レイ・ブラッドベリ No.3◇華氏451度◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

これからは国内外の多々ジャンルに飛び込みます。




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華氏451度、それは紙の本が燃える温度、時間を抹消する温度、そして人の思想思考を封じ込める温度だーーー

 

 

 

 

◇華氏451度◇ -Fahrenheit 451-

レイ・ブラッドベリ 伊藤典夫 訳

 

 

華氏451度──この温度で書物の紙は引火し、そして燃える。451と刻印されたヘルメットをかぶり、昇火器の炎で隠匿されていた書物を焼き尽くす男たち。モンターグも自らの仕事に誇りを持つ、そうした昇火士(ファイアマン)のひとりだった。だがある晩、風変わりな少女とであってから、彼の人生は劇的に変わってゆく……本が忌むべき禁制品となった未来を舞台に、SF界きっての抒情詩人が現代文明を鋭く風刺した不朽の名作、新訳で登場!

 

 

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昇火士、それは世界や人々を「脅かす」と見做される本を燃やす崇高な職業だ。昇火士は今日も本が燃える温度「451」をつけて通報あれば本を燃やしにかかる。

 

 

ガイ・モンターグは昇火士の1人。彼はある日クラリスという名前の風変わりな女の子に出会う。彼女は昇火士を「あなたらしくない職業」だと言い、さらに「あなたは幸福か?」と疑問を投げかける。その時は一笑に付したモンターグであったが、彼女の言葉が耳から離れなくなる。それはある老女の死をきっかけに決定的なものになった。自分は幸福ではない、昇火士という職業も本を燃やすことも本来悍ましいであることに気が付いてしまう。妻も家も仕事も投げ合ってモンターグはフェーバーという男と共に社会を変革しようと試みるが……

 

 

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「華氏451度」です(・∀・)

ブラッドベリ3作目でもうディストピアSFの名作登場です。本が禁制品になり、見つかったら持ち主の家ごと即消去の未来時代に人との出会いで本を守り、記録する側に回った1人の男の話です。

 

 

本が人間と世界にもたらすもの、不安と少数派の徹底的削除ら本とテレビの圧倒的な違い、そして「何故本を読むか」という根本的な問いにも答えています。電子書籍はテレビと本の間ぐらいになるんですかね? でも感覚的なものが大事な時代だからテレビと同じ扱いかもな。結論だけを受け入れろ! もし未来に本の意義を問われたら私は黙ってこれを渡しますわ。

 

 

さてさて、この時代はラジオやテレビが映像を流してそれを楽しむ感覚的なものばかりで市民は思考力や記憶力を失っています。さらに密告が奨励されていますから人々の関わりは極めて疑り深くて希薄なものです。そんななかで主人かモンターグが変わり者とはいえ「生身の人間」であるクラリスとの邂逅によって「正しい間違い」をしでかすようになるまでに変わったことは大きく意味があると思います。生身の人間と人間が出会い、言葉を交わし、意見を交わし、協力して1つのことを成し遂げる。今、私たちが当たり前のように行なっていることが「華氏451度」では出来なくなってしまっている……

「本が禁じられた世界は、架空の世界か?」この言葉にゾッとしたのならきっとまだ大丈夫。「華氏451度」が天下を明るく照らす時代は少しずつ遠ざってやがて葬り去られるでしょう。

 

 

「華氏451度」でした(・∀・)/  

次は実際の「無頼派」は集まって何を語り合ったのでしょうか?(*^o^*)/