国内外の多々ジャンルに飛び込みます。




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死は人を逃さない! 罪は世に曝け出される時を待っている!

 

 

 

 

 

◇わたしが死んだ夜◇ -Too Nice a Day to Die-

ウィリアム・アイリッシュ 村上博基 訳

 

 

戦後のわが国に紹介されたミステリ作家のなかで、もっとも広く歓迎されたサスペンス・スリラーの第一人者ウィリアム・アイリッシュの傑作の粋を集めた待望の短編集。大都会のなかの人間の孤独、しのびよる死の影の戦慄、絶望と焦燥にさいなまれる犠牲者等、常に意表をつく技巧と主題の多様性に加えて、作者の独壇場ともいうべき哀切な雰囲気描写と緊迫したサスペンスは永遠に読者を魅了せずにはおかない強烈な磁力を秘めている。

 

 

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1.高架殺人

 (Death in the Air)

 ……仕事帰りのライヴリー刑事は乗っていた電車で殺人事件に遭遇してしまう。いつのまにか撃たれたのだ。ライヴリーは線路側の窓に見えた奇妙な影法師とその片方が擦ったマッチの火のようなオレンジ色の光を思い出す……

 

 

2.わたしが死んだ夜

 (The Night I Died)

 ……仕事から帰って来たわたしは内縁の妻セルマが浮浪者の男と自分の殺害計画を練っているところを聞いてしまう。それを知った浮浪者とわたしは取っ組み合いになるが銃が暴発して死んでしまう。その死体を見てセルマは言った。「これはあんたの死体よ。10000ドルがそっくりころがりこむのよーーー」

 

 

3.リンゴひとつ

 (An Apple a Day)

 ……リンゴは食べる以外に使いようである。表皮に小さな三角形の窓をつくり、中身をくり抜いて小部屋を作れば小さいものなら隠せる。……例えば宝石とか。リンゴの中に宝石を隠したは良いが……回収に失敗してあちらこちらを彷徨うことに!?

 

 

4.コカイン

 (C-jag)

 ……失業中のぼくはほんの顔見知りの"ジョー"に誘われてとある部屋へ……が断片的な会話以外はほとんど何も覚えていない。しかも二日酔いよろしく気分も最悪。だがポケットの中には知らない鍵が、シャツには乾いた血がこびりついていた……

 

 

5.夜があばく

 (The Night Reveals)

 ……午前3時半。保険会社員のハリーは目が覚めた。妻のマリーがいないのだ。幸いマリーはすぐ帰って来たが……一方保険金が降りるか否かを査定する為に火事現場を調べに来たハリーはそこに落ちていた金属片を調べる。その正体はロケットでハリーが妻に贈ったものだった……

 

 

6.葬式

 (Your Own Funeral)

 ……買い物帰りの女は一目散に逃げ出した。女とそのパートナーのチャンプはFBIに追われていたのだ。チャンプはFBIと催涙ガスから逃げおおせるが果たして彼が潜伏した場所とは……

 

 

7.日暮れに処刑の太鼓が鳴る

 (Senor Flatfoot)

 ……アメリカ人刑事オルークが居合わせた時、サカモラス国の政府が覆った。早速泊まっているホテルが占拠され、身代金10000ペソが徴収されるまで前の市長が閉じ込められてしまう。市長を救う為娘と息子がやって来るが直後将軍の1人が殺される。オルークは警察官として容疑者を挙げるがその人物には事件発生時遠くにいたというアリバイが有った……

 

 

8.死ぬには惜しい日

 (Too Nice a Day to Die)

 ……死のうと思っていた。が、それは1本の電話によって阻まれた。ローレルはそのまま仕事もサボって外へ出る。広場でひったくりに遭ったのをきっかけに1人の男と出会い、話も弾み、今日は素晴らしい日だった、と思ったがーーー

 

 

9.妻が消える日

 (You'll Never See Me Again)

 ……失敗した菓子パンで大喧嘩をした新婚夫婦のエドとスマイル。スマイルは実家に帰る!と言い捨てて出ていくがエドはここで折れたら恥、と動かない。しかししばらくしてから電話をかけるとスマイルは実家には来ていないと言う。最初は狂言だと思ったが……

 

 

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「わたしが死んだ夜」です(・∀・)

前回ラストスパートとか言いましたがまだ1冊あります← でももう終わりに近づいています。

 

 

犯罪と死の気配が漂う9編! 犯罪に巻き込まれた普通の人々、逆に罪を犯した者たちの末路がスリル満点、皮肉たっぷりに描かれています。8は唯一犯罪とは無縁の、一見すごく良い話ですがウールリッチ=アイリッシュにかかれば顎が外れること間違いなし。サキもびっくりですわ。

 

 

1は普通ですが←それ以外はウールリッチ=アイリッシュ特有の罪と罰、死、犯罪者には因果応報、普通の人々には孤立無援を醸し出させてスリル満点です。とりわけ2.4.5の「誰も自分を信じてくれない」感は後々の長編で円熟した形で登場することになります。もしかしたら作者自身がそんな目ばっかり遭ってきたのかな……なんというか身に迫るものあるもんな……逆に「○に隠れる」ネタは好きなのか?? 確かにそんなところに隠れようとは誰も思わんが……

 

 

「わたしが死んだ夜」でした(・∀・)/

次はタフな女性警官が主人公〜 (*^o^*)/