ポール・ウロム◇沈黙の証言◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

これからは国内外の多々ジャンルに飛び込みます。




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犯行現場は多くを語るのだーーー状況証拠が明らかに犯人を名指しているように見えても!

 

 

 

 

 

◇沈黙の証言◇ -Tavse Vindner-

ポール・ウロム 岡崎晋 訳

 

 

退役陸軍大佐イングマーは、妻と別れたあと叔母の残した郊外の邸で独り暮らしをしている。ある日、隣の若い人妻が絞殺されるという事件が起こた。デンマーク警察でも腕利きと評判の3人組刑事の捜査が開始された。

北欧文学の鬼才、ポール・ウロム(デンマークのポオ賞受賞)の傑作ミステリー。

 

 

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52歳で退官し、全く会ったことのない叔母から相続した邸で悠々と一人暮らしするイングマーは最近隣の美人妻と不倫関係に陥った。昨晩も一緒に居た。……その後にそのエリエことエリノア・ミカエルセン夫人は殺された。真っ先に疑われるのは自分だ! イングマーは気が気で無い……

 

 

この事件を捜査することになったのは3人の警察官、ミュアク警部補とエッセン警部補、アイナーセン巡査部長だ。ミュアクはアイナーセンと連携をとりながら聞き込みを開始し、程なくしてイングマーがミカエルセン夫人とただならぬ関係で有ることを突き止める。しかしこの事件はそんな単純なものでは無かった。隣のディトレウ夫妻とも夫人は浅からぬ関係があり、夫人が関係していたのはイングマーだけでは無かったのだ……

 

 

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「沈黙の証言」です(・∀・)

北欧ミステリデンマーク編、新しい作家です。これまた聞いたことの無い作家ですが←、本国ではきっと著名な作家だったのでしょう。1919年生まれなのでもう相当な年齢ですね。それかもう亡くなっているのか……?

 

 

多くの北欧ミステリは一匹狼タイプの個人至上主義者による単独捜査系ですが、本作はミュアク警部補とアイナーセン巡査部長のバディものです。「特捜部Q」と同じ。しかし敬語使わないのでアイナーセンが待ちぼうけや置いてけぼりを食わない限りほとんど対等に見える……

ミュアクは決して天才型では有りませんが明らかに1人の人間を犯人と指し示す状況下にあっても捜査を進めれば別の何かが見つかることを知っている経験型の、粘り強い警官です。そしてその隣で世俗に富んだ発言をするアイナーセン。2人はなかなかいいコンビです。……これでもっと訳が良かったらな……←

 

 

本作は隣近所という狭いコミュニティ間での殺人事件。ミカエルセン夫人の女優的性格と隣家のディトレウ夫妻の執着めいた関わりとそれに対する夫ミカエルセンの存在の希薄さ……複雑な造形でそれだけで会話も背景も読み応えがあります。……これでもっと訳が良かったらな……←

 

 

「沈黙の証言」でした(・∀・)/

次は「文豪ストレイドッグス制覇計画」、織田作は次の言葉はジッドと向き合うことになり…… (*^o^*)/