ある年の10月ーーー少年たちは永遠に子どもではなくなる日に移動するカーニバルが悪夢を連れてやってくる!
◇何かが道をやってくる◇ -Something Wicked This Way Comes-
レイ・ブラッドベリ 大久保康雄 訳
ある年の万聖節前夜、ジムとウィルの十三歳の二少年は、一夜のうちに永久に子供ではなくなった。カーニバルの騒音の中で回転木馬の進行につれて、時間は現在から未来へ過去から未来へと変わり、魔女や恐竜の徘徊する悪夢のような世界が展開する。SF界の抒情詩人が世に問う絶妙なリズム。ポオの衣鉢をつぐ一大ファンタジー。
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ある年の10月。10月30日の23時59分に生まれたウィルと10月31日の0時1分に生まれたジムは13歳の大の仲良し。万聖節が近づくある日2人は避雷針売りの男に出会い、ジムの家に雷が落ちるということで避雷針を買った。そしてこの時期には来るはずのないカーニバルが来ることを知った。
興味津々半分怖さ半分でカーニバルを観に行くウィルとジム。そこの刺青男、ダガー氏と知り合いが彼らには秘密があった……なんと彼らが持っている回転木馬に乗ると一気に歳が変わるのだ! 子どもになったり、はたまた大人になったり……歳の変わった2人は次第にウィルとジムの生活を掻き乱し、やがて……ウィルはカーニバルの魅力に取り憑かれて離れられない父親と共に子どもに変えられてしまったミス・フォレーと囚われてしまったジムを助けようとするが……
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「何かが道をやってくる」です(・∀・)
えー、この話、題名は知っていましたが予備知識がなーんも無かったので前回はああ書きましたが……全然切ない系じゃ無かった。いや、切ない要素も少しは有る! だけど怖い!! いやそれにしても年齢操作って怖いんだな……「文スト」の輝子姫さんやん←
全体的に「ぴやっ」と背筋が凍る怖いファンタジーです。魔女とかカーニバルは本来ワクワクするものですが人の心の弱さにつけ込むという点で群を抜いています。始終ドキドキして心臓に悪かったですorz しかしミス・フォレーや避雷針売りはどうなったんだ……
ウィル・パパが語り聞かせる話にはこの話の本質があるように思われますが、その一方で「なんでそれを知っているんだ……」と思わずにはいられない……そこで思ったのがウィル・パパもウィルと同い年の時に移動カーニバルに出くわしたのでは無いかということ。なんらかの理由で魔の手から逃れ、記憶もなくしたけれどダガー氏は「逃れた少年を」を覚えていて引き込むためにウィル少年を狙ったのでは……?
そう考えるとあのカーニバルは子どもを永遠に子どものままに時を止めさせることを狙う悪夢めいた郷愁なのかも……? 子どもで無いといつまでもカーニバルにワクワクしませんから……そう考えるとプロローグやあらすじで「子どもでなくなる瞬間」に言及した理由がなんとなく腑に落ちるのです。
いつまでも人間は夢見る子どもではいられません。大人でも夢は見られますし。しかしあまり夢を見過ぎるとあのカーニバルがやって来るかも……?
「何かが道をやってくる」でした(・∀・)/
次はお久な北欧ミステリーです(*^o^*)/