凪良ゆう No.2◇滅びの前のシャングリラ◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

これからは国内外の多々ジャンルに飛び込みます。




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地球が滅ぶまさにその瞬間、5人は確かに「生きることの幸福」を見出したーーー

 

 

 

 

◇滅びの前のシャングリラ◇ -Shangri-La Before the destruction-

凪良ゆう

 

 

「一ヶ月後、小惑星が衝突し、地球は滅びる」学校でいじめを受ける友樹、人を殺したヤクザの信士、恋人から逃げ出した静香。そして―荒廃していく世界の中で、四人は生きる意味を、いまわのきわまでに見つけられるのか。圧巻のラストに息を呑む。滅び行く運命の中で、幸せについて問う傑作。

 

 

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いじめを受ける友樹はクラスのマドンナ雪絵との淡い思い出を大事にしながらもいつか地球が爆発して滅べば良いと願っていた。なんとその願いは叶った。1ヶ月後、小惑星が地球に衝突して滅ぶというでは無いか。学校も休みになり、一気に不安と混乱に包まれる周囲。早くも東京は無法地帯になるが雪絵が歌手のLocoのライブを聴きにその東京に行くという。友樹は密かに雪絵たちの後を追うが……

 

 

腕っ節しか能のないヤクザの目力信士は命令の撤廃が間に合わず、人を殺した後、それが意味のないことであることを知った。地球は滅びるのだ。それなら……ずっと昔に惚れた女、静香に会おう、と住所を調べて会いに行く。静香ーーー江那静香は独り身で子どもを育てていた。その子どもは高校2年生でなんと好きな女の子のために一緒に東京へ行ったという。なかなか根性がある。信士は静香と東京へ行き、間一髪のところで友樹と雪絵を助ける。4人は大阪で行われるLocoのライブの為にしばらく大阪に留まることになった。4人は思い、語らい、1人は別の場所で滅びゆく世界から大切なものを取り戻す。今までのこととそこから見出した自分の答えーーー命を謳え。

 

 

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「滅びの前のシャングリラ」です(・∀・)

前作がすごい良かったので受賞後1作目も調達しました。期待しすぎるといつかみたいに失敗して打ちのめされるのですが、読書好きな人間はそれでも懲りずにやっちゃうのが性なのさ←

 

 

本書はこれまた世界と相容れない人たちと小惑星が衝突して滅んでしまう世界の異色のタッグです。SFみたいな話だ。これがハインラインなら地下シェルターとかを用意して主人公たちを生き残させて新しい世界を創らせるわきっと。

 

 

閑話休題。

 

 

友樹や信士、静香は「世界と相容れない人たち」と言われて納得できますが雪絵とLocoは一見恵まれて見える、という点でより一層辛いものがあります。前作もそうだったけど見た目や人の口は本当にあてになりませんね。

 

 

「世界終末の果てに人間や幸福の定義を問う」というのは地球や世界滅亡を扱う話なら絶対に取り上げるテーマです。事実私も読みながら「これ、どっかで同じのを読んだなぁ。展開分かるなぁ」と二番煎じだったら肩透かしだどーしよと思いましたが読んでいるうちに定義を問うだけの話ではなく、人間1人1人の辛い過去を赦しあったり、分かち合ったり、理解しあったりすることが出来る一種の人間讃歌なんだ、と思いました。小惑星の混乱でもう無法地帯になって道理も論理も崩壊してしまうけど人が人と関わる心は良くも悪くも変わらない。幾星霜ずっとそうなのだ。人間って。

 

 

本書はSFでは無いので誰も回避の術を持ちません。あらゆる問題を置き去りにして小惑星を出迎えます(だから登場人物が抱えるしこりのいくつかは未解決です)。ラストのような心境に私はなれるだろうか? 生きる意味をもし問われたら? 自分だったら……

 

 

うーん、2作目も良かったな〜BLは苦手なので追えませんが、そうで無かったら気長に追っていこうかな。

 

 

「滅びの前のシャングリラ」でした(・∀・)/ 

次は〜……って待った、貴方、故国に家族いたの!!?(*^o^*)/