川上弘美 No.5◇蛇を踏む◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

これからは国内外の多々ジャンルに飛び込みます。




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「人ならざるもの」「人とは少し違うもの」は人のすぐ隣に。
 
 
 
◇蛇を踏む◇
川上弘美
 
 
藪で、蛇を踏んだ。「踏まれたので仕方ありません」と声がして、蛇は女になった。「あなたのお母さんよ」と、部屋で料理を作って待っていた…。若い女性の自立と孤独を描いた芥川賞受賞作「蛇を踏む」。“消える家族”と“縮む家族”の縁組を通して、現代の家庭を寓意的に描く「消える」。ほか「惜夜記」を収録。
 
 
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1.蛇を踏む
 
 
2.消える
 
 
3.惜夜記
 
 
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「蛇を踏む」です(・∀・)
川上弘美も5作目。今作も「人ならざるもの」「人間が立ち入らない世界」を垣間見せます。踏まれたのが縁で蛇の世界に誘い込む蛇、姿のみならず存在すら少しずつ忘れられていく家族と、生活が変わると縮んでしまう家族……その間を橋渡す境界線には不思議な理や決まり事が有り、異世界めいています。何の説明もなく、隣に潜むのが普通でしょ、と言わんばかりの淡々さは常なら混乱してしまうところなのにそれを寄り添っておくれ、とばかりに肯定してしまうところがこの人の作品にはある……なお1は芥川龍之介賞受賞。これを推した審査員の講評が聞きたい。そういえば昨日発表だったよね。「推し、燃ゆ」並の反響はあるだろうか。Twitterで講評内容が話題になっていましたが、誰だよこんなこと言ったの。今はほんなユートピアも御託は要らんのだよ。
 
 
3は「夜を駆ける」ならぬ「夜を惜しむ」幻想奇譚。数字が振られていますが奇数と偶数でリンクしています。この交互さ加減がいい味を出していると思います。この入り組んだ複雑さがこの幻想奇譚を読む私たちに幻想めいた空気を送ります。
 
 
3つ共物事の途中終わるので「え、続きは!?」と絶句しちゃいますが、この感じはこの人の特徴なんだろうか。やはり多和田葉子とは全然違うよね……
 
 
「蛇を踏む」でした(・∀・)/ 
次は「恋愛を惜しむ」短篇集です(*^o^*)/