スタニスワフ・レム No.15◇宇宙飛行士ピルクス物語◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

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宇宙飛行士にしてパイロットのピルクスが体験した宇宙の事件簿!
 
 
 
 
◇宇宙飛行士ピルクス物語◇ -Opowieś o Pilocie Pirxie-
スタニスワフ・レム 深見弾 訳
 
 
今回の任務には、さすがのピルクス船長もほとほと困りはてていた。仕事そのものはたいしたことはない。船内における人造人間の適応性を検査するだけだ。ところが、その人造人間が曲者だったーーーそいつは、姿形はもちろんのこと、心理形態まで人間と寸分違わぬ代物なのだ! しかも嘘までつけるときては始末に悪い。いったい乗組員の誰が、はたまた何人の人造人間がまぎれこんでいるのか? ピルクスは言わずもがな、すでにこうした疑惑は乗組員たちの心の中にまで忍び込んでいた……「審問」他、人工頭脳に障害をきたして殺人機械と化したロボットを描いた「狩り」、月の観測基地に連続して起こる惨事に隠されていた、人間と機械とのドラマを語る「条件反射」、着陸段階に入るたびに事故を起こす自動操縦装置の謎をピルクスが解明する「運命の女神」など、巨星レムがシリアスな設定の中にも微妙なアイロニーとユーモアをまじえた文体で、生命、意識、個性などをサイバネティクスの観点から捉えて、宇宙に生きる人間を描く連作短篇集。
 
 
 
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1.テスト
 (Test)
    ……パイロット訓練性のピルクスはついに宇宙へ試験飛行に出ることになった。果たしてハエに邪魔されながらの初の宇宙飛行はうまく行くのか!?
 
 
2.パトロール
 (Patrol)
    ……宇宙へパトロールへ出たパイロットが相次いで帰還しないという事件が発生した。今度のパトロール当番はピルクスだが、自身の航宙中に宇宙では絶対に有り得ない白い物体を目撃し、そのパイロットらの二の舞になりかける!
 
 
3.〈アルバトロス〉号
 (Albatros)
    ……ピルクスは仕事ではなく、純粋に乗客として宇宙船〈タイタン〉に乗っていたが、途中〈タイタン〉が前触れも無く方向転換したことに気がつく。果たして〈タイタン〉は〈アルバトロス〉号からSOSを受け取ったのだ。
 
 
4.テルミヌス
 (Terminus)
    ……ピルクスは乗った宇宙船でテルミヌスという名前の古いロボットと出くわす。ロボットも古ければ船も古い。それもその筈、ピルクスが乗っている〈ブルースター〉号は昔、〈コリオラン〉号と呼ばれる、有名な事故に遭った船で、テルミヌスはその唯一の生き残りなのだ!
 
 
5.条件反射
 (Odruch Warunkowy)
    ……〈風呂〉で行われた試験である種の結果を出したピルクスは月の観測地で起こった奇妙な事件の解明を依頼される。そこで2人のカナダ人が不審死を遂げたと言う。ピルクスはラングナーと呼ばれる学者と共に月に赴くが……
 
 
6.狩り
 (Polowanie)
    ……ルナ基地で思わぬ足止めを食らったピルクスは火器が使える男性を要請する緊急放送を耳にする。要請に応じたピルクスは隕石事故で制御不能になったロボット、セタウルの無害化計画に参加することに……
 
 
7.事故
 (Wypadek)
    ……水瓶座のプロキシマ・47・116・ι星で調査測量にやって来たピルクス。クルルとマッセナの3人でなんとか作業をこなしたが、最後の最後になって調査結果を収録したテープが足りなくなったこととそのテープを取りに行かせたロボット、エンネルが帰ってこないという事態が発生して……
 
 
8.ピルクスの話
 (Opwiadanie Pirxa)
    ……ピルクスが乗っている宇宙船でおたふく風邪が流行り、ほとんどの組員は動けなくなったしまった。その中で隕石群に入り込み、こちらに真っ直ぐ向かって来る光点に出くわす。その光点はなんと……
 
 
9.審問
 (Rozprawa)
    ……ピルクスはユネスコの理事から航行を通して新しいタイプの乗組員が船の中でやっていける適応性チェックを依頼される。それは人造人間、人造人間なのだが……なんと嘘や駆け引きが出来るという!?
 
 
10.運命の女神
      (Ananke)
      ……火星に着陸をしようとしていた宇宙船〈アリエル〉が突如急上昇し、挙げ句の果てに墜落する大惨事が起こった。目の前でそれを目撃したピルクスは召喚され、証言するが、ある人物の名前にある疑惑が生まれる……
 
 
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「宇宙飛行士ピルクス物語」です(・∀・) また例のごとく間が空いてしまいました……orz
 
 
こちらと同じく1人の宇宙飛行士の波瀾万丈宇宙事件簿です← ただしこちらの方が現実的です。地球でも実際に起こりそうな事件……2や4は怪異もの。2はきちんと解明しますが、4はただただ怖い。墜落前の操縦席の会話と雰囲気は絶対あんな感じ。
 
 
レムを何作も読んで思いましたが、レムの作品には大団円! ハッピーエンド! みんな笑ってめでたしめでたし! で終わるものが無い。確かに問題は解決するけど主人公の気持ちは暗いか、別の新しい方向を見ていて良くも悪くも「終わり」を感じさせないというか……そこもアシモフやハインラインといったアメリカ系SF作家とは全然違いますね。
 
 
「宇宙飛行士ピルクス物語」でした(・∀・)/
めっちゃ久しぶりのシムノン、再び〜(*^o^*)/