私の図書館へようこそ!(by レム)
◇完全な真空◇ -Doskonała Próżia-
スタニスワフ・レム 沼野充義・工藤幸雄・長谷見一雄 訳
「実在しない書物の書評を書くということは、レム氏の発明ではありません」。ゲーム理論を援用して宇宙の創造と成長を論じるノーベル賞受賞者の講演「新しい宇宙創造説」のほか、「ロビンソン物語」「逆黙示録」「誤謬としての文化」など、パロディやパスティーシュも満載の、知的刺激に満ちた“書評集”。
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1.完全な真空(スタニスワフ・レム著)
(Doskonała Próżia)
2.ロビンソン物語(マルセル・コスカ著)
(Les Robinsonades)
3.ギガメシュ(パトリック・ハナハン著)
(Gigamesh)
4.性爆発(サイモン・メリル著)
(Sexplosion)
5.親衛隊少将ルイ十六世(アルフレート・ツェラーマン著)
(Gruppenführer Louis ⅩⅥ)
6.とどのつまりは何も無し(ソランジュ・マリオ著)
(Rien, du Tout, Ou la Conséquence)
7.逆黙示録(ヨアヒム・フェルセンゲルト著)
(Pericalypsis)
8.白痴(ジャン・カルロ・スパランツァーニ著)
(Idiota)
9.あなたにも本が作れます
(Do Yourself a Book)
10.イサカのオデュッセウス(クノ・ムラチェ著)
(Odysseus of Ithaca)
11.てめえ(レイモン・スーラ著)
(Toi)
12.ビーイング株式会社(アリスター・ウェインライト著)
(Being Inc.)
13誤謬としての文化(ヴィルヘルム・クロッパー)
(Die Kultur Als Fehler)
14.生の不可能性について/予知の不可能性について(ツェザル・コウスカ著)
(De Impossibilitate Vitae/De Impossibilitate Prognoscendi)
15.我は僕ならずや(アーサー・ドブ著)
(Non Serviam)
16.新しい宇宙創造説
(The New Cosmogony)
17.完全な真空 日本語版(スタニスワフ・レム著/沼野充義・工藤幸雄・長谷見一雄 訳)
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「完全な真空」です(・∀・)
レムの十八番と言っても良い、架空書物書評を1冊にまとめたものです。これと同じくメタフィクション、または架空図書館と呼ばれています。
文学から御伽噺のパスティーシュ、書くことの限界に挑戦した小説や人生設計を受け持つ会社の話に経済から科学者まで。これらは皆、実在しない書物でもしかしたら悪ふざけ的にも見られるかもしれませんが中身は決してふざけていないし(ただしすごく難解)、惹きつけられる。架空の書物を通してレムの思想が反映されているという点でこの架空書物ものは無視出来ない。
またレムは一番不安定だったポーランド社会の生まれですから社会体制が崩れるのはあっという間であり、それが本当に正しく、いつまで持続するか分からない、かついつ殺されるかわからないという考えに常に付き纏われている感が有り、それが本書にもやはり現れています。新しい思想が生まれるのは必ずしも良いことばかりではない……レムは未来を見つつもそんな影をさしています。
しかし、この架空図書館って面白いな。最初に始めたのはボルヘスと言われていますが、本当にこの架空書物図書館があったらワクワクしますね。こういうメタフィクションを提供するために存在する、みたいな。
「完全な真空」でした(・∀・)/
「文豪ストレイドッグス制覇計画」、昔のように闘う2人、中原は太宰の一歩有利なように思えたが……?(*^o^*)/