アンドレ・ジッド No.2◇一粒の麦もし死なずば◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

これからは国内外の多々ジャンルに飛び込みます。




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私は「贖罪」の為にこれを書いたーーー文豪ジッドの背徳的で大胆な告白録!

 

 

 

 

 

◇一粒の麦もし死なずば◇ -Si Le Grain Ne Meurt-

アンドレ・ジッド 堀口大學 訳

 

 

アンドレ・ジッドほど、その実生活と作品が一体となって輝く作家はない。「一粒の麦もし地に落ちて死なずばただ一つにあらん、死なば多くの実を結ぶべし」、ヨハネ伝12章中のキリストの言葉に表題を取る本書は、体質虚弱、神経過敏だった少年時代の悪夢のような日々、南の国アルジェリアで初めて知った背徳の快楽など、おのれの秘密を余さず暴いた大胆な告白の書である。

 

 

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部屋の中央まで歩いた時、背後から声がした。

「一粒の麦、もし地に落ちて死なずばただ一つにあらん。死なば……」

私は即座に両方の銃を抜いて、振り返りつつ声の方に構えた。

その男はそこに居た。

銀髪に銀衣、端正な顔の亡霊。

銃を構えたまま、私は言葉を引き継いだ。「ーーー死なば多くの実を結ぶべし」

幽霊は目を細めて笑った。

「『ヨハネ伝』第十二章二十四節。見掛けによらず博識だな、サクノスケ」

樫の扉を前にジイドは立っていた。罠もなく、部下もなく、構えもない。

 

 

ーーー「文豪ストレイドッグス 太宰治と黒の時代」より

 

 

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「一粒の麦もし死なずば」です(・∀・)

ジッドとの最終決戦で彼はこの言葉を呟いて現れます。そしてそれに応える織田作、よく知ってたな……まぁ太宰さんが一目置くのだから決して馬鹿では無いので一度目にしたら頭に入ったんだろうな……

 

 

この言葉は言及されるように「新約聖書」の言葉でも有りますがもう一つ、ジッド自身の半生録にして告白録でも有ります。文豪ジッドはこの書で自分が同性愛者であることを明かし、アルジェリアでの体験を赤裸々に語ります。だから織田作に執着したのは一種の愛なのか? その場面は直接行為を書くのではなく、心象風景を赤裸々に書いていますが、ジッドの感情も身の回りの人の感情も抉り出しては全てぶちまけて露わにするように書いているので逆にその心が分かって気まずい← 100年経ってから読むと「こんな明け透けに語られて私はどんな反応をすれば良いねん!?」と思ってしまう……

 

 

そして「文スト」ジッドも織田作と闘いながら自分の半生を語り始めます。英雄だった過去、裏切りによってミミックという亡霊になってしまった現在……「自分の死で多くの民が救われる」と説いてキリストは昇天したように、ジッドは織田作によって殺されることで自分や仲間は遂に亡霊ではなくなり、救われる……ジイドというキャラは好きでは無いですが、流離うこと、定住場所が無いことの辛さと虚しさは分かるつもりです。

 

 

えー、最初に言った通りこの言葉は新約聖書からの一文です。なんとなんと織田作も言及しています。

はい、新約聖書読むの決定〜。

欧米文学の基本のき文字、沢山の小説で山ほど引用された世界最古のベストセラー、本ブログに近日中に登場! ちなみに旧約聖書も「文豪ストレイドッグス制覇計画」で読むことが決定しています。乞うご期待!

 

 

「一粒の麦もし死なずば」でした(・∀・)/

次のレックス・スタウト、再びネロ・ウルフに戻ります (*^o^*)/