「狂気の人」と言われるゴッホの"真実の姿"とはーーー
◇ゴッホのあしあと◇
原田マハ
生前一枚しか絵が売れず、三七歳で自殺したフィンセント・ファン・ゴッホ。彼は本当に狂気の人だったのか? その死の真相は? アート小説の第一人者である著者が世界的謎を追う。フランス各地に残されたゴッホのあしあとを辿り、努力家でインテリ、日本に憧れ続けた「人間・ゴッホ」の魅力を再発見。旅のお供にも最適な名解説。
☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆
「ゴッホのあしあと」です(・∀・)
先日紹介した「たゆたえども沈まず」の解説本
でどのように彼の人生を調べ、どのようにフィンセント・ファン・ゴッホの「新しい人間像」を作り上げたのか?を作者が直々に語ります。自分は「どのように作品を書き上げたか」等を語られるのが苦手なのですが(時々自慢語りする作家もいるのでね!)、貸してくれた以上読まないのは苦手を超えて癪に障るので読んだ次第です。
当時のパリと照らし合わせてゴッホ兄弟ゆかりの場所が乗っているのでこれ持ってパリやアルルやサン=レミを歩けたら最高。開放的で新しいもの大好きパリを闊歩すればソッポ向かれるところでフィンセントを同じ気分を味わえるかも知れません←パリとゴッホ兄弟散策の旅のお供にどうぞ。小説持って聖地巡礼ってやってみたいんですよね。クリスティーを持って英国はもちろん、オリエント急行に乗ってナイル河クルージングしたい。ただし殺人はノーサンキュー!
というか「狂気の人」とばかり謳われる旧来のゴッホ像って映画から出来たものだったのか……映画も知らないし、自分の中のゴッホって「誰も分かってくれない……」と頭を抱える苦悩する人のイメージだったのでピンと来なかったのですが、拳銃自殺だけでそんなこと言われたら確かにたまったもんじゃありませんわorz フィンセントってきっとベートーベンや芥川龍之介と似たところ有る← しかしゴッホが非常に教養のある人物に描かれていたところはとても良いと思いました。文才も有るゴッホ……そちらこそ新しい!!
先日も書きましたが、ゴッホ殺人説ってそれかぁ。確かに撃った拳銃は見つからない、音も誰も聞いていないとなれば確かにミステリーですが、作者の言う通り、川に捨てた説が1番有力だと思います。音を聞いていないのは周りに誰もいなかったからですようん。ていうか調べなかったのか←
フィンセントはものすごく真面目な故に苦悩して、人を拒絶する一方で人を求めて求めて、絵を描き続けることでどんどん強くなって、しかし世界やパリやフィンセントには本当に冷たくて、憧れの日本はあまりにも手が届かなさ過ぎて、欲しいものは何も手に入れられずそれが苦しくて、描いて描いて描いて生き続けるその速度に精神がきっと追いつかなかった。死ぬ時やっと精神は追いついた。最後のモノローグは悲しいものになってしまったけど……テオと天国でまた会って仲直りしてください(涙)
小説でも触れられますが、フィンセントの絵には思い切り惹きつけられるものがあります。その言葉は人によって違いますが、自分は胸ぐらを掴まれるような激情を感じます。
胸を掴まれる経験はあまり積みたくありませんが、フィンセントだったら良いかな〜と思います。「俺は! 今!生きているんだ!!」という強烈な命を感じる瞬間って何物にも得難いと思うんです。こんなご時世だから。
「ゴッホのあしあと」でした(・∀・)/
次は久しぶりの多和田葉子です(*^o^*)/